技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

ポリ乳酸の基礎から技術・市場開発最前線まで

ポリ乳酸の基礎から技術・市場開発最前線まで

~生分解性プラスチックの中からポリ乳酸が選択される理由~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは、生分解性プラスチックの中でポリ乳酸を取り上げ、その学術的・技術的基礎から解説し、ポリ乳酸の高性能・高機能化技術と製品・市場開発の最前線について詳解いたします。

開催日

  • 2024年11月8日(金) 10時30分 16時30分

受講対象者

  • 生分解性プラスチック・バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • 生分解性プラスチックの基礎から最先端技術の取得を目指す初級~中級技術者
  • 最新の法規制動向や用途・製品・市場開発動向を知りたい開発営業者

修得知識

  • 21世紀の地球環境保全と持続可能な資源循環型社会に向けての国内外動向
  • ポリ乳酸の基礎と生分解特性、抗菌・防カビ性、高性能・高機能化技術
  • ポリ乳酸の成形加工、製品設計と最新用途・製品・市場開発動向

プログラム

 世界的にポリ乳酸生産設備の新設・増産計画が相次いでいる (2024年には約50万トン/年) 。数ある生分解性プラスチックの中で、なぜポリ乳酸が選択されるのか?
 通常の生分解性プラは使い捨て等の短期使用しかできないのに対し、ポリ乳酸は短期使用から長期使用耐久性構造材料まで、既存の石油系プラスチックを代関し得る潜在的能力を有している。また、通常の生分解性プラは基本特性からして細菌やカビが生え易い欠点を有しているのに対し、ポリ乳酸は逆に優れた抗菌・防カビ性を発現する。
 本講ではその学術的・技術的基礎を明らかにするために、ポリ乳酸の特異的な生分解機構や分解 (開始・速度) 制御技術、ポリ乳酸の高性能・高機能化材料設計や成形加工技術と共に製品・市場開発の最前線を踏査する。1980年代の後半より今日までの約35年間、産学両分野においてポリ乳酸の基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆け成し遂げた世界的第一人者による覚醒のセミナーである。

  1. 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
      1. 海洋プラスチック汚染問題の正しい理解と生分解性プラスチックの役割
        • 海洋プラ濃度の経年変化 (累積増加) 曲線
        • 海洋汚染問題に対する短期的視点と長期的 (グローバルな) 視点
        • 海洋自然生態系が許容し得る海水中の生分解速度 … ポジティブコントロールとは
      2. 地球上に生命が誕生して38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
      3. 自然界が有する真のリサイクルシステムである物質循環 (炭素循環) へのリンク
    2. ライフサイクルアセスメント (LCA) による環境負荷の客観的・定量的評価
    3. 世界の法規制と業界動向
      1. 世界の法規制動向
      2. 欧米グリーンガイド指針 … ポイ捨てを助長する生分解性 (biodegradable) 表示は禁止、生ごみと共に堆肥化可能 (compostable) 表示
      3. 生分解性プラスチックのcompostable認証基準とは
      4. 業界動向 … 世界ラーメンサミット「大阪宣言」、ラーメン容器を生分解性に
    4. 生分解性バイオマスプラとしてのポリ乳酸の再資源化 (リサイクル)
      1. マテリアルリサイクル … 配膳トレーからプランターへ (2005年 愛地球博)
      2. ケミカルリサイクル … 熱分解による原料ラクチドへの還元
      3. バイオリサイクル
        1. グローバルには、自然界の真のリサイクルシステムである炭素循環にリンク
        2. ローカルには、使用後に食品残渣 (生ごみ) 等と共にバイオリサイクル
          • 堆肥化/好気性下
            • 肥料
            • 土壌改良剤
          • バイオガス (CH4) 化/嫌気性下
            • ボイラー
            • 生ごみ発電
    5. 生分解性バイオマスプラの原料ソース … 食料から非可食バイオマス資源への転換
      1. 食料 (デンプン) ではなく非可食の木材パルプ (セルロース) からポリ乳酸を
      2. プラスチック原料を石油系ナフサから廃植物油由来バイオマスナフサへの転換
  2. 生分解性プラスチックの分類、基本特性と最新動向
    1. 学術・技術用語の正しい理解
      1. バイオプラスチックとバイオマスプラスチックの違いとは?
      2. 日本バイオプラスチック協会 (JBPA) 識別表示制度 (2021年9月改定)
  3. 生分解性プラ
  4. 生分解性バイオマスプラ
  5. バイオマスプラ
    1. 生分解性とは … 微生物が資化・代謝して無機化 (CO2ガス発生) すること
    1. 生分解性認証試験 … ISO14855、JIS K6395、その他
    2. 代表的な生分解性プラスチックの分類と特徴
      1. 硬質タイプ … ポリ乳酸 (PLA) :Tg/Tm = 57℃/175℃
      2. 軟質タイプ
  6. ポリブチレンアジペート・テレフタレート (PBAT) :Tg/Tm = -35℃/115℃
  7. ポリブチレンサクシネート系 (PBS, PBSA) Tg/Tm = -47℃〜 -35℃/84〜115℃
    1. その他
      • 微生物産生ポリエステル系
        • PHBV
        • PHBH
      • デンプン系など
    1. 生分解機構の分類と特徴
      1. 酵素分解型 … 微生物が分解酵素を分泌し材料表面から分解 (surface erosion)
      2. 非酵素分解型 … 加水分解により全体的に崩壊・分解 (bulk degradation)
  8. ポリ乳酸の生分解機構と分解 (開始・速度) 制御技術
    1. 生分解機構と分解制御技術
      1. 2段階2様式の特異的な生分解機構 … 生分解性と耐久性の両立可
        • 第一ステップ … 化学的加水分解による分子量低下 (強度低下) と形状崩壊
        • 第二ステップ … 1で生成した水溶性乳酸を微生物が資化・代謝 (生分解)
      2. Tg:58℃≒生ごみ堆肥化温度 … 分解開始トリガー (自動スイッチオン機構) 内包
    2. 分解速度制御技術と製品寿命 … 短期使用から長期耐久性構造材料まで
      1. タイプ S (残留ラクチド:多) … 分解速度速い/製品寿命短い
      2. タイプ M (残留ラクチド:少) … 中程度
      3. タイプ L (残留ラクチド:少、COOH末端基封鎖) … 分解速度遅い/製品寿命長い
  9. ポリ乳酸の安全性、食品衛生性と抗菌・防カビ性
    1. 安全性
    2. 食品衛生性
      • 食品衛生法/厚生省告示370号
      • ポリ衛恊 (ポリオレフィン等衛生協議会) PL
      • FCN
      • EU
    3. 抗菌・防カビ性
      1. ネズミ食害試験
      2. プラスチックのカビ抵抗性試験 … JIS Z-2911
      3. 生鮮イチゴ収納容器のカビ抵抗性試験
      4. 繊維の抗菌・防カビ性試験 … 繊維製品新機能評価協議会・抗菌防臭加工基準
      5. 消費者から寄せられた声
        • 生分解性にもかかわらず、抗菌・防カビ性を有する唯一の生分解性プラスチック
  10. ポリ乳酸の高性能・高機能化技術と製品・市場開発動向
    1. 第二世代ポリ乳酸 … 高L組成PLA (high LPLA) , %D<0.5,
    2. ポリ乳酸の高性能・高機能化材料設計技術
      1. 衝撃性 … 耐衝撃性改良剤、PLA+PBAT 又は PBSブレンド体
      2. 耐熱性 (透明耐熱性) … 分散型核剤 (溶解型核剤) 、結晶化促進剤
      3. 寸法安定性
    3. ポリ乳酸の成形加工と製品・市場開発最前線
      1. 成形加工性
        • 押出成形
        • 射出成形
        • 真空・圧空成形
        • 発泡成形
        • ブロー成形
      2. ポリ乳酸製品・市場開発動向 … 多数の製品写真を紹介
        1. 食品容器・包装材
        2. 生活雑貨
        3. 農林・土木・水産資材
        4. 産業資材
  11. 質疑応答

講師

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 45,000円 (税別) / 49,500円 (税込)
複数名
: 20,000円 (税別) / 22,000円 (税込) (案内をご希望の場合に限ります)

案内割引・複数名同時申込割引について

シーエムシーリサーチからの案内をご希望の方は、割引特典を受けられます。
また、2名様以上同時申込で全員案内登録をしていただいた場合、1名様あたり半額の 20,000円(税別) / 22,000円(税込)となります。

  • Eメール案内を希望する方
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 40,000円(税別) / 44,000円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 40,000円(税別) / 44,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 60,000円(税別) / 66,000円(税込)
  • Eメール案内を希望しない方
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 90,000円(税別) / 99,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 135,000円(税別) / 148,500円(税込)

アカデミック割引

  • 1名様あたり 24,000円(税別) / 26,400円(税込)

学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院の教員、学生に限ります。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/1/6 チクソ性の基礎、制御、測定・評価と実用系への活用方法 オンライン
2025/1/7 高感度化フォトレジスト材料の合成・設計・開発技術 オンライン
2025/1/8 高分子・ポリマー材料の合成、重合反応の基礎、プロセスと工業化・実用化の総合知識 オンライン
2025/1/10 欧州連合 (EU) の食品包装規制と安全問題の最新動向 オンライン
2025/1/15 高分子の劣化・変色メカニズムと対策技術、評価方法 オンライン
2025/1/15 高分子重合反応の基礎とモノマー・開始剤の選定、プロセス最適化 オンライン
2025/1/15 分子シミュレーションによる高分子材料の内部構造と破壊メカニズムの解析 オンライン
2025/1/16 プラスチック・樹脂における耐衝撃性向上技術と衝撃特性解析 オンライン
2025/1/17 高分子の結晶化メカニズムと解析ノウハウ オンライン
2025/1/20 「ポリプロピレン」の材料としての基本的な構造、特性、その応用 オンライン
2025/1/20 化学反応型樹脂の硬化率・硬化挙動の測定・評価法 オンライン
2025/1/20 プラスチックのリサイクル促進に向けた材料設計・成形加工の技術と知識 オンライン
2025/1/21 UV硬化の基礎と硬化不良対策および影部の硬化 東京都 会場
2025/1/21 ポリフェニレンサルファイド (PPS) 樹脂の基本特性と製造・加工技術および高機能化 オンライン
2025/1/21 分子シミュレーションによる高分子材料の内部構造と破壊メカニズムの解析 オンライン
2025/1/21 高分子材料における結晶化・ガラス転移の基礎と評価 オンライン
2025/1/21 ポリウレタン樹脂原料の基礎と最新動向 オンライン
2025/1/22 欧州連合 (EU) の食品包装規制と安全問題の最新動向 オンライン
2025/1/24 プラスチック射出成形過程の可視化とソリ変形予測技術 オンライン
2025/1/24 材料開発にレオロジーを活用するための考え方と実践 オンライン

関連する出版物

発行年月
2024/7/29 サステナブルなプラスチックの技術と展望
2024/7/22 世界のレトルトフィルム・レトルトパウチの実態と将来展望 2024-2026 (書籍版 + CD版)
2024/7/22 世界のレトルトフィルム・レトルトパウチの実態と将来展望 2024-2026
2024/7/17 世界のリサイクルPET 最新業界レポート
2024/6/28 ハイドロゲルの特性と作製および医療材料への応用
2024/5/30 PETボトルの最新リサイクル技術動向
2024/2/29 プラスチックのリサイクルと再生材の改質技術
2023/10/31 エポキシ樹脂の配合設計と高機能化
2023/9/1 プラ容器 vs 紙包装 vs パウチ包装市場の現状と展望 [書籍 + PDF版]
2023/9/1 プラ容器 vs 紙包装 vs パウチ包装市場の現状と展望
2023/7/31 熱可塑性エラストマーの特性と選定技術
2023/7/14 リサイクル材・バイオマス複合プラスチックの技術と仕組
2023/3/31 バイオマス材料の開発と応用
2023/1/31 液晶ポリマー (LCP) の物性と成形技術および高性能化
2023/1/6 バイオプラスチックの高機能化
2022/12/31 容器包装材料の環境対応とリサイクル技術
2022/10/5 世界のプラスチックリサイクル 最新業界レポート
2022/8/31 ポリイミドの高機能設計と応用技術
2022/5/31 自動車マルチマテリアルに向けた樹脂複合材料の開発
2022/5/31 樹脂/フィラー複合材料の界面制御と評価