第1部. がんワクチン免疫アジュバント開発の具体例・開発上の留意点
(2015年10月7日 10:00〜11:30)
がんワクチンは安全性が高いものの、効果が決して高いとは言えず、岐路に立たされています。標準的な薬物療法に比して、大きな生存延長が示され た抗PD – 1抗体などと比較すると、免疫アジュバントを用いて、効果のポテンシャルを上げることが必須です。免疫アジュバントの開発という視点から、がんワクチンの 臨床開発について考察させていただきます。
- がんワクチンは果たして開発に成功するのか?
- がんワクチンの開発には、活性を高める免疫アジュバントが必須。
- がんワクチンの開発の成功のためには、いま話題の免疫チェックポイント阻害薬などとの連携などを模索していく必要がある。
第2部. 事例から学ぶがんワクチンアジュバント開発の留意点とその評価
(2015年10月7日 11:45〜13:15)
地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター 研究所 赤澤隆 氏
大阪府立成人病センターで15年以上前から臨床応用されているBCG – CWS免疫アジュバント療法などを例に、免疫賦活剤として研究開発が進められたアジュバントの歴史を紹介する。また、これらを背景として、現在のアジュバントの問題点や次世代アジュバントに求められるニーズについて、演者の取り組むアジュバント化合物の人工設計戦略を事例の一つとして紹介する。
- アジュバントの歴史
- 非特異的免疫賦活剤とされたもの (1970年代?)
- フロイント・アジュバントの成分
- BCG – CWS (結核菌の細部骨格成分) の臨床応用
- トル様受容体リガンド・微生物成分アジュバント
- アジュバントの問題点と次世代アジュバント開発のヒント
- 癌ワクチンと感染症ワクチンの違い
- 増強すべきものはなにか? (CTLと抗体)
- アジュバントは添加剤か有効成分か? (抗原との関係)
- アジュバントの副作用 (軽微な副作用は回避不要なのか?)
- 有効性の上昇と副作用回避 (次世代アジュバント開発のヒント)
- アジュバント・エンジニアリング戦略
- TLR2リガンド・リポペプチドの構造と活性
- リポペプチド人工設計による有用性の付加
- インテグリン結合性リポペプチドの人工設計 (P2C – RGDS)
- 特定条件下での細胞活性化能の評価 (P2C – RGDS)
- 樹状細胞マーカーCD11c選択的結合性リポペプチドの人工設計 (h11c)
- ワクチン投与部位での皮膚応答・過剰炎症の回避 (h11c)
- 非特異的細胞接着性リポペプチドの人工設計 (P2CSR11)
- がん細胞表面を微生物成分修飾したワクチンの有効性 (P2CSR11)
- in vitro樹状細胞刺激活性とin vivoアジュバント活性
第3部. がんワクチン開発におけるアジュバントの安全性、有効性評価~非臨床試験
(2015年10月7日 13:55〜15:25)
今後術後療法として免疫アジュバント療法が臨床に取り入れられるであろうが、本講座では免疫療法の趣旨と副作用の少なさ故に高齢者にも安全で高QOLで使えることをアピールする。
- 免疫療法開発の意義、必要性
- 免疫療法への期待
- 免疫チェックポイント抗体はなぜがんに有効か?
- がんの治療法:現在と今後
- 免疫増強剤 (+抗原) を開発する必要性
- なぜこれまでのがんワクチンは効かなかったか?
- 樹状細胞活性化アジュバントの必要性
- アジュバントの基本的な考え方
- ペプチド単独 and/or Alum/montanideでは治らない
- Toll – like receptorとは?
- 抗がん免疫アジュバント:BCG – CWS からのレッスン
- RNAアジュバントpolyI:Cの有効性と副作用
- PolyI:C の CTL 誘導は TICAM – 1 – と IRF3/7 に依存する
- PolyI:C による樹状細胞成熟化と cross – primingのメカニズム
- TLR2/TLR3 アジュバントの開発経験から
- RNAアジュバントのサイトカイン血症をいかに回避するか?
- サイトカイン毒性の無い2重鎖RNAの化学合成の試み
- アジュバント評価系作製の試み
- 非臨床試験にもとめられるもの
- アジュバント創薬のバリアー
- 今後の展望
- 質疑応答
第4部. 事例から学ぶがんワクチンアジュバントの臨床研究とその評価
(2015年10月7日 15:40〜16:40)
- がんワクチンアジュバントの臨床研究
- 臨床試験の現状
- 評価について
- 今後の課題と展望 など
- 質疑応答