技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

微粒子の触媒活性・表面処理と粉体への機能性ナノコーティング

微粒子の触媒活性・表面処理と粉体への機能性ナノコーティング

微粒子の触媒活性・表面処理と粉体への機能性ナノコーティングの画像

概要

本書は、粉体の基礎から解説し、微粒子への表面処理、機能性ナノコーティングのポイントについて、著者の豊富な経験・事例を交えて詳解しております。

ご案内

  • 2018年12月4日: 好評につき完売いたしました。

 粉体は様々な産業に利用されていますが、粉体はバルクの性質に加え、大きさや形といった粒子の性質および表面の性質が複雑に絡み合って制御が非常に困難です。一方、製品に粉体を配合する場合は何らかの表面処理を行いますが、その場合にはノウハウとして伝承されることが多かったと思います。
 筆者は化粧品の分野で粉体を扱いました。粉体によって共存する成分が分解したり、親水・疎水のバランスによって乳化系での粉体の挙動が異なったりすることから、実用的な観点で粉体の表面を調べました。粉体と共存する油脂の酸化や香料成分の分解などは従来余り測定されておらず、簡便な測定方法から研究をスタートさせました。その結果、粉体の「あるがままの表面」が明らかになってきました。
 触媒活性の強いものは香料などを分解させ製品の劣化を促進する悪者ですが、その力を使えば表面処理を簡単にできると考えられます。「あるがままの表面」をそのまま使って表面処理を行うことは、力ずくで処理するよりずっと自然にできます。ある環状シロキサンを使うと「自己組織化」のような作用で1ナノメートル以下の薄い網目状の均一な膜ができます。この膜に覆われることで粉体の触媒活性は封鎖され、また、この方法では色も形も変えることなく粉体を疎水性にすることができます。
 このナノ膜には付加することのできる基があり、そこに付加反応させることで様々なペンダント基を入れることができます。このように2段階の反応で機能性を付与できることからこの方法を機能性ナノコーティングと呼んでいます。
 第Ⅰ部では粉体の基本的な性質を、第Ⅱ部では機能性ナノコーティングができるまでのあらましが書いてあります。この考え方は化粧品以外の様々な分野にも応用できると考えております。
(2011年11月 福井 寛)

目次

第Ⅰ部: 粉体の特徴、触媒活性と粉体への表面処理 ~基礎編~

第1章 粉体の特徴
  • 1. 粒子の性質
    • 1.1 粒子の大きさ
      • 1.1.1 粒子の大きさと物性
      • 1.1.2 粉体の作り方
      • 1.1.3 粒度測定
    • 1.2 粒子の光学特性
      • 1.2.1 粉体による光の散乱
      • 1.2.2 粉体による光の干渉
    • 1.3 粒子の形状
    • 1.4 粒子の密度
    • 1.5 粒子の力学特性
  • 2 表面の性質
    • 2.1 幾何学的構造
    • 2.2 表面積と細孔分布
    • 2.3 吸着
    • 2.4 表面官能基
    • 2.5 電荷
    • 2.6 濡れ
第2章 触媒活性
  • 1. 触媒
  • 2. 触媒反応の測定と解析
    • 2.1 触媒反応器
      • 2.1.1 流通式反応器 (固定床,流動床)
      • 2.1.2 回分式反応器
      • 2.1.3 パルス型反応器
      • 2.1.4 マイクロリアクター
    • 2.2 反応速度の測定
    • 2.3 触媒反応の解析
  • 3. 触媒活性の発現機構
    • 3.1 電子状態
    • 3.2 幾何構造
    • 3.3 格子欠陥
  • 4. 固体酸・塩基
    • 4.1 固体酸・塩基の性質
    • 4.2 固体酸・塩基の測定法
      • 4.2.1 指示薬法
      • 4.2.2 ガスクロマトグラフィー法
      • 4.2.3 昇温脱離法
      • 4.2.4 赤外分光法
      • 4.2.5 指示反応法
  • 5. 酸化・還元
    • 5.1 酸化・還元性質
    • 5.2 酸化・還元測定法
      • 5.2.1 酸化力測定法
      • 5.2.2 電子スピン共鳴および吸収スペクトル法
      • 5.2.3 酸素ガスフローDTA
  • 6. 光触媒
第3章 表面処理の種類
  • 1. 固相による方法
    • 1.1 メカノケミカル処理
    • 1.2 ナノ・ミクロン粒子複合化
  • 2. 液相での反応
    • 2.1 粉体への金属の被覆
    • 2.2 粉体への金属酸化物の被覆
      • 2.2.1 沈殿法
      • 2.2.2 ゾル-ゲル法
      • 2.2.3 水熱合成法
      • 2.2.4 バイオミメティックプロセス
    • 2.3 粉体への有機物の被覆
      • 2.3.1 表面官能基との反応
      • 2.3.2 カップリング剤
      • 2.3.3 コーティング
    • 2.4 粉体へのポリマー被覆
  • 3. 気相による方法
    • 3.1 プラズマ処理
    • 3.2 PVD法による微粒子の表面改質
    • 3.3 CVD法
      • 3.3.1 金属被覆
      • 3.3.2 金属酸化物および窒化物被覆
      • 3.3.3 有機化合物

第Ⅱ部: 無機粉体の触媒活性とそれを利用した機能性ナノコーティング

第1章 粉体の酸・塩基とその評価
  • 1. イソプロピルアルコールの脱水・脱水素選択性と酸・塩基
    • 1.1 各種粉体によるイソプロピルアルコール分解挙動
    • 1.2 ピリジンおよび酢酸の添加効果
    • 1.3 プロピレン生成機構
    • 1.4 t-ブチルアルコールの分解挙動
    • 1.5 アセトン生成機構
  • 2. 体質顔料へのアルカリ金属添加効果
    • 2.1 アルカリ金属添加タルク
    • 2.2 アルカリ金属処理カオリンによるイソプロピルアルコールの脱水反応挙動
    • 2.3 一次反応の検討
    • 2.4 見掛けの反応速度定数の算出
    • 2.5 見掛けの活性化エネルギーと頻度因子
第2章 粉体による油脂の酸化
  • 1. 含水酸化クロムによる油脂の酸化
    • 1.1 含水酸化クロムによる炭化水素の酸化試験結果
    • 1.2 含水水酸化クロムによる炭化水素の加速酸化試験結果
    • 1.3 分解生成物の分離および同定
  • 2. 熱測定による粉体の油脂酸化能の評価
    • 2.1 油脂/粉体混合物の酸素ガスフローDTA曲線
    • 2.2 酸化防止剤添加ひまし油のBreak time
    • 2.3 酸化防止剤添加ひまし油のAOMテスト
    • 2.4 Break timeとAOM時間との対応
    • 2.5 ひまし油の酸化におよぼす赤色酸化鉄の効果
    • 2.6 ひまし油の酸化におよぼす各種粉体の効果
    • 2.7 粉体の酸・塩基性点と油脂酸化活性
第3章 粉体による香料成分の分解
  • 1. 窒素気流中での粉体によるリナロールの分解
    • 1.1 粉体によるリナロールとt-ブチルアルコールの分解率の比較
    • 1.2 リナロール分解物の同定
    • 1.3 粉体によるリナロール分解物の分布
    • 1.4 粉体量と分解物分布
    • 1.5 粉体によるリモネンとターピノーレンの反応
    • 1.6 粉体によるリナロールの分解機構
  • 2. 空気存在下での粉体によるリナロールの分解
    • 2.1 空気存在下での粉体によるリナロールの分解
    • 2.2 分解物a,b,cの同定
    • 2.3 油脂の酸化との比較
第4章 粉体によるプロピレンオキサイドの反応
  • 1. 粉体上でのプロピレンオキサイドの異性化
    • 1.1 二酸化チタン上のピリジン吸着スペクトル
    • 1.2 二酸化チタン上のプロピレンオキサイドの吸着スペクトル
    • 1.3 二酸化チタンによるプロピレンオキサイドの異性化機構
    • 1.4 二酸化チタン上でのプロピレンオキサイドの異性化機構
  • 2. 粉体によるプロピレンオキサイドの重合
    • 2.1 粉体上でのプロピレンオキサイドの反応
    • 2.2 n-ヘキサン中での粉体によるプロピレンオキサイドの反応
    • 2.3 粉体上でのプロピレンオキサイドの重合機構
第5章 粉体によるスチレンの重合
  • 1. スチレンによる粉体の気相処理
    • 1.1 スチレンによる粉体の気相処理
    • 1.2 スチレン気相処理粉体の物性
    • 1.3 粉体による液相でのスチレンの重合
    • 1.4 粉体の触媒活性とスチレンの重合機構
第6章 粉体によるジメチルシロキサンの重合
  • 1. CVDによる粉体へのジメチルシロキサンの処理
    • 1.1 CVDによる粉体へのD3処理
    • 1.2 D3処理粉体の触媒活性
    • 1.3 D3処理粉体の表面分析
    • 1.4 重合物の構造および重合機構
  • 2. 粉体による環状ジメチルシロキサンの液相での重合
    • 2.1 液相系での粉体によるD4の重合
    • 2.2 低分子量DMSの同定
    • 2.3 希釈系での生成物
  • 3. 低温プラズマを用いたジメチルシロキサンの表面処理
    • 3.1 D3によるカオリンのプラズマ処理
    • 3.2 表面処理カオリンによるリナロールの分解
    • 3.3 表面処理カオリンのTG-DTA結果
    • 3.4 表面処理カオリンの赤外吸収スペクトル
    • 3.5 熱分解ガスクロマトグラフィー
第7章 シリコーンナノコ-ティング
  • 1. コーティング方法
  • 2. MS-粉体表面のポリマーの構造
  • 3. タイプⅠのPMS-粉体のキャラクタリゼーション
  • 4. タイプⅡのキャラクタリゼーション
    • 4.1 H-4による雲母の処理
    • 4.2 環状シロキサンの種類による雲母の反応性の変化
    • 4.3 雲母とシロキサン液体との反応
  • 5. 粉体表面でナノ膜が形成される理由
  • 6. ナノコーティングされた粉体の性質
    • 6.1 疎水性
    • 6.2 触媒活性封鎖
    • 6.3 酸化抑制
第8章 シリコーンナノコーティングされた粉体の焼成
  • 1. PMS-マグネタイトの焼成
    • 1.1 PMS-マグネタイトの性質
    • 1.2 PMS-マグネタイトの焼成
    • 1.3 PMS-マグネタイトの焼成による色の変化
    • 1.4 PMS-マグネタイトの焼成による結晶構造の変化
    • 1.5 PMS-マグネタイトの熱分析
    • 1.6 PMS-マグネタイトのPMS量と結晶転移
  • 2. PMS-二酸化チタンの焼成
    • 2.1 PMS-二酸化チタンの焼結
    • 2.2 PMS-二酸化チタンの焼成による結晶構造の変化
    • 2.3 PMS-二酸化チタンの焼成による表面性質の変化
    • 2.4 PMS-二酸化チタンの焼成による触媒活性点の変化
    • 2.5 焼成したPMS-二酸化チタンの光抗菌作用
第9章 機能性ナノコーティング
  • 1. ペンダント基の付加
  • 2. アルキル基の付加
    • 2.1 粘度測定による付加反応の評価
    • 2.2 アルキル基付加粉体の分散性
  • 3. アルコール性水酸基の付加
  • 4. イオン交換基の付加
第10章 機能性ナノコーティングの応用
  • 1. 化粧品への応用
    • 1.1 アルキル基付加粉体の応用
    • 1.2 アルキル基付加粉体の乳化系での応用
    • 1.3 水酸基付加粉体の応用
    • 1.4 第四級アンモニウム塩付加粉体の応用
  • 2. 塗料への応用
  • 3. 高速液体クロマトグラフィー用カラム充填剤
    • 3.1 カラム充填剤の調製法
    • 3.2 カプセルS/S-C18の表面構造
    • 3.3 細孔分布とポリマーの膜厚
    • 3.4 溶出特性および理論段数
    • 3.5 分離特性
    • 3.6 耐アルカリ性
    • 3.7 様々なタイプのカラム充填剤の調製
  • 4. その他の応用

執筆者

福井 寛

福井技術士事務所

代表 / 技術士 (化学部門)

出版社

お支払い方法、返品の可否は、必ず注文前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本出版物に関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(出版社への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

体裁・ページ数

B5判 並製本 253ページ

ISBNコード

ISBN978-4-86428-029-7

発行年月

2011年11月

販売元

tech-seminar.jp

価格

47,500円 (税別) / 52,250円 (税込)

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/4/22 電子機器の防水設計の基礎と応用・不具合対策 オンライン
2024/4/23 ポリマー表面へのタンパク質吸着制御と評価、表面設計 オンライン
2024/4/23 トライボロジー (摩擦、摩耗、潤滑) の基礎と耐摩耗対策、摩擦制御法 オンライン
2024/4/23 めっき膜の密着性評価と剥離対策 オンライン
2024/4/24 スラリーの挙動と制御およびリチウムイオン電池電極スラリー化技術と評価方法 オンライン
2024/4/25 耐指紋・防汚性材料の設計、評価、応用、今後の展望 オンライン
2024/4/25 燃料電池・水電解の基本を電気化学の基礎から学ぶ1日速習セミナー オンライン
2024/4/25 工業触媒の基礎とスケールアップ技術および触媒劣化対策 オンライン
2024/4/25 プラスチックフィルムの表面処理・改質技術と接着性の改善評価方法 オンライン
2024/4/26 塗布膜乾燥プロセスの解明・考察・本質の理解と塗布膜の設計、不良・欠陥対策への応用 オンライン
2024/4/26 塗装・コーティング現場のゴミ・異物対策実践セミナー 東京都 会場
2024/4/26 スプレードライ (噴霧乾燥) の基本原理、運転管理と実用総合知識 オンライン
2024/4/26 セラミック粉体プロセスの基礎と高機能セラミックスの創製 オンライン
2024/5/6 トライボロジー (摩擦、摩耗、潤滑) の基礎と耐摩耗対策、摩擦制御法 オンライン
2024/5/7 工業触媒の基礎とスケールアップ技術および触媒劣化対策 オンライン
2024/5/7 異種材料接着に向けた金属の表面処理技術と接着性の改善 オンライン
2024/5/8 高分子の接着性改善と表面処理、界面の構造評価技術 オンライン
2024/5/10 スプレードライヤ (噴霧乾燥) の基礎と実践および応用技術 東京都 会場・オンライン
2024/5/10 スラリーの分散状態の制御と調製、評価技術 オンライン
2024/5/13 微粒子の分散安定化の基礎と実際 オンライン

関連する出版物

発行年月
2023/11/30 造粒プロセスの最適化と設計・操作事例集
2023/8/31 分散剤の選定法と効果的な使用法
2023/8/31 “ぬれ性“の制御と表面処理・改質技術
2023/5/31 塗布・乾燥のトラブル対策
2023/3/10 メタンと二酸化炭素
2022/5/20 コーティング技術の基礎と実践的トラブル対応
2022/2/26 カーボンニュートラルを目指す最新の触媒技術
2021/10/29 金属ナノ粒子、微粒子の合成、調製と最新応用技術
2021/7/30 水と機能性ポリマーに関する材料設計、最新応用
2021/4/20 触媒からみる炭素循環 (カーボンリサイクル) 技術 2021
2021/3/26 超撥水・超撥油・滑液性表面の技術 (第2巻) (製本版 + ebook版)
2021/3/26 超撥水・超撥油・滑液性表面の技術 (第2巻)
2021/2/16 ポリマーアロイ/ブレンドにおける相溶性・分散条件の最適設計、評価応用の最新技術
2020/11/30 触媒の劣化対策、長寿命化
2020/1/31 溶解度パラメータ (SP値・HSP値) の求め方と微粒子の分散安定化への活用術
2019/12/20 高分子の表面処理・改質と接着性向上
2019/10/31 粉体の上手な取り扱い方とトラブルシューティング
2019/1/31 マテリアルズ・インフォマティクスによる材料開発と活用集
2018/11/30 複雑高分子材料のレオロジー挙動とその解釈
2018/8/31 防汚・防水・防曇性向上のための材料とコーティング、評価・応用