技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

プラスチック添加剤の正しい選択と配合設計による高性能化

受講特典: アーカイブ配信付き (視聴期間: 2023年9月1日〜7日を予定)

プラスチック添加剤の正しい選択と配合設計による高性能化

~次世代バイオプラスチックのポリ乳酸を代表例として~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは、プラスチックの各種添加剤の選択・配合設計指針を成形加工分野毎に解説いたします。
また、耐熱性向上に必須の結晶化速度の解析手法や近年プラスチック添加剤のニューフロンティアとして注目されている一分子内に相反する基を有する高分子界面活性剤としてのマルチ機能改質剤の作用機序について解説いたします。

開催日

  • 2023年8月31日(木) 10時00分 17時00分

修得知識

  • ポリ乳酸の基本特性 (強度、弾性率、Tg) を維持しながら耐衝撃性を向上させる方法
  • ポリ乳酸の耐熱性を向上させる結晶化促進剤とその選択・配合設計指針
  • ポリ乳酸の耐熱性と耐衝撃性を同時に向上させるマルチ機能改質剤の分子設計

プログラム

 一般的に高分子はニートレジンのままでは最終製品の要求性能を満足させることは困難で、各種添加剤が適宜選択・配合設計されるのが通例である。しかるに、例えばポリ乳酸に耐衝撃性を付与するために主剤との相溶性に優れる可塑剤を用いると、耐衝撃性は向上しても強度・弾性率は半減しTgも室温以下に低下する。また、耐熱性を向上させるために結晶化を促進する造核剤を添加すると、耐熱性は向上しても耐衝撃性は逆に低下することが知られている。
 本セミナーでは、上記技術的課題解決のための各種添加剤の選択・配合設計指針を成形加工分野毎に分かり易く解説する中で、耐熱性向上に必須の結晶化速度の解析手法や近年プラスチック添加剤のニューフロンティアとして注目されている一分子内に相反する基を有する高分子界面活性剤としてのマルチ機能改質剤の作用機序についても解説する。

  1. 次世代バイオプラスチックとしてのポリ乳酸
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
      1. 石油を原料とする合成高分子化学工業が内包するパラドックス
      2. 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環 (炭素循環) へのリンク
      3. 生分解性バイオマスプラへのパラダイムシフト
    2. ポリ乳酸の基本特性
      1. 熱可塑性脂肪族ポリエステル … 結晶性高分子 (Tm:130〜190°C、Tg:58°C)
      2. 安全性、食品衛生性、抗菌・防カビ性
      3. 環境低負荷特性 … LCAによる客観的・定量的評価
      4. 生分解性バイオマスプラ
        1. 生分解機構 … 非酵素分解 (加水分解) 型
          • 2段階2様式の特異的な生分解機構 … 生分解性と耐久性の両立
          • 分解 (開始・速度) 制御機構内包 … 短期使用から長期耐久性構造材料まで
        2. 自然環境 (土壌、海水・淡水) 下での完全生分解性
        3. 使用後の再資源化 (リサイクル)
          • バイオリサイクル … 堆肥化 (好気性下) 又は生ごみ発電 (嫌気性下)
          • ケミカルリサイクル … 熱分解による原料ラクチドへの還元
          • マテリアルリサイクル
  2. 耐衝撃性改良剤の選択と配合設計
    1. 耐衝撃性改良剤の分類と作用機序
    2. タイプAが内包する問題点
      1. 主剤ポリマーの基本特性 (強度、弾性率、Tg) の低下、喪失
      2. 成形品の室温放置下 (二次結晶化) における物性並びに形状の経時変化
    3. タイプB (本命)
      • 主剤ポリマーの基本特性維持
    4. ポリ乳酸成形品の耐衝撃性の現状到達レベル
      1. 電気・電子機器筐体、部品 … 9.6 kJ/cm2 (シャルピー衝撃強度)
      2. シート成形品
        • 落球法 (100gの重りを50cmの高さから)
  3. 結晶化促進剤の選択と配合設計
    1. ポリ乳酸の結晶化挙動の解析
      1. 高分子の古典的結晶化理論
      2. 成形加工工程における結晶化の分類
        1. Melt Crystallization
        2. Cold Crystallization
      3. DSCによる等温結晶化挙動の解析 … 結晶化速度パラメータの算出
    2. ポリ乳酸の結晶化速度に影響を及ぼす因子
      1. 一次構造
        • PLAのD体共重合比XD (%D)
      2. 分子量
      3. 造核剤や結晶化促進剤 →後述
        • 架橋剤
        • 可塑剤
        • マルチ機能改質剤
    3. 結晶化速度が遅い場合に顕在化する問題点
      1. 耐熱性
      2. 寸法安定性 (熱収縮率、経時変化)
      3. 成形加工性 (成形サイクル)
    4. 結晶化促進剤の分類
      1. 造核剤 … 結晶核形成促進作用
        1. 固体分散型
        2. 溶解型 (透明耐熱性)
        3. 架橋剤
      2. 結晶成長促進剤
      3. マルチ機能改質剤 … 結晶核形成と結晶成長促進 (後述)
    5. 成形加工分野別結晶化促進剤の選択指針 … 成形時の溶融張力必要性の有無
    6. ポリ乳酸成形品の耐熱性の現状到達レベル
      1. 電気・電子機器筐体、部品
        • 低荷重下 (0.45MPa) 150 °C
      2. 電子レンジ加熱可能
        • 120〜130°C x 5分
      3. 熱湯注入可能
        • 95〜100°C
  4. マルチ機能改質剤の分子設計と作用機構
    1. ポリグリセリン脂肪酸エステル (PGFE)
      • 高分子界面活性剤
    2. PGFEの分子設計
      • 重合度
      • エステル化度
      • 脂肪酸C数
    3. マルチ機能改質剤 (PGFE) としての作用機構
      1. 結晶化促進剤
        • 結晶核形成 (造核) と結晶成長の双方に効果的
      2. 耐衝撃性改良剤
        • 耐熱性と耐衝撃性の同時改良
      3. 流動性改良剤
        • 薄肉射出成形
  5. ポリ乳酸の成形加工と製品・市場開発動向
    1. 成形加工性の物理的意味と支配的因子
      1. 溶融押出過程
        • 溶融粘度、溶融張力の分子量依存性
      2. 冷却固化過程
        • Tg又は結晶化速度 (冷却速度、変形速度依存性)
    2. 成形加工性改良剤
      1. 溶融粘度、溶融張力調整剤
      2. 結晶化促進剤
        • 造核剤
        • 可塑剤
        • 高分子界面活性剤
    3. 成形加工法
      • 押出成形
      • 射出成形
      • 真空
      • 圧空成形
      • 発泡成形
      • ブロー成形
    4. ポリ乳酸製品・市場開発動向 … 豊富な製品写真で紹介
      1. 農林・園芸・土木・水産資材
      2. 食品容器・包装資材 (短期使用・使い捨て材料)
      3. 生活雑貨
      4. 産業資材 (長期耐久性構造材料)
    • 質疑応答

講師

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 34,700円 (税別) / 38,170円 (税込)
複数名
: 25,000円 (税別) / 27,500円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 25,000円(税別) / 27,500円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 34,700円(税別) / 38,170円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 75,000円(税別) / 82,500円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • セミナー資料は郵送にて前日までにお送りいたします。
  • 開催まで4営業日を過ぎたお申込みの場合、セミナー資料の到着が、開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。
    ライブ配信の画面上でスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。
    印刷物は後日お手元に届くことになります。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/2/3 カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーが求められる次世代自動車とプラスチック オンライン
2025/2/6 エポキシ樹脂 2日間総合セミナー オンライン
2025/2/7 バイオマス由来モノマーの開発と応用事例 オンライン
2025/2/7 プラスチック射出成形過程の可視化とソリ変形予測技術 オンライン
2025/2/7 カーボンニュートラル時代のプラスチック入門 オンライン
2025/2/7 高分子材料の相溶性・相分離現象の基礎と相容化剤を用いたポリマーブレンド材料およびマテリアルリサイクルへの応用 東京都 会場
2025/2/12 防振ゴムの劣化メカニズムと耐久性試験・寿命予測 オンライン
2025/2/12 プラスチック加飾技術の最新動向と環境負荷低減に向けた展望 オンライン
2025/2/12 プラスチック材料・製品の耐久性向上、劣化度評価、寿命予測 オンライン
2025/2/13 高分子の (黄変・ピンク変など) 変色・劣化の発生メカニズム、変色箇所の評価、その対策 オンライン
2025/2/13 ポリイミドの基礎・合成・材料設計のポイントおよび応用展開 オンライン
2025/2/13 ゴム材料の分析手法および劣化現象とその分析 オンライン
2025/2/13 プラスチック成形部材の劣化・破損・破壊のメカニズムと評価・改善方法、破面の特徴、トラブル対策 オンライン
2025/2/14 高分子材料の物性分析、分子構造解析技術の基礎と材料開発、物性改善への応用 オンライン
2025/2/14 半導体封止材用エポキシ樹脂の種類と特性および解析方法 オンライン
2025/2/14 重合反応の基礎・応用 オンライン
2025/2/14 国内外における食品用容器包装および器具・接触材料の法規制の動向把握と必要な対応 オンライン
2025/2/17 ゾル-ゲル法の基礎と材料合成、(新規) 材料開発で活用するための実用的な総合知識 オンライン
2025/2/17 高分子へのフィラーのコンパウンド技術の基礎と応用 オンライン
2025/2/17 プラスチックリサイクルの国内外の現状とリサイクル技術 オンライン

関連する出版物