臨床試験において、電子データや電子文書は頻繁に使用されています。そして、生データ (原データ) や原資料 (原文書) を電子で作成したり、保存する機会が多くなってきました。
臨床試験における生データや原資料の多くは、医療機関側で作成され、医療機関で管理されます。その上で、スポンサーや規制当局に電子で提供されます。
また製薬企業においても、EDCシステム、データマネージメントシステム、統計解析システム、ドキュメント管理システム、有害事象報告システム、eCTDシステムなど、ほとんどのプロセスにおいて電子文書 (データ) が使用されています。
これまで、PMDAはEDCシステムに限って、適合性調査 (査察) を実施してきました。今後は、製薬会社内の電子文書 (データ) システムにおいても、調査が実施される模様です。
特に安全性情報に係る業務についても、今後の調査において電子文書 (データ) の信頼性が見られることとなりました。
PMDAのスローガンは「電磁的記録を上手に利用して効率的な治験を!」です。
これまで日本では、GCP適合性書面調査において、生データと申請資料の整合性をチェックすることが主流とされてきました。つまり、欧米とは違った方法による査察が実施されてきました。生データや原資料を電子で保存する場合、FDAやEMAは非常に厳しい規則を課しています。FDAが2007年に発行した「Computerized Systems Used in Clinical Investigations」では、電子的な生データや原資料の品質要件として、ALCOAを求めています。「電子的な生データや原資料は、紙の記録に期待されるものと同じ基本的なデータの品質すなわち、
属性を持つこと (Attributable)
判読可能であること (Legible)
同時性があること (Contemporaneous)
オリジナルであること (Original)
正確であること (Accurate)
に適合しなければならず、また関連法令やレギュレーション要求を遵守しなければならない。」
一方で、EMA GCP Inspectors Working Group (GCPIWG) が2010年8月1日から施行した “Reflection paper on expectations for electronic source data and data transcribed to electronic data collection tools in clinical trials” では、ALCOACCEA (Accurate, Legible, Contemporaneous, Original, Attributable, Complete, Consistent, Enduring, Available when needed) を求めています。
本セミナーでは、欧米の規制要件が求める電子データや電子文書の管理方法と、今後のPMDAが開始すると思われる電子文書 (データ) の調査方法についてわかりやすく解説します。
電子化のリスクと規制要件
電子化のリスク
生データとは
電子生データとは
21 CFR Part 11の歴史と現状
厚労省ER/ES指針概要
ALCOAとは
電子データ及び電子文書の管理方法
EDCからeCTDに至る、電子文書 (データ) 管理方法について
電子カルテシステム、EDCシステム導入の留意点
ドキュメント管理システム導入における留意点
安全性情報管理における電子文書・電子データ管理の留意点
今後の電子文書 (データ) の査察方法と対応について
生データの査察方法と対応方法
プロセスの査察方法と対応方法
電子文書の査察方法と対応方法
FDA 「Computerized Systems Used in Clinical Investigations」解説