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特許の棚卸しと権利化戦略

特許の棚卸しと権利化戦略

~権利維持/放棄の決め方、特許出願/ノウハウ秘匿判断の仕方~
オンライン 開催

開催日

  • 2021年7月30日(金) 10時30分 16時00分

プログラム

第1部. 適切な知財コストの考え方と保有特許の権利維持、放棄の決め方

(2021年7月30日 10:00〜12:00)

 企業の知財活動には常に費用対効果の視点が求められますが、中でも特許維持に関わる費用はコスト管理上の重要な検討課題であり、適正に対処するには、基本方針の整合性・納得性と、効率的運用のための合理性が欠かせません。加えて保有特許の価値の見極めは、適切な放棄判断のみならず、特許網の補強や特許利用範囲の拡大、さらには出願・権利化実務の高度化など戦略的な取り組みを可能とする側面も備えています。
 本講演では、まず知財コスト全般の考え方を概説した上で、適正な特許維持・放棄の指針となる価値評価のための、具体的な基準設定の考え方と考慮要素・評価手法について詳述し、さらに特許放棄の的確な判断のための手順と留意点を紹介します。「事業に貢献できる知財マネジメント」の実践に向けた、振り返りと気付きの機会としていただければ幸いです。

  1. 知財コストの考え方
    1. コスト上の課題の把握
    2. 人的コストの重要性
    3. 削ってよい・いけないコスト
  2. 権利維持・放棄の決め方
    1. 維持・放棄の原則的基準
    2. 「特許自体の価値」の考慮要素
      1. 請求項の広さ
      2. 有効性の高さ
      3. 海外ファミリー特許の状況
      4. 被引用数と他社アクション
    3. 「特許の事業的価値」の考慮要素
      1. 現在の自社実施の状況
      2. 将来の自社実施の見積もり
      3. 他社事業への影響力 (抑制力ないし牽制力)
      4. ライセンス許諾の状況と可能性
    4. 「特許の価値」の総合評価
      1. 現在の価値と将来の価値
      2. 異なる「価値」評価の統合
    5. 維持・放棄の決定までの手順
      1. 判断の時期をどう設定するか
      2. 国内特許と海外特許の判断時期の調整
      3. 判断者をどう設定するか
      4. 判断者のバイアスの調整
      5. 特許網としての維持・放棄の考え方
    • 質疑応答

第2部. 豊田自動織機における特許出願・ノウハウ秘匿判断

(2021年7月30日 12:45〜14:45)

 企業において、特許などの知的財産権は、重要な経営資源として戦略的に取得、管理、活用することが極めて重要である。しかしながら、権利の取得・維持については多額のコストがかかることから、コスト・メリットを踏まえた効果的な対応を考慮する必要がある。一方、知財戦略には権利化のみならず、公開による他社の模倣を防ぐために、秘匿化して社内でノウハウ情報を管理することも重要で、技術の特質や事業戦略を踏まえて慎重に判断する必要がある。
 本セミナーでは、企業がどのような知財戦略を立て、何をどのように扱うか、そのためどう評価をすればよいか、豊田自動織機の事例を通じて対応のヒントをご紹介する。

  1. 豊田自動織機について
  2. 戦略に基づく知財活動
    1. 知財の目的
    2. 知財戦略
    3. 事業戦略における知財
  3. 各ステップ毎の知財の評価
  4. 特許出願と発明秘匿の判断
    1. 秘匿発明の判断プロセス
    2. 秘匿発明の管理
    3. 先使用権の対応
    • 質疑応答

第3部. セイコーエプソンにおけるプロアクティブな知財活動とその実施法

(2021年7月30日 15:00〜17:00)

 発明の発掘、出願、権利化をまず行い、良い権利が取得出来たらその活用を考えると言った活動を行っている会社は今なお多いと言われている。この「出願先行・活用戦略後付け」ともいえる活動スタイルでは、事業が直面する課題に対して事後的対応を余儀なくされる場合が多く、事業部門の期待に応えるには不十分である。
 本講義では、将来起きる課題を予想し、予防的観点に立って知財を活用する「プロアクティブな知財活動」を、特許クラスターの考え方と技術開発の流れという観点に立ちつつ、特許ステータスマップという新たなフレームワークとIPランドスケープを用いて実現する方法を学ぶ。

  1. 講師紹介
  2. セイコーエプソン会社紹介
  3. はじめに
    1. 「出願先行・活用戦略後付け」の問題
    2. Proactiveであるとはどういうことか
    3. 技術立国日本の衰退原因の一角
  4. セイコーエプソン知財部門の歴史
  5. BP活動と特許クラスター
    1. 活用戦略に応じた必須特許の類別
    2. 技術独占の条件
    3. 特許クラスター
    4. 競争に勝つための特許分布設計
  6. 特許ステータスマップの基本的考え方
    1. 特許ステータスマップとは
    2. 技術開発の流れと特許の活用
    3. 技術のポジションと特許のステータス
    4. 特許クラスターはどこに作るべきか
  7. プロダクトライフサイクルに応じたポートフォリオ管理
    1. プロダクトライフサイクルと知財活動の関係
    2. BP活動
    3. オープンイノベーション活動
    4. 他社特許対策活動
    5. 特許の棚卸と戦略的視点からの不要特許の見極め
  8. 特許ステータスマップとIPランドスケープ
    1. 他社の技術ポジションの境界問題
    2. 組織分析表による重要開発テーマの抽出
    3. 特許ステータスマップへの落とし込みによる境界問題の解決
    4. 特許情報との組み合わせによる具体的施策の検討
  9. 知財推進体制の強化と知財運営
    1. 発明部門との協働作業
    2. 特許戦略会議
    3. 中期戦略と三者懇談会
    • 質疑応答

講師

  • 加藤 実
    加藤弁理士事務所
    代表 弁理士
  • 伊東 正樹
    伊東知的財産事務所
    代表
  • 小嶋 輝人
    セイコーエプソン株式会社 ビジュアルプロダクツ事業部
    エキスパート

主催

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  • 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
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