技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

生体吸収性医療材料の物性・分解性制御と医療ニーズ対応

生体吸収性医療材料の物性・分解性制御と医療ニーズ対応

~手術現場が求める材料の改善点~
東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2017年6月26日(月) 9時50分 16時35分

プログラム

第1部. 生体吸収性素材による再生血管療法

(2017年6月26日 10:30〜12:00)

 先天性心疾患における構造的欠損を補填・修復するための既存医療材料の代替としての再生医療用素材の開発をこれまで行ってきた。様々な特性を持った生体吸収性素材の組合せによりハイブリッドポリマーを作成し、動物実験そして臨床研究へと応用してきた。
 臨床研究は、2000年5月より2004年12月の間に行われ、生体吸収性素材と自己細胞にて再生血管を作成し、肺動脈形成術やフォンタン型手術に応用した。再生血管に起因しない遠隔死を除けば、主な術後の事象はグラフトの狭窄やバルーン形成術であった。
 しかし、このプロトコールでの臨床治験・研究は細胞を扱う技術と設備を必要とするために、汎用性を持った素材としての実用化は難しいという問題がある。また、可能な限り狭窄 (狭小化) を回避するための新たな素材の開発は急務と考えた。そこで、生体吸収性素材のみにて再生血管が作成できることを①長期の開存性、②正常血管に近い組織構築および、③狭窄、腹水、血栓、石灰化等の有害事象の回避により証明してきた。
 これらの結果とプロトコールの簡略化により、再生血管は既存の医療材料にはない生体適合性を兼ね備えた有用な医療材料となりうると考えている。

  • 再生血管用生体吸収性素材に関して
  • 再生組織の組織形成過程について
  • 動物実験における遠隔期の組織学的検討
  • 再生血管の評価およびその方法
  • 過去の臨床研究
  • ニーズ (?) とシーズ (?)
  • 質疑応答

第2部. 生体吸収性ポリマーの物性と分解速度の制御

(2017年6月26日 12:45〜14:45)

 生体内で分解・吸収されるポリマーは役割を果たした後も体内に留まることがなく代謝・排泄されるため、体内への埋入・投与を想定した医療用材料として重要である。ここでは、生体吸収性ポリマーの代表例として、既に、縫合糸や薬物放出担体などとして実用化されているポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル類を中心に、その分解特性の制御とその他の機能制御について解説する。特に、ポリ乳酸モノマー (ラクチド) と親水性モノマーとのランダム・ブロック共重合や親水性ポリマーとの複合化、分岐構造の導入などによる、物性と分解性の制御、さらには医療分野を意図した応用例について解説する。

  1. 生分解性の定義
  2. 生分解性と合成方法・構造との関係
  3. ポリ乳酸系ポリマーの合成方法
  4. ポリ乳酸系ポリマーの改質と機能化
    1. 疎水性モノマーとの共重合
    2. 親水性モノマーとの共重合:ランダム共重合
    3. 親水性モノマーとの共重合:ブロック共重合
    4. 分岐構造化:グラフト共重合
    5. 親水性ポリマーとの共重合
  5. 医療用途への展開
    1. ナノ粒子
    2. インジェクタブルポリマー
    3. 形状記憶ポリマー
    • 質疑応答

第3部. 骨折手術で求められる生体吸収性骨固定材料

(2017年6月26日 15:00〜16:30)

 骨折に対する内固定材料は、主にプレート、髄内釘、スクリュー、ピンなどを複合的にあるいは単独に用いて骨折部に適切な固定を行う。これらの内固定材料の材質は最近ではチタン合金が大きく占め、次にステンレスで、生体吸収性骨固定材料のシェアは極めて低い。この大きな要因は、骨癒合を得るための強度、剛性が低いことが挙げられる。
 本邦では、若年者や内固定材料による合併症が生じた場合に抜去が行われているが、今後、適切な骨折部固定が可能な吸収性骨固定材料が確立すれば抜去する症例数の減少が期待できるであろう。これは、骨接合と抜釘の2度の手術を受ける患者のストレスを軽減し、さらに医療経済にも好影響を与えることが予想される。
 今回、臨床側からみた吸収性骨固定材料の課題を掲げ、克服するための糸口をつかめれば幸いである。

  • 骨接合材料 (プレート、髄内釘) の歴史
  • 現在使われている吸収性骨接合材料
  • 吸収性骨接合材料の課題
  • 質疑応答

講師

  • 松村 剛毅
    東京女子医科大学 心臓血管外科
    准講師
  • 大矢 裕一
    関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科
    教授
  • 内野 正隆
    北里大学メディカルセンター 整形外科
    部長

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 55,000円 (税別) / 59,400円 (税込)
複数名
: 50,000円 (税別) / 54,000円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 50,000円(税別) / 54,000円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 55,000円(税別) / 59,400円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 100,000円(税別) / 108,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 162,000円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/6/3 医療機器・プログラム医療機器の保険戦略 オンライン
2024/6/4 バイオマスプラスチック/生分解性プラスチックの開発動向と海洋分解を含めた将来展望 オンライン
2024/6/4 摩擦振動と異音の発生メカニズムと抑制・対処方法 オンライン
2024/6/4 欧州医療機器規則 (MDR) において要求されている市販後活動とその要求事項 オンライン
2024/6/5 UV硬化とEB硬化の基礎と技術比較および応用技術 オンライン
2024/6/5 チクソ性 (チキソ性) の基礎と評価および活用方法 オンライン
2024/6/6 ゴムの架橋と特性解析・制御 オンライン
2024/6/6 エポキシ樹脂の実用の基礎知識とフィルム化 & 接着性の付与技術とその応用 オンライン
2024/6/6 メディカルライティング講座 (中級) オンライン
2024/6/6 メディカルライティング講座 (初級・中級) オンライン
2024/6/7 プログラム医療機器 (SaMD) 開発における薬事規制および承認申請のポイント オンライン
2024/6/7 医薬品と医療機器の早期承認取得のためのPMDA戦略策定のポイント オンライン
2024/6/7 二軸押出機における樹脂流動解析の基礎と AI/IoT 活用展開 大阪府 会場
2024/6/7 ASEANの医療機器業界及び法規制について オンライン
2024/6/10 プラスチックフィルムにおける各樹脂特性、添加剤・成形加工技術および試験・評価方法 オンライン
2024/6/10 基礎から学ぶ「人工皮革・合成皮革」入門セミナー オンライン
2024/6/10 ISO 13485:2016が要求する医療機器サンプルサイズの根拠を伴う統計学的手法 (全2コース) オンライン
2024/6/10 ISO 13485:2016が要求する医療機器サンプルサイズの根拠を伴う統計学的手法 (Bコース 実務編) オンライン
2024/6/11 機械加工技術 オンライン
2024/6/11 分子シミュレーションの基礎と高分子材料の研究・開発の効率化への展開 オンライン

関連する出版物

発行年月
2020/1/31 添加剤の最適使用法
2019/12/20 高分子の表面処理・改質と接着性向上
2019/11/21 医療機器企業におけるリスクマネジメントセミナー (オンデマンド)
2019/11/21 医療機器企業におけるリスクマネジメントセミナー (DVD)
2019/10/31 UV硬化技術の基礎と硬化不良対策
2019/6/27 FDAが要求するCAPA導入の留意点
2019/1/31 マテリアルズ・インフォマティクスによる材料開発と活用集
2018/11/30 エポキシ樹脂の高機能化と上手な使い方
2018/11/30 複雑高分子材料のレオロジー挙動とその解釈
2018/7/31 高耐熱樹脂の開発事例集
2018/7/31 医薬品・医療機器・再生医療開発におけるオープンイノベーションの取り組み 事例集
2018/5/31 最先端医療機器の病院への普及展望と今後の製品開発
2018/4/12 自動車用プラスチック部品の開発・採用の最新動向 2018
2018/3/19 射出成形機〔2018年版〕 技術開発実態分析調査報告書
2018/3/18 射出成形機〔2018年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2017/7/31 プラスチック成形品における残留ひずみの発生メカニズムおよび対策とアニール処理技術
2017/7/31 機能性モノマーの選び方・使い方 事例集
2017/7/27 ウェアラブル機器の開発とマーケット・アプリケーション・法規制動向
2017/6/30 生体情報センシングとヘルスケアへの最新応用
2017/6/19 ゴム・エラストマー分析の基礎と応用