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ステレオ法による立体画像認識の基礎と車載カメラへの応用

ステレオ法による立体画像認識の基礎と車載カメラへの応用

ステレオ法による立体画像認識の基礎と車載カメラへの応用の画像

ご案内

 車載用のカメラにはいろいろの用途のものがある。一番多く使われている用途は死角センサで、特に後方を監視するためのバックモニタである。1990年代に始まり、最初のうちは大型のバスやトラック、そして一部の高級乗用車に限られていたが、パソコンカメラや携帯カメラの普及などで撮像素子や周辺回路のコストが大きく下がり小型化も進み、一般の自動車にも広く取り付けられるようになってきた。またナビゲーションシステムが多くの車に取り付けられるようになって、その画面を利用できることになったことも普及に大きな影響を与えている。その他にも、車の前端両側に取り付けて、十字路での側方の道路状況をモニタしたり、サイドミラーの下方に取り付けて、車体の側方下部をモニタしたり、見えないところを見えるようにするためのカメラが多く登場している。これらのカメラは運転者の視野を広げて負担を低減し、安全な運転に大きく貢献している。これらのカメラは、技術的にはさほど難しくなく、カメラとディスプレイををつなげて、ウィンカーを出したときやギアをバックに入れたときに、或いは手元のスイッチによって画面が切り替わるようにしてある。もう少し手の込んだ車載カメラとしては、カメラを前方に向けて車内に設置して記録装置も併設することにより、常に走行環境を記録し続け、事故を起こしたときに記録を停止し事故前後の映像を記録して、事故原因の究明や運転者の安全教育に役立てる目的にも使われ始めている。これは事故の起きた瞬間をどう検知するかに工夫が必要であり、衝撃を検知したり、エアバッグから信号をもらったりしている。リアルタイムで画像から事故を判断することも考えられるが、今のところこのようなことは行なわれていない。更に運転者のほうへカメラを向けて居眠りやわき見運転を監視し続け、よくない状態を検知すると警報を発するカメラもある。これは運転者の映像から眼を検出し、その動きや瞬き、瞼の動きを検出しなければならず、画像認識技術が重要になる。とても興味深い問題ではあるが、紙数に限りがあり、筆者の能力も超えるので本書では扱わない。
 本書で述べる車載カメラは上記で述べたいずれでもなく、画像処理により周囲環境をカメラ装置自体が認識する類いのものである。画像処理を伴う車載カメラは大きく2つに分けられる。1つは1台のカメラにより、白線や標識、更に自動車の動きによるカメラの動きを利用して、映っている物体との相対速度やその物体までの距離を求める単眼法である。もう1つは2台のカメラにより、車両周囲環境を立体的に捉え、物体の位置、大きさ、
形状を3次元計測するステレオ法である。
 本書では、この2つのうちのステレオ法について主に取り上げる。単眼式に比べコストや車載性にまだ問題があるものの、これからの車載カメラとして大いに進展が期待されるからである。ステレオ法の優位性については後に触れる。

目次

第1章 なぜ自動車にカメラを載せるのか

  • 1. 自動車と安全の関係
  • 2. 衝突事故を可能な限り防ぐ仕組み
    • 2.1 自動車の高知能化
    • 2.2 道路の高知能化
  • 3. 画像センサに要求される性能
    • 3.1 最大検出距離
    • 3.2 距離分解能
    • 3.3 視野角
    • 3.4 横方向空間分解能
    • 3.5 その他に要求される性能
  • 4. 画像認識の優位性

第2章 2次元画像処理

  • 1. 平滑化
  • 2. エッジの検出
    • 2.1 ソーベルフィルタ
    • 2.2 線形フィルタの表現法
    • 2.3 ラプラスフィルタ
  • 3. ハフ変換
  • 4. グループ化

第3章 ステレオカメラの基礎

  • 1. 車載カメラによる画像の取得
  • 2. ステレオ画像処理の流れ
  • 3. カメラ幾何
    • 3.1 透視カメラ
    • 3.2 カメラの内部パラメータ
    • 3.3 カメラの外部パラメータ
    • 3.4 Fundamental Matrix
    • 3.5 エピポーラ線とエピポール
    • 3.6 平行等位のときのF行列
  • 4. マッチング法
    • 4.1 特徴ベース法と領域ベース法
    • 4.2 マッチング領域のサイズ
    • 4.3 マッチング評価関数

第4章 ステレオカメラによる周囲環境認識

第1節 白線検出
  • 1. 白線検出の手順
  • 2. 初期ウインドウの設置
第2節 立体物及び先行車両の検出
第3節 物体追跡
第4節 モデルの当てはめ

第5章 リアルタイムステレオカメラ

  • 1. 並列処理
  • 2. FPGAの活用

第6章 実用化するための技術

  • 1. 補正・校正
    • 1.1 2台のカメラ歪みの同時補正
    • 1.2 2台のカメラの校正
  • 2. 輝度差の問題
  • 3. オクルージョン

第7章 より高度な手法

第1節 3次元自己位置認識
  • 1. はじめに
  • 2. 原理
  • 3. ステレオカメラ
  • 4. 領域の追跡
  • 5. 位置認識
  • 6. ハードウェア
    • 6.1 ステレオカメラ部
    • 6.2 領域追跡処理部
    • 6.3 ソフトウェア処理部
    • 6.4 精度の確認
第2節 法線ベクトル抽出
  • 1. はじめに
  • 2. 検出の原理
  • 3. 法線ベクトルと変形の関係
  • 4. 実験
  • 5. まとめ
第3節 サブピクセル精度について
  • 1. はじめに
  • 2. シミュレーションの方法
  • 3. シミュレーションに用いた条件
    • 3.1 元になるパターン
    • 3.2 マッチング評価関数
    • 3.3 サブピクセル補間
  • 4. シミュレーション結果
    • 4.1 元になるパターンによる違い
    • 4.2 レンズに起因するボケによる違い
    • 4.3 左右の輝度差による違い
  • 5. 実験による評価
  • 6. 結論

執筆者

実吉 敬二 (實吉 敬二)

ITD Lab株式会社

代表取締役会長

出版社

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お問い合わせ

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(出版社への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

体裁・ページ数

CD-R 135ページ

ISBNコード

ISBN978-4-88657-251-6

発行年月

2007年3月

販売元

tech-seminar.jp

価格

49,800円 (税別) / 54,780円 (税込)

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