知財戦略と称されるものはどこの会社にもあると思います。しかしその多くは戦略と言うには程遠く、知財部門の活動計画にとどまっていることが多いように思います。いま、多くの企業では形式的な知財活動ではなく、真に事業に貢献する知財活動が求められてきています。本当の意味での知財戦略なしには事業に貢献する効果的な知財活動は難しいと思います。
　本講義では、真に事業に貢献するための知財戦略について、その策定方法から実践のポイントまでを、最近のコーポレートガバナンス・コードの改定をふまえながら、分かりやすく解説します。内容的には基礎的事項から最近の事業環境変化に応じうる知財戦略まで広範囲をカバーします。知財担当者はもとより研究者にもわかりやすくお話ししますが、一番聞いてほしいのは知財部門や研究開発部門のトップの方々です。

1. 研究開発と知財
   1. 知財に求められる役割の変化
2. 知財戦略の基礎
   1. 知財でできることとできないこと
   2. 経営戦略と知財戦略
   3. 企業における知財戦略の種類と策定方法
   4. 全社知財戦略の例
3. 世界の知財状況の変化とわが国企業の敗因
   1. 中国・米国の知財状況
   2. 我が国企業の敗因
4. 事業で勝つための知財戦略 (各論)
   1. コア技術の守り方
   2. 事業ポジションに応じた知財戦略
   3. 商品形態に応じた知財戦略
   4. 事業形態に応じた知財戦略
   5. IoT環境下の知財戦略
   6. 知財ミックス戦略
   7. 知財戦略の事例
      • 後発事業の知財戦略
      • 部品・材料事業の知財戦略
      • ニッチ事業の知財戦略等
5. ビジネスモデルと知財戦略
   1. ビジネスモデルと知財戦略
   2. オープン&クローズ戦略
6. 研究・開発現場での知財戦略 (テーマごとの知財戦略)
   1. テーマごとの知財戦略の構築方法
   2. 開発テーマ・商品の位置付け・狙いと知財戦略
   3. 開発現場での知財推進
   4. 商品ローンチまでに仕込む知財
7. 知財戦略実践のポイント
   1. 知財戦略推進上の留意点
   2. コーポレートガバナンス・コードの変更と対応
   3. トップ、研究者・技術者、知財担当者の役割分担
8. まとめ