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ポリ乳酸の生分解機構から理解する耐久性と抗菌・防カビ性の発現機序

ポリ乳酸の生分解機構から理解する耐久性と抗菌・防カビ性の発現機序

~生分解性からスマートプラスチックへ~
オンライン 開催

概要

数多くある生分解性プラスチックの中でも、なぜポリ乳酸が選択されるのか。
本セミナーでは、ポリ乳酸の特異的な生分解機構と分解制御技術等を詳述し、最新の技術・市場開発動向についても解説いたします。

開催日

  • 2024年7月17日(水) 10時30分 16時30分

受講対象者

  • ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • ポリ乳酸に関連する分野のマーケティング担当者、事業企画担当者、経営者

修得知識

  • 地球環境保全と持続可能な源循環型社会に向けて、SDGsとしてのポリ乳酸
  • ポリ乳酸の生分解機構と分解制御技術、抗菌・防カビ性の発現機構
  • ポリ乳酸の高性能化材料設計技術、成形加工と最新用途・製品・市場開発動向

プログラム

 近年、数多くある生分解性プラスチックの中でもポリ乳酸 (PLA) は急速な市場拡大に伴い世界的な新設・増産計画 (2024年:約50万トン/年) が相次いでいる。なぜ、PLAが選択されるのか?その背景には、PLAは単なる生分解性プラではなく既に旧来の石油系汎用プラと同等の性能レベルを有しながら、本来ならばトレードオフの関係にある生分解性と耐久性の両立、生分解性と抗菌・防カビ性の両立を可能にしている、正しく次世代スマートプラスチックとしての基本的要件を内包していることにある。通常の石油系プラに比し著しく耐久性に劣り、しかも細菌やカビが生え易い酵素分解型生分解性プラ (微生物産生ポリエステル、デンプン系) がごく一部を除き既存石油系プラを代替することなどあり得ない。
 本講では、PLAの特異的な非酵素分解 (加水分解) 型生分解機構と長期使用耐久性や抗菌・防カビ性の発現機序の関係を詳述し、最新の技術・市場開発動向についても紹介する。

  1. 持続可能な開発目標 (SDGs) としてのポリ乳酸 (PLA)
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
      1. 20世紀の石油を原料とする合成高分子化学工業が内包するパラドックス
      2. 海洋プラスチック汚染問題の正しい理解と解決策
      3. 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環 (炭素循環) へのリンク
    2. PLAの基本特性
      1. 原料は枯渇しない植物由来の再生可能資源 (renewable resource)
      2. バイオマス由来で地球温暖化に関与しない (carbon – neutral)
      3. 優れた安全衛生性・食品衛生性 (safeandhygienic)
      4. 自然環境 (土壌、海水) 下での完全生分解性 (biodegradable)
      5. 使用後の再資源化 (bio – recycling)
  2. 好気性発酵による堆肥化可能 (compostable)
  3. 嫌気性メタン発酵による生ごみ発電 (garbage power generation) 可能
    1. PLAレジンメーカー
      1. ニートレジン : ネイチャーワークス、トタル・コービオン、豊原集団他
      2. コンパウンドレジン (高性能・高機能化PLAレジン) : ユニチカ
  4. ポリ乳酸の生分解機構、分解 (開始・速度) 制御技術と耐久性
    1. 非酵素分解 (加水分解) 型 : PLAを分解するのは微生物ではなく、単なる水
    2. PLAが内包する分解開始制御機構
      1. 2段階2様式の特異的な生分解機構 : 生分解性と耐久性の両立
        • 第一ステップ : 化学的加水分解による分子量低下 (強度低下) と形状崩壊
        • 第二ステップ : 1で生成した水溶性乳酸を微生物が資化・代謝 (生分解)
      2. Tg:58°C≒生ごみ堆肥化温度 : 分解開始トリガー (自動スイッチオン機構) 内包
    3. PLAの分解速度制御技術と耐久性
      1. タイプS (残留ラクチド:多) : 分解速度速い/製品寿命短い
      2. タイプM (残留ラクチド:少) : 中程度
      3. タイプL (COOH末端基封鎖) : 分解速度遅い/製品寿命長い
    4. PLAの様々な使用環境下における (非) 分解挙動
      1. 生体内 : 生体内分解吸収性医用材料 (タイプS)
      2. 自然環境下 (土壌、海水) : 農林・園芸・土木・水産資材 (タイプM)
      3. 室温下・短期使用 : 使い捨て容器・包装資材、生活・衛生・雑貨 (タイプM)
      4. 室温下・長期使用 : 電子機器筐体・部品、産業資材、自動車内装材 (タイプL)
      5. 高温高湿下・長期使用 (自動食器洗い機) : リターナブル食器 (タイプL) *PLAは使い捨て用途から長期耐久性構造材料までの製品寿命 (奉仕期間) を確保!
  5. ポリ乳酸の生分解性と抗菌・防カビ性の両立・同時発現機構
    1. ネズミ食害試験
    2. プラスチックのカビ抵抗性試験 : JISZ – 2911
    3. 生鮮イチゴ収納容器のカビ抵抗性試験
    4. 繊維の抗菌・防カビ性試験 : 繊維製品新機能評価協議会・抗菌・防臭加工基準
    5. ポリ乳酸の特異的な生分解機構と抗菌・防カビ性の発現機構
    6. 消費者から届けられた声
      1. ボディタオル : 長期間使用しても従来品のように嫌な臭いや着色がなく清潔
      2. 炊事場の水切りネット : ヌメリ (バイオフィルム) 形成による目詰まりがない
        • お餅にカビが生えるようにデンプン系や微生物産生ポリエステル系には真黒なカビが一面に生えるのに対し、PLAは生分解性でありながら卓越した抗菌・防カビ性を発現する
  6. ポリ乳酸の高性能化材料設計技術
    1. 耐熱性
      1. 結晶性高分子の耐熱性支配因子 : 成形加工工程での結晶化速度
        • 主剤 : 高L組成ポリ乳酸 (High%LPLA)
        • 添加剤 : 造核剤 (分散型、溶解型) 、結晶化促進剤、マルチ機能改質剤
      2. 耐熱性、透明耐熱性の現状到達レベル
        • 電気・電子機器筐体、部品 : 150°C/低荷重下 (0.45MPa)
        • 食品容器 : 120〜130°CX5分/電子レンジ加熱・ティバッグ、飲用カップ…95〜100°C/熱湯注入・透明耐熱性 (ヘイズ<5%) ...130°C
    2. 耐衝撃性
      1. 添加剤の選択・配合設計と作用機序
      2. 耐衝撃性の現状到達レベル
        • 電気・電子機器筐体、部品 : 9.6kJ/cm2 (シャルピー衝撃強度)
        • シート成形品 : 落球法 (100gの重りを50cmの高さから)
    3. 寸法安定性
      1. フィルムや繊維・不織布の熱収縮率低減
      2. 射出成形品などの経時変化 (収縮、そり) 防止
  7. ポリ乳酸の成形加工と製品・市場開発
    1. 成形加工性
      • 繊維・不織布・モノフィラメント
      • フィルム・シート
      • 真空成形
      • 射出成形
      • 発泡成形
        • 押出発泡
        • ビーズ発泡
      • ブロー成形
    2. 用途・製品・市場開発動向<多数の製品写真で説明>
      1. 自然環境下で使用する農林・園芸・土木・水産資材
      2. 短期間 (〜1年) 使用の使い捨て食品容器・包装材、食器具、生活・衛生資材
      3. 中期間 (3〜5年) 使用の衣料、生活雑貨、産業資材
      4. 長期間 (5〜10年以上) 使用の電気・電子機器筐体・部品、リターナブル食器、自動車内装部品、産業資材、3Dプリンター用フィラメント
  8. 質疑応答

講師

主催

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お問い合わせ

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(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,750円 (税込) (案内をご希望の場合に限ります)

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    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。
本セミナーは終了いたしました。

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