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ドライバ状態の検出、推定技術と運転支援、自動運転への応用

ドライバ状態の検出、推定技術と運転支援、自動運転への応用

~眠気や疲労、体調不良など危険な状態をどう検出し、支援技術へとつなげるのか~
東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2016年5月13日(金) 10時00分 17時25分

プログラム

第1部 ドライバの運転時の脳活動計測と負担軽減の評価

(2016年5月13日 10:00〜11:15)

 近年、ドライバの運転時の負担を軽減することで安全を確保する様々な運転支援システムが開発・導入されている。しかし、運転支援システムによる負担の軽減によってドライバの注意力が低下し、予期せぬ事故の原因になることが考えられる。すでに運転支援システムの導入にともなうドライバのネガティブな行動変化が報告されておりより安全な運転支援システムの開発には、ドライバの運転時の負担・注意の評価をする必要がある。特に、運転中の認知・判断を行っている脳の活動とドライバの負担・注意の関係について明らかにする必要がある。
 自動車運転中の脳活動を計測する方法としては、近赤外分光法 (NIRS: Near-Infrared Spectroscopy) がある。NIRS は近赤外光を用いて、酸素化ヘモグロビン (oxy-Hb) と脱酸素化ヘモグロビン (deoxy-Hb) の変化量を測定する装置であり、自然な状態で実験が行えるため運転時の脳機能の評価を行う上で有望な方法である。現在、NIRS 計測によるドライビングシミュレータ、実車運転時のドライバの脳活動が報告されており、脳活動から運転時の負担を評価できる可能性を示している。しかし、NIRS はその測定原理上、測定値が相対変化の値であるため、定量的な評価が難しいという欠点があり、脳活動計測による運転支援システムの評価を行うことが困難であった。そこで、ドライバの脳活動から運転支援システムによる負担の変化を評価することを目的とし、脳活動の特徴を評価する指標の開発を行い、ドライビングシミュレータを用いて、前述のACC による運転負担の変化を開発した指標により評価検証した結果について説明する。先行車を追従する課題を設定し、ACCを用いずに、実験参加者自らの操作によって追従する条件と、ACCを利用して追従する二つの条件で実験し、その脳活動の特徴の違いを定量的に評価した。

  1. 研究背景
  2. NIRS による脳活動計測
    1. NIRS計測原理
    2. 信号処理方法
  3. ドライビングシミュレータを用いた運転実験
    1. 実験デザイン
    2. 運転実験
    3. 実験結果
  4. 評価指標の開発と運転評価
    1. 酸素化ヘモグロビン (oxy-Hb) とその変化率の挙動
    2. NIRS 信号の分離度
    3. 分離度による運転評価
    4. 検定結果
  5. まとめ
    • 質疑応答

第2部 顔面熱画像計測によるドライバの眠気評価

(2016年5月13日 11:25〜12:40)

顔面皮膚温はサーモグラフィ等を利用することにより、非接触かつ非侵襲的に生理状態を評価可能な生理指標となります。この顔面皮膚温に基づいて眠気を評価・推定する方法に関して、生体システムのメカニズムに基づく原理、計測方法、留意点などを概説します。

  1. 生体システムとその計測
  2. 顔面皮膚温に基づく眠気評価の原理
    1. 自律神経系活動と皮膚温変動のメカニズム
    2. 顔面熱画像計測の留意点
    3. 顔面皮膚温変動の特性と眠気評価法
  3. 鼻部皮膚温に基づく眠気評価
  4. 顔面サーモグラフィに基づくドライバの眠気評価
  5. 顔面皮膚温による眠気評価に関する最新研究動向
    • 質疑応答

第3部 ドライバ運転状態の計測技術

(2016年5月13日 13:20〜14:35)

 高齢者ドライバの急増などにより自動車側に要求される運転支援も高度化・多様化しつつある。これに対応するために、多くの研究者がドライバの個性を情報・数値化する技術を通じ、社会や歩行者に対して安全な運転の実現、多様化するドライバの運転能力の平準化を目指した新たな運転支援のあり方について研究を行ってきた。
 本講演は、HMIにおけるドライバの個性の計測・解析に基づく運転状態を先読む手法の研究成果についてご紹介します。

  1. 背景
  2. 予防安全とは
    1. 予防安全の仕組み
    2. 予防安全支援システムの基本構成
  3. ドライバ運転状態計測の研究現状
    1. 操作行動による漫然状態の計測
    2. 応答時間と追従行動の計測
    3. GMMモデルによる意図推定
    4. 表情変化による覚醒状態の計測
    5. 視線注視による集中度の計測
    6. 眼球運動と握力による眠気の計測
  4. 今後の課題
    • 質疑応答

第4部 瞬目群発と単独瞬目を用いた居眠り運転のリアルタイム検出法

(2016年5月13日 14:45〜16:00)

  1. 研究背景と目的
  2. 居眠りに関する生理学的知見
    1. 覚醒水準
    2. 眠気表情値
    3. 瞬き
    4. 瞬目群発
  3. 画像処理による瞬き検出
    1. 目追跡法
    2. 瞬き検出法
  4. 覚醒度と瞬きの関係
    1. 実験方法および装置
    2. 眠気表情値の解析
    3. 眠気表情値と瞬目特徴の関係
  5. リアルタイム居眠り検出法
    1. 居眠り検出タイミングの比較
    2. 映像の時間分解能と居眠り検出特性
  6. まとめと今後の展望
    • 質疑応答

第5部 ドライバの体調急変検知技術と自動停止システム

(2016年5月13日 16:10〜17:25)

運転中の体調不良は、ドライバや同乗者のみならず、周囲の人々も巻き込む重大事故となる可能性があります。実際に、運転中の発作・急病など突然の体調不良が原因と考えられる交通事故により多くの歩行者が死傷する事例が報道され、世間の関心を集めています。そのような社会情勢を受け、法規制の整備が進められていますが、同時に自動車側で事故を未然に防ぐ技術の開発、普及が求められます。本講座では、ドライバの体調不良による事故実体と、それに基づき開発し、世界に先駆けて公開した自動停止システムの実例を述べます。

  1. ドライバの体調急変による交通事故
    1. 事例紹介
    2. ドライバの体調急変による交通事故統計データ
    3. ドライバの体調急変の原因となる疾患
    4. 体調急変時のドライバや車両挙動
  2. ドライバの体調不良と運転支援システム
    1. 研究例
    2. 実用例
    3. 今後の動向
  3. ドライバの体調不良検知による自動運転システムの実例
    1. 対象とした体調不良範囲
    2. 体調不良のセンシング
    3. 自動運転を可能にする要素技術
    4. システム構成
    5. 今後の課題
    • 質疑応答

講師

  • 綱島 均
    日本大学 生産工学部 機械工学科
    教授
  • 野澤 昭雄
    青山学院大学 理工学部 電気電子工学科
    教授
  • 章 忠
    広島工業大学 工学部 知能機械工学科
    教授
  • 高野 博史
    富山県立大学 工学部 知能デザイン工学科
    准教授
  • 青木 宏文
    名古屋大学 未来社会創造機構 人とモビリティ社会の研究開発センター
    特任教授

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
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主催

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