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GXが目指すプラスチックリサイクルの真の姿

GXが目指すプラスチックリサイクルの真の姿

~先進的モデルとしてのポリ乳酸を例に~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは、ポリ乳酸を先進的モデルとして、マテリアルやケミカルリサイクルはもとより、これまでのリサイクル論には欠落しているバイオリサイクルについて解説いたします。

開催日

  • 2023年12月12日(火) 10時30分 16時30分

受講対象者

  • ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • ポリ乳酸に関連する分野のマーケティング担当者、事業企画担当者、経営者

修得知識

  • 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環 (炭素循環)
  • 生分解性バイオマスプラ“ポリ乳酸”の統合的なリサイクルシステム
  • ポリ乳酸の分解 (開始・速度) 制御及び高性能化材料設計技術とその応用展開

プログラム

 環境省は2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、経済社会全体を変革するべくGX (Green Transformation) への取り組みを進めている。その一環としてのプラスチックの資源循環戦略に関して、これまでの枯渇性化石資源を原料とする石油系プラに係る3R (リデュース、リユース、リサイクル) は真の解決策とはなり得ない中で、新たにRenewable (再生可能) なバイオマスプラに注目している。
 本講では、真に持続可能な資源循環型社会の構築を目指す上で、バイオマスプラの中でも自然界が有する真のリサイクルシステムである炭素循環にリンクした生分解性バイオマスプラとして近年脚光を浴びているポリ乳酸を先進的モデルとして、マテリアルやケミカルリサイクルはもとより、これまでのリサイクル論には欠落しているバイオリサイクルについて紹介する。使用後は有機性廃棄物 (生ごみ) と共に好気性下で堆肥化する取り組みに加え、最近では嫌気性下の乾式メタン発酵によるバイオマス発電の大型設備が建設される中で、その適応可能性が期待されている。

  1. 地球環境・資源・廃棄物問題とプラスチック
    1. 石油系非生分解性プラが内包する基本的問題点とその抜本的解決策
      1. 原料の石油は50年後には枯渇→原料は再生可能なバイオマス資源への転換
      2. 焼却による温暖化ガスの増大→カーボンニュートラルなバイオマス資源への転換
      3. 海洋プラ汚染などの廃棄物問題→非生分解性から生分解性プラへの転換
        • 結論: 自然界の真のリサイクルシステムである物質循環 (炭素循環) にリンクした生分解性バイオマスプラへの転換
    2. 日本におけるプラスチック廃棄物処理方法の現状と課題
      • 石油系プラの焼却をサーマルリサイクル (和製英語) と呼称し正当化するのは世界的に日本だけ、真のリサイクルではない!
      • 石油系PETボトルをマテリアルリサイクルしても問題の先送りに過ぎず、真の解決策とはなり得ない!
    3. 世界の法規制と業界動向
  2. 自然界が有する真のリサイクルシステムとしての物質循環 (炭素循環)
    1. 有機化合物を構成する基本元素
      • 炭素原子 ©
    2. 地球上に生命が誕生して38億年、地球は何故廃棄物で埋もれなかったのか?
    3. 有機化合物の物質循環としての炭素循環
    4. 自然界の炭素循環にリンクした生分解性バイオマスプラ
    5. バイオプラスチックに関する学術・技術用語の正しい理解
      1. バイオプラスチックとバイオマスプラスチックの違いとは?
      2. 日本バイオプラスチック協会 (JBPA) 識別表示制度 (2021年9月改定)
        1. 生分解性プラ
        2. 生分解性バイオマスプラ
        3. バイオマスプラ
      3. 生分解性とは
        • 微生物が資化・代謝して無機化 (CO2ガス発生) すること
  3. プラスチックリサイクルの先進的モデルとしてのポリ乳酸
    1. 自然から生まれ自然に還るポリ乳酸
      1. 安全性、食品衛生性
        • 食品衛生法告示370号
      2. 抗菌・防カビ性
        • 繊維の抗菌・防臭加工新基準、プラスチックのカビ抵抗性試験
      3. 環境低負荷特性
        • ライフサイクルアセスメント (LCA) による客観的・定量的評価
      4. 生分解性
        • ISO 14855/JIS K6395、ISO 15985/JIS K6398
    2. マテリアルリサイクル
      • 配膳トレーからプランターへ (2005年 愛地球博)
    3. ケミカルリサイクル
      • 熱分解/選択的解重合による原料ラクチドへの還元
    4. バイオリサイクル
      1. グローバルには自然界のリサイクルシステムの物質循環 (炭素循環) にリンク
      2. ローカルには製品使用後に有機性廃棄物 (生ごみ) と共にバイオリサイクル
        1. 堆肥化 (好気性下)
          • 肥料
          • 土壌改良剤
        2. バイオガス化 (嫌気性下、高温乾式メタン発酵)
          • 生ごみ発電
          • ボイラー
  4. ポリ乳酸の生分解機構、分解 (開始・速度) 制御技術と製品寿命 (耐久性)
    1. 生分解性プラスチックの生分解機構
      1. 酵素分解型
        • 微生物産生ポリエステル
      2. 非酵素分解 (加水分解) 型
        • ポリ乳酸
    2. ポリ乳酸の分解開始制御機構
      1. 2段階2様式の特異的な生分解機構
        • 生分解性と耐久性の両立可
        • 第一ステップ
        • 化学的加水分解による分子量低下 (強度低下) と形状崩壊
        • 第二ステップ
        • 生成した水溶性乳酸を微生物が資化・代謝 (生分解)
      2. Tg:58°C≒堆肥化温度
        • 分解開始トリガー/自動スイッチオン機構内包
    3. ポリ乳酸の分解速度制御技術と製品寿命
      • 短期使用から長期耐久性構造材料まで
      1. タイプS (残留ラクチド:多)
        • 分解速度速い/製品寿命短い
      2. タイプM (残留ラクチド:少)
        • 中程度
      3. タイプL (残留ラクチド:少、COOH末端基封鎖)
        • 分解速度遅い/製品寿命長い
  5. ポリ乳酸の高性能化材料技術と製品・市場開発動向
    1. 第二世代ポリ乳酸
      • 高L組成PLA (high L PLA) , %D<0.5,
    2. ポリ乳酸の高性能化材料設計技術
      1. 衝撃性
        • 耐衝撃性改良剤、PLA+PBAT又はPBSブレンド体
      2. 耐熱性 (透明耐熱性)
        • 分散型核剤 (溶解型核剤) 、結晶化促進剤
      3. 寸法安定性
    3. ポリ乳酸レジンメーカー
      1. ニートレジン
        • ネイチャーワークス、トタル・コービオン、豊原集団他
      2. コンパウンドレジン (高性能・高機能化PLAレジン)
        • テラマック®/ユニチカ
    4. ポリ乳酸の成形加工と製品・市場開発最前線
      1. 成形加工分野
        • 繊維・不織布・モノフィラメント
        • フィルム・シート
        • 真空成形
        • 射出成形
        • 発泡成形
          • 押出発泡
          • ビーズ発泡
        • ブロー成形
      2. ポリ乳酸製品・市場開発動向
        • 多数の製品写真を紹介
          1. 自然環境下で使用する農林・園芸・土木・水産資材
          2. 短期間 (〜1年) 使用
            • 使い捨て食品容器・包装材
            • 食器具
            • 生活・衛生資材
          3. 中期間 (3〜5年) 使用
            • 衣料
            • 生活雑貨
            • 産業資材
          4. 長期間 (5〜10年以上) 使用
            • 電気・電子機器筐体・部品
            • リターナブル食器
            • 自動車内装部品
            • 産業資材
    • 質疑応答

講師

主催

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お問い合わせ

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(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 34,700円 (税別) / 38,170円 (税込)
複数名
: 25,000円 (税別) / 27,500円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 25,000円(税別) / 27,500円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 34,700円(税別) / 38,170円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 75,000円(税別) / 82,500円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • セミナー資料は郵送にて前日までにお送りいたします。
  • 開催まで4営業日を過ぎたお申込みの場合、セミナー資料の到着が、開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。
    ライブ配信の画面上でスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。
    印刷物は後日お手元に届くことになります。
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