技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
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本セミナーでは、ガラスの基礎から解説し、熱強化や化学強化、製造方法から試験法、測定法をわかりやすく解説いたします。
ガラスは、その組成や製造条件を変えることにより種々の希望する特性を容易に得ることができる有用な材料です。一方、脆性破壊を示す代表的な材料でもあり、強度や破壊に対する保証が極めて難しい材料でもあります。ガラスの破壊はクラックの伝播によりなされ,ガラスの強度にも大きく影響します。また,ガラスの強度を高める手法のひとつとして強化という概念があります。すなわち,ガラスの破壊と強度・強化には密接な関係が存在しますが、これらの間には多くの因子が絡んでおり,その解明は容易ではありません。ガラス構造が不明確である点も解明を難しくしています。
本講演では,ガラスの入門者や初心者でも理解できるようにガラス強度やガラス強化の概念を始めとした基礎的な事項を中心に解説します。特に、主な板ガラス商品であるフロートガラス、網入りガラス、合わせガラス、熱強化ガラスおよび化学強化ガラスについて、その違いを利用してガラスの破壊現象や強度の基礎的な概念を説明します。また、それらの製造方法についても紹介します。
また、従来から知られているStrengthレベルの強度試験法に加えて世界的に実用化が進んでいるSafetyレベルやSecurityレベルの強度試験法についても簡単に紹介します。この強度試験では従来よりも大きな負荷を得ることができるので、今後のガラス強度の解析に役立つと思われます。さらに、ガラス強度の解析に多用されているワイブル解析についても、その留意点も含めて解説します。
難解とされてきたガラスの破壊と強度・強化について、より詳細な内容は初級編や初級〜中級編でお話することとし、先ずは基礎的な概念の理解に役立つことを中心にお話します。
ガラスの破壊においては、負荷の供与から破壊に至るまでに幾つかの因子が存在します。その因子を時系列的に考えることにより、ガラス破壊に対する理解が深まります。また、その時系列因子を遡ることにより、ガラス破壊の原因を探ることが容易になります。
化学強化ガラスと熱強化ガラスでは、その製造法や問題点も異なります。化学強化ガラスはそのガラス組成を選択することにより、圧縮応力の値を大きくすることができますが、その厚さは大きくないために加傷性に注意を払う必要があります。逆に、熱強化ガラスでは引張応力も大きくなるので、破壊したときに断片化現象が発生し、その安全性が高まる傾向にあります。両者の特性を活かすためにはその強化メカニズムや破壊現象の把握が有効となります。
熱強化ガラスでは、形状や板厚、内応力や分岐の有無等によりその破壊現象は大きく異なりますが、熱強化ガラスのクラック伝播は約1500 m/sの高速度現象であり、その観察は容易ではありません。高速度カメラと光弾性法を組み合わせることにより、高速で伝播するクラックと応力場の変化を同時観察できるようになりました。部分強化ガラスでは、2つのクラックが連結する現象が観察され、この現象を説明するために、高速伝播するクラックの前方に発生する応力σCRを導入しました。この応力σCRを利用することにより、一部の不明であった高速のクラック伝播現象を説明できるようになりました。この応力σCRと今後の展開について、簡単に述べます。
さらに、研究開発中の新たな強度測定法である反力法とQuasi – static試験法についても簡単にお話します。この方法でガラス強度を測定することにより、従来は知られていなかったガラスの強度特性に関する知見を得ることができています。これらの知見を得ることにより、ガラスの破壊挙動の理解が深まることに寄与できることを期待しています。
ガラス切断は表層にクラックを発生させ、そのクラックを進展させることによりなされるので、ガラスの破壊現象を有効的に利用していることになります。ガラス切断は重要であるにも関わらず、あまり報告がなされていません。近年、ガラスを使った商品に対する要求が厳しくなり、従来から使ってきた切断液では問題となる場合も発生しています。その場合の参考となるよう、切断液の選択を中心にガラス切断の概念を説明します。
熱強化ガラスでのクラック伝播に関し、Caustics法を利用することにより、従来のエネルギ的考察に加えた解析ができるようになりました。その結果、新たなクラックの生成は分岐による場合のみではなく、2つのクラックが衝突することによっても生成することが分かってきました。高速伝播する条件での新たなタイプのクラック生成について、そのメカニズムも含めて簡単にお話します。
ガラスの熱強化では粘性流動が大きく影響しますが、強化度を推定する場合にはその粘性流動を無視した解析が行われてきました。そのため、強化度を高くするガラス組成の概念については信頼性があまり高くありませんでした。この点に関し、粘性流動の影響も考慮した「易強化性」という概念を提案しています。この易強化性により、強化性の高いガラス組成を探索する手法について説明します。
「ガラスは固体か液体か」については永年論議されてきた話題ですが、ガラスの構造は現在でも不明な点が多い領域です。初級編で紹介したQuasi – static試験法を用いた結果からこの問題に対する結論がでる可能性もあるので、簡単に紹介します。
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