技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
2023年から2024年にかけて、日の出の勢いだった電気自動車販売の伸び率が鈍化している。電気自動車の最大手テスラの2024年第1四半期における新車販売台数、最終利益は、前年同期比減少している。米国、中国、欧州等の地域における販売台数が、値下げにもかかわらず伸び悩んでいる。電気自動車の伸び率鈍化の理由としては、1環境意識の強い、富裕層への電気自動車の販売が一通り完了したこと、2電気自動車は、ガソリン車、ハイブリッド車と比較して割高であり、一般のボリューム・ゾーンへの訴求力に欠けること、3ガソリン車と比較した短い航続距離、4蓄電池への充電インフラストラクチャーが整備されていないこと、5各国が電気自動車への補助金を削減していること、等が挙げられる。他方、中国は、BYDをはじめとした新興電気自動車メーカーが、政府の支援のもと、余剰生産能力による値下げ競争を強化し、テスラは価格競争についていけなくなっている。電気自動車の伸び率鈍化を尻目に、割安で使い勝手のよい日本のハイブリッド車の販売は好調で、トヨタの2024年3月期の純利益は4兆5,000億円と過去最高に達し、株式時価総額は2倍の60兆円を超え、テスラを猛追している。
しかし、長期的に見れば、脱炭素の流れのもと、電気自動車の普及は間違いない。2023年における電気自動車の世界販売台数は950万台と新車販売市場の10%を超えており、2026年に2,000万台、2035年に5,000万台を超えるという予測もある。電気自動車の生産台数の増加とともに、リチウム・イオン電池に必要不可欠なレア・メタル、レア・アースの価格が、資源エネルギー大国ロシアによるウクライナへの侵攻により不安定となっている。2022年春には、リチウム価格は前年比6倍、ロシアが主生産国となっているニッケルは過去最高値、その他にも、ネオジム、ジスプロシウム等のレア・アース価格も高騰した。レア・メタルの価格高騰は、電気自動車の中心となっているリチウム・イオン電池の価格上昇につながる。レアメタル価格の高騰とレアメタルに係わる地政学リスクへの対応から、三元系ではない、コバルト、ニッケルを使わないリン酸鉄リチウムイオン電池の技術革新が生まれ、BYD、テスラ等の電気自動車にも搭載されている。
これまでは電気自動車に距離を置いていると思われてきた世界首位の自動車メーカーのトヨタが、2021年12月14日に2030年に電気自動車の世界販売台数を350万台と大幅に引き上げ、2024年における目標は2026年までに年間150万台、投資額も蓄電池を含めて4兆円と、電気自動車に注力することを表明した。2022年1月にはソニーも、電気自動車をエンタテインメントの一つとして、参入することを表明し、日本を代表するソニーとホンダが手を組み、既存の大手自動車メーカー、IT企業、新興企業を巻き込んだ壮大な、「グレート・ゲーム」が行われている。COP26において、世界はカーボン・ニュートラルに向かうことで一致した。EV (電気自動車) 、FCV (燃料電池車) 等の開発・生産に、世界の大手自動車メーカーが研究開発競争を繰り広げ、新興企業が事業機会を狙っている。テスラのEV販売台数は2022年に131万台、2023年に180万台と、伸び率が鈍化し、中国のBYD、米国のGM、フォード等との電気自動車販売競争が熾烈なものとなっている。日本を含めた世界において、脱ガソリン車への動きは加速している。英国は2030年 (2023年夏に2035年に先送り) 、フランスは2040年、米国カリフォルニア州とニューヨーク州は2035年までに、ガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を打ち出し、米国バイデン政権も2030年に新車販売の50%を電動化することを表明している。日本も2030年代半ばには、ガソリン車から、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等の電動化を目指すこととしており、2022年6月には軽自動車EVの販売も本格化している。自動車販売が好調な中国は、2035年には新車販売の50%について電気自動車をはじめとするNEV (新エネルギー車) として、残りの50%をハイブリッド車とする環境対応を目標としていたものの、2024年1月には、2027年までにNEVを45%とする目標引き上げを行っている。テスラを追い抜くべく、トヨタ、フォルクス・ワーゲン、GM等の大手自動車メーカーが、電気自動車とリチウム・イオン電池の開発競争を強化している。電気自動車は、トラック部門にも拡大し、ダイムラーは、航続距離800キロメートルの大型トラックを2024年に量産化する。
リチウム・イオン電池の技術革新と価格低下により、IEA (国際エネルギー機関) による意欲的な見通しにおいては、2035年の世界の電気自動車市場は、新車販売の50%以上を占める。電気自動車は、スマート・フォンと比較して、1万倍近くのリチウム・イオン電池の容量を必要とし、レアメタルであるリチウム資源、コバルト資源の偏在と、需要の増加に供給が追いつかないうえに、ロシアによるウクライナへの侵攻もあって、正極材に使うリチウム、コバルト、ニッケルというレア・メタルの価格も高騰した。世界は、電気自動車の普及に向けて、レア・メタル、レア・アース争奪戦の様相を見せている。リチウム・イオン電池については、正極材、負極材、電解液、セパレーター等の素材において、日本企業が世界最先端の強みを持っていたが、製品、部品そのものは中国企業、韓国企業に世界市場を席捲されている。中国製の安価な電気自動車による市場席捲への脅威論、国内の自動車産業と労働者の保護から、EUは合成燃料による内燃機関を2035年以降も認め、米国のバイデン政権も2032年における電気自動車の普及目標を新車販売の35%に引き下げた。予想よりも時間がかかっている全固体電池の開発、リチウム、コバルト、ニッケル資源の開発状況と価格を見通し、高価なレアメタルを使わない蓄電池の開発動向等、2030年に向けての不透明感が増す次世代自動車の未来像を展望し、レア・メタルを含めて、日本企業にとっての事業機会について次世代自動車の第一人者が分かりやすく解説する。
日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。
開始日時 | 会場 | 開催方法 | |
---|---|---|---|
2025/2/12 | EV用リチウムイオン電池のリユース・リサイクル技術の動向と課題、今後の展望 | オンライン | |
2025/2/13 | 汎用リチウムイオン電池の特性・健全度 (劣化度) ・寿命の評価手法の詳細 | オンライン | |
2025/2/13 | リチウムイオン電池におけるドライプロセスの現状とバインダーの技術展望 | オンライン | |
2025/2/13 | リチウムイオン電池電極製造プロセスにおける間欠塗工技術と乾燥、スラリー分散技術 | オンライン | |
2025/2/14 | 導電性カーボンブラックの配合・分散技術と電池特性への影響 | オンライン | |
2025/2/17 | 自動車の運動制御および自動運転による走行安全性の向上技術 | オンライン | |
2025/2/18 | 燃料電池、アンモニア、水素の最新動向と日本企業の事業戦略 | オンライン | |
2025/2/19 | EV / HEV用 主機モータとPCUの冷却・放熱技術 | 会場 | |
2025/2/21 | 汎用リチウムイオン電池の特性・健全度 (劣化度) ・寿命の評価手法の詳細 | オンライン | |
2025/2/26 | 導電性カーボンブラックの配合・分散技術と電池特性への影響 | オンライン | |
2025/2/27 | 液中の粒子分散制御及び評価の要点 | オンライン | |
2025/2/28 | 情勢変化・駆動源変遷に対応する自動車熱マネジメント技術の現状 | オンライン | |
2025/2/28 | リチウムイオン電池電極製造プロセスにおける間欠塗工技術と乾燥、スラリー分散技術 | オンライン | |
2025/3/7 | リチウムイオンバッテリとバッテリマネジメントシステムの基礎と将来展望 | 東京都 | 会場・オンライン |
2025/3/26 | 有機系材料を用いたナトリウムイオン電池の特性と最新研究動向 | オンライン | |
2025/4/14 | xEV用バッテリパックの設計と安全性試験・品質管理方法 | オンライン |
発行年月 | |
---|---|
2024/6/24 | EV用リチウムイオン電池のリユース&リサイクル |
2024/6/19 | 半導体・磁性体・電池の固/固界面制御と接合・積層技術 |
2024/4/15 | 無人配送車・システム 技術開発実態分析調査報告書 |
2024/4/15 | 無人配送車・システム 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版) |
2023/11/30 | EV用電池の安全性向上、高容量化と劣化抑制技術 |
2023/11/29 | リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023 |
2023/11/29 | リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023 [書籍 + PDF版] |
2023/11/15 | EV用モータの資源対策 |
2023/11/14 | x/zEV用電池の拡大 (目標、現状とグローバルな態勢) [書籍 + PDF版] |
2023/11/14 | x/zEV用電池の拡大 (目標、現状とグローバルな態勢) |
2023/7/6 | x/zEVへの転換2023 (各国の現状、目標と課題) [書籍 + PDF版] |
2023/7/6 | x/zEVへの転換2023 (各国の現状、目標と課題) |
2023/6/14 | 車載用リチウムイオン電池リサイクル : 技術・ビジネス・法制度 |
2023/6/9 | 2023年版 リチウムイオン電池市場の実態と将来展望 |
2023/5/19 | 世界の充電インフラ 最新業界レポート |
2023/4/6 | 電池の回収・リユース・リサイクルの動向およびそのための評価・診断・認証 |
2023/3/10 | 2023年版 二次電池市場・技術の実態と将来展望 |
2023/2/28 | リチウムイオン電池の長期安定利用に向けたマネジメント技術 |
2022/10/17 | リチウムイオン電池の拡大と正極材のコスト & サプライ |
2022/10/17 | リチウムイオン電池の拡大と正極材のコスト & サプライ (書籍 + PDF版) |