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常温・常圧で気体である天然ガスをマイナス162度に冷却して、体積を600分の1に圧縮して、液化し、輸出するLNG (液化天然ガス) プロジェクトは1960年代にアルジェリアと英国との間で初めて実用化された。
その後LNGに係わる急速な技術革新によって、世界的にパイプラインによる生ガスと並ぶ有力な天然ガス輸出手段となっている。日本においても、1969年にアラスカから初めてLNGを輸入し、現在では世界最大のLNG輸入国となり、世界におけるLNG貿易量の3分の1を日本が占めている。
特に、2011年3月11日の東日本大震災を契機として原子力発電所の稼働が停止し、電力不足に対応するために電力企業は天然ガス火力発電をフル稼働させ、2012年のLNG輸入量は史上最高の年間9,000万トンに達する可能性が強まっている。
当初は、世界最大のLNG輸入国となると予想されていた米国への輸出をターゲットにカタール、豪州等の巨大LNGプロジェクトが構想されていたものの、米国におけるシェール・ガス革命により米国はLNG輸入国からLNG輸出国に変貌しようとしている。
これまでは、LNG貿易はLNG輸出国とLNG輸入国が一対一で結ばれた固定的かつ長期契約が大部分であったが、LNGの輸出国は2012年時点で18ヵ国に拡大し (ベルギーを除く) 、LNG専用船の増加とともに、LNGの国際スポット商品化が進んでいる。
カタール、豪州をはじめとした巨大なLNG生産能力に対し、米国の天然ガス生産量の増加によって、世界的にはLNGは余剰感がある。
しかしながら、天然ガス貿易は、①北米市場、②欧州市場、③アジア大洋州市場に、物理的に分断され、米国の天然ガス価格が百万Btu (ブリティッシュ熱量単位) 当たり2ドル~3ドルで推移する状況において、日本のLNG購入価格は百万Btu当たり18ドル近くと10倍もの大きな較差が発生している。
現状では、インドネシア、豪州をはじめとしたLNGプロジェクトは極めて高収益を挙げる優良プロジェクトである。
今後の世界におけるLNG需給はどうなるのか、アジア大洋州のLNG価格は原油価格リンクを続けるのか、LNGプロジェクトはこれからも高収益プロジェクトであり続けるのか、こうしたLNGを巡る様々な問題を詳細に分析するとともに、LNGプロジェクトの可能性とLNGに係わる日本企業の大きなビジネス・チャンスについて天然ガスの第一人者が的確に解説する。
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