技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

リン酸鉄 (LFP) 系リチウムイオン電池の開発動向と電極特性

リン酸鉄 (LFP) 系リチウムイオン電池の開発動向と電極特性

~低温帯での容量低下への対応 / 高出力化を実現する電極加工技術~
オンライン 開催

開催日

  • 2025年1月24日(金) 10時30分 16時15分

受講対象者

  • リチウムイオン電池の技術者・研究者
  • EVなど大型リチウムイオン電池の研究と開発に携わる方

修得知識

  • リチウムイオン電池における正極材の選定と評価方法
  • リチウムイオン電池の劣化機構
  • 電池内のデザイン変更による電池性能向上

プログラム

第1部 リン酸鉄 (LFP) ・リン酸マンガン鉄リチウムイオン (LMFP) 電池の市場と技術展望

(2025年1月24日 10:30〜12:30)

 LFP正極材の歴史は古い、既に基本特許は切れているが、20年を経て大きく発展したのは意外であった。当初からLFPの種々の欠点は指摘されており、1.放電電圧が低い3.4〜3.2V 2.電気伝導性がないので炭素コーティングが必要 3.電極密度が上がり難い…等々であった。
 一方でその欠点が、数年前からのEV電池のサプライ・チェーン問題、遷移金属系NiとCoの不足が、原料に不安のないLFPの再評価となった。電圧の低いことは、充電電圧も相対的に低く、電解液に対するストレスが低いことが、安全性につながった。
 また意外であったのは、正極材でありながら、カーボンコーティングされた粒子は、電極板製造時に、安価な水系バインダー (SBR) が使用可能である。サプライとコストの制約が大きいPVDFバインダーを使用しないことが評価された結果である。
 LFPの出力電圧アップを狙ったのが、マンガンを加えたLMFPである。開発途上であり、その電圧プロファイルなどから、直ちに使用可能とは言えず、Mn独自のMn++の溶出も完全に解決された訳ではない。本講では現在までのデータを解析的に示したい。

  1. リチウムイオン電池における正極材
    1. 正極と負極、役割分担
    2. 充放電と正極材の挙動
    3. 単元系正極材
    4. 二元、三元系正極材
    5. コバルト削減へのステップ
  2. リン酸鉄リチウム (LFP) 正極材 LiFePO4
    1. 開発の経緯
    2. 初期の電池製品例
    3. LFPセルの基本特定と比較
    4. 最近のEVへの拡大
    5. 電極バインダーの変化
    6. 関連資料
  3. リン酸マンガン鉄リチウム (LMFP) 正極材
    1. マンガン系正極材の歴史
    2. LMFPの登場
    3. LMFP正極材の基礎特性
    4. 今後の応用展開
    • 質疑応答

第2部 LFP系リチウムイオン電池の不均一反応による容量低下

(2025年1月24日 13:30〜14:30)

 リチウムイオン電池は低温、高率充電で負極にLiが析出し、寿命・安全性に影響を及ぼすことが知られている。本報告では、定置用途として有望視されているリン酸鉄リチウム (LFP) 正極、炭素 (Gr) 負極電池を対象にし、Liの析出条件、機構解明を行った。その結果、従来の低温・高率充電以外の条件でもLi析出のリスクがあること、その要因がLFPとGrに特徴的な反応機構によることを明らかにした。

  1. 背景
    1. 定置用リチウムイオン電池 (LIB) の利用シーンとSOC運用範囲
    2. 金属Li析出に関する先行研究
    3. 金属Li析出に対する既報告と本報告の違い
  2. 試験条件
    1. リン酸鉄リチウムイオン電池 (LFP系LIB) の製品スペックと試験条件
    2. 非破壊劣化診断法 (dV/dQ法) による金属Li析出予測と充電末電池の解体調査
  3. 結果及び考察
    1. dV/dQ 法による金属 Li 析出予測について
    2. dV/dQ 法による金属 Li 析出予測の課題
    3. 非破壊での金属Li析出予測に対する多角的視点アプローチ:手法の提案
    4. 金属Li析出メカニズムをどのように説明するか?
    5. LFPLIB の容量回復について
  4. まとめ
    • 質疑応答

第3部 LFP正極の性能向上のためのレーザー加工穴あき電極の開発

(2025年1月24日 14:45〜16:15)

 電気自動車などの電力源として注目されているリチウムイオン二次電池は、現在、高容量化、高出力化など、今後の益々増える使用要求に対応できる性能の向上が急務である。その中で、様々な材料開発が行われているが、穴あき電極による電池の高出力化は従来のリチウムイオン電池の電極に穴をあけることで実現可能である。レーザー加工による電極への穴あけ加工技術を用いて、リチウムイオン二次電池の高出力化を実現した結果を紹介する。

  1. レーザー加工穴あき電極の必要性
  2. レーザー加工穴あき電極の作製法
  3. レーザー加工穴あき電極のレート特性
  4. レーザー加工穴あき電極のサイクル特性
  5. 電池のエネルギー密度向上のための電極の膜厚化
  6. 塗工量が違う両面塗工電極の性能とその改善
  7. LFP/活性炭電極によるレート特性の向上
  8. まとめ
    • 質疑応答

講師

  • 菅原 秀一
    泉化研株式会社
    代表
  • 庄野 久実
    東京電力ホールディングス株式会社 経営技術戦略研究所 技術開発部 エネルギーソリューションエリア
  • 松本 太
    神奈川大学 化学生命学部 応用化学科
    教授

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 55,000円 (税別) / 60,500円 (税込)
複数名
: 50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 50,000円(税別) / 55,000円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 55,000円(税別) / 60,500円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 100,000円(税別) / 110,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 165,000円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 請求書は、代表者にご送付いたします。
  • 他の割引は併用できません。

アカデミック割引

  • 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)

日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。

  • 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
  • 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
  • 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
  • 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
  • 支払名義が企業の場合は対象外とさせていただきます。
  • 企業に属し、大学、公的機関に派遣または出向されている方は対象外とさせていただきます。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/2/13 リチウムイオン電池におけるドライプロセスの現状とバインダーの技術展望 オンライン
2025/2/13 リチウムイオン電池電極製造プロセスにおける間欠塗工技術と乾燥、スラリー分散技術 オンライン
2025/2/14 導電性カーボンブラックの配合・分散技術と電池特性への影響 オンライン
2025/2/19 マテリアルズ・インフォマティクスによる電池材料開発事例 オンライン
2025/2/19 二酸化炭素の電解還元による資源化とその周辺技術の最新動向 オンライン
2025/2/20 リチウムイオン電池に要求される性能・安全性と一般的な評価手法 オンライン
2025/2/26 導電性カーボンブラックの配合・分散技術と電池特性への影響 オンライン
2025/2/26 リチウムイオン電池に要求される性能・安全性と一般的な評価手法 オンライン
2025/2/27 液中の粒子分散制御及び評価の要点 オンライン
2025/2/27 リチウムイオン電池の負極活物質 オンライン
2025/2/28 リチウムイオン電池電極製造プロセスにおける間欠塗工技術と乾燥、スラリー分散技術 オンライン
2025/3/7 リチウムイオンバッテリとバッテリマネジメントシステムの基礎と将来展望 東京都 会場・オンライン
2025/3/7 EV用リチウムイオン電池および全固体電池のリユース・リサイクル技術 オンライン
2025/3/10 xEV用電池リユースの現状と展望 オンライン
2025/3/10 エマルションフローによるリチウムイオン電池 (LIB) の水平リサイクル オンライン
2025/3/11 導電性カーボンブラック導電材の分散性向上技術と電池特性の向上 オンライン
2025/3/12 リチウムイオン電池の基礎と高性能化を実現するシリコン負極の最新技術 オンライン
2025/3/12 全固体リチウム二次電池の開発動向と実用化への課題 オンライン
2025/3/14 EV用リチウムイオン電池および全固体電池のリユース・リサイクル技術 オンライン
2025/3/17 カルマンフィルタの基礎理論 (原理と計算法) と実問題への応用 東京都 会場

関連する出版物

発行年月
2024/6/24 EV用リチウムイオン電池のリユース&リサイクル
2023/11/30 EV用電池の安全性向上、高容量化と劣化抑制技術
2023/11/29 リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023 [書籍 + PDF版]
2023/11/29 リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023
2023/6/14 車載用リチウムイオン電池リサイクル : 技術・ビジネス・法制度
2023/6/9 2023年版 リチウムイオン電池市場の実態と将来展望
2023/4/6 電池の回収・リユース・リサイクルの動向およびそのための評価・診断・認証
2023/3/10 2023年版 二次電池市場・技術の実態と将来展望
2023/2/28 リチウムイオン電池の長期安定利用に向けたマネジメント技術
2022/10/17 リチウムイオン電池の拡大と正極材のコスト & サプライ (書籍 + PDF版)
2022/10/17 リチウムイオン電池の拡大と正極材のコスト & サプライ
2022/9/16 2022年版 蓄電池・蓄電部品市場の実態と将来展望
2022/9/14 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (進歩編)
2022/9/8 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (基礎編)
2022/9/8 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (基礎編 + 進歩編)
2022/8/19 2022年版 リチウムイオン電池市場の実態と将来展望
2022/6/30 二次電池の材料に関する最新技術開発
2022/6/13 LiBメーカー主要7社
2022/6/13 LiBメーカー主要7社 (CD-ROM版)
2022/4/11 世界の車載用LIBのリユース・リサイクル 最新業界レポート