熱分析を行う上で分析の目的に対して的確な情報を得るためには、熱分析の原理や性質を正しく理解し、適切な測定条件で分析するとともに、得られたデータを的確に解釈することが肝要です。
　本講ではプラスチックやゴム、または複合材料などの高分子材料を対象に、熱分析の原理から測定条件の考え方・決め方、データ解析の基本と高分子材料の測定結果の見方・解釈のしかた、熱分析装置のメンテナンスまで、熱分析に関する基本的な知識および実践の場で役立つノウハウを平易に解説します。

1. 熱分析とは
   1. 熱分析の定義
   2. 熱分析の種類
   3. 熱分析データの概念
2. DTA・DSCの原理と応用
   1. DTAの原理
   2. DSCの原理
   3. DTA・DSCの測定・解析
      1. DTA・DSCの測定条件の選択
      2. DTA・DSCの解析の基本
      3. DTA・DSCの測定結果に及ぼす測定条件の影響
   4. DTA・DSCの応用
      1. ポリスチレンのガラス転移測定
         - 分子量とガラス転移温度の関係 –
      2. ガラス繊維強化エポキシ樹脂のガラス転移測定
         - ガラス転移温度と硬化度の評価 –
      3. ポリエチレンの融解測定
         - 密度と融解温度の関係 –
      4. ポリエチレンテレフタレートの熱履歴
      5. エポキシ接着剤の硬化反応
      6. DSCによる比熱容量測定
      7. 酸化誘導時間測定
3. TGの原理と応用
   1. TGの原理
   2. TGの測定・解析
      1. TGの測定条件の選択
      2. TGの解析の基本
      3. TGの測定結果に及ぼす測定条件の影響
   3. TGの応用
      1. ポリマーの分解測定
         - 酸化分解と熱分解 –
      2. 炭素繊維強化エポキシ樹脂の熱分解
      3. ゴムの分解測定
         - ゴム成分と添加カーボンブラックの分離定量 –
      4. 反応速度論解析
         - エポキシ樹脂の劣化寿命予測 –
4. TMAの原理と応用
   1. TMAの原理
   2. TMAの測定・解析
      1. TMAの測定条件の選択
      2. TMAの解析の基本
      3. TMAの測定結果に及ぼす測定条件の影響
   3. TMAの応用
      1. ポリ塩化ビニルの膨張測定
         - 可塑化とガラス転移温度の関係 –
      2. ガラス転移に及ぼす残留歪の影響
      3. ポリマーフィルムの針入温度測定
      4. 熱膨張・熱収縮の異方性
5. 熱分析装置の保守管理
   1. 装置校正 (キャリブレーション)
   2. トラブルシューティング
• 質疑応答