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人工臓器用材料・生体適合性の基礎と人工腎臓用抗血栓ポリマーの技術展望

人工臓器用材料・生体適合性の基礎と人工腎臓用抗血栓ポリマーの技術展望

~臨床現場における人工臓器使用の現状とニーズ視点から~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは、強陰性荷電の性質により陽性荷電であるサイトカイン吸着能力を有する急性血液浄化用ポリアクリロニトリル人工腎臓膜に対し、新たな抗血栓性ポリマPAN – MPCをコーティングし、その抗血栓性の基礎的な検討と、講師が行っている血液凝固早期感知センサー開発などの研究を併せて紹介いたします。

開催日

  • 2021年3月5日(金) 13時00分 16時30分

プログラム

 抗血栓性のデバイスは補助人工心臓、人工腎臓、人工血管などさまざまな人工臓器で使われてきた。その技術開発の進歩は目覚ましく数日間の治療では問題のないレベルまで達している。近年、COVID-19をはじめ、敗血症に対する治療技術の向上に伴い、ECMOや血液浄化療法 (持続的血液浄化療法) を長時間の血液体外循環にて行うことが多くなった。これらの治療はサイトカインを始めとする炎症性タンパクの血中濃度が極めて高い血液を扱う症例が多く、人工臓器のタンパクファウリングによる目詰まりが新たな問題となっている。
 従来までの抗血栓性に加え血液の異物反応を起こさせない高い生体適合性の性能が必要とされている。MPCポリマは高い抗血栓性とタンパク吸着抑制を有する生体類似表面 (双生イオン型高分子) ポリマとして人工骨頭、血管狭窄用ステント、人工肺のコーティング剤として用いられているが、診療報酬の材料単価の安い人工腎臓に対してはMPCポリマが高価であることや膜間圧力がかかる人工腎臓膜ではポリマの接着性が難しく実用化されていない。この問題を解決すべくMPCポリマとアクリルニトリルを共重合し、コーティング剤としてポリアクリロニトリル製人工腎臓膜に被覆コーティングすれば同じPAN同士の強固な接着性が得られると考え研究を進めた。この新たなコーティング剤は従来の人工腎臓膜に対する表面修飾法である被覆法やブロック共重合、ブレンド法に対し少量のMPCポリマの使用量で済むことも期待できる。
 今回、強陰性荷電の性質により陽性荷電であるサイトカイン吸着能力を有する急性血液浄化用ポリアクリロニトリル人工腎臓膜に対し、新たな抗血栓性ポリマPAN-MPCをコーティングし、その抗血栓性の基礎的な検討と本学にて行っている血液凝固早期感知センサー開発などの研究を併せて紹介を行う。

  1. 人工臓器と抗血栓性
    1. 材料と血液凝固のメカニズムの基礎
    2. 材料と補体活性 (生体適合) のメカニズムの基礎
    3. 人工臓器と抗血栓性の工夫
      • 補助人工心臓
      • 人工血管
      • ECMO (人工肺)
      • 人工腎臓など
    4. 人工臓器抗血栓性、生体適合性の問題点
  2. 慢性腎不全 (人工透析膜) における抗血栓性の工夫と臨床データ
    1. 人工腎臓の仕組み
    2. セルロース系膜と抗血栓性の工夫
    3. 合成高分子系膜の抗血栓性の工夫
  3. COVID-19と高サイトカイン血症
  4. 高サイトカイン血症に用いられる人工臓器デバイス
    1. 高サイトカイン血症に対する血液浄化療法とは
    2. COVID-19急性呼吸不全に対するECMO (膜型人工肺)
  5. 生体類似表面ポリマ:MPCポリマの開発と活用事例-本学での研究を中心に
    1. 体外循環中における光LEDを用いた早期凝固感知センサーの開発
    2. MPCポリマとは
    3. MPCポリマの人工臓器への活用
      • 人工骨頭
      • 人工肺
      • 血管内ステント
    4. MPCポリマの人工腎臓膜への応用の歴史
    5. 新しい抗血栓性ポリマPAN-MPC開発の試み
    6. 重合と人工腎臓膜へのコーティング
    7. ウサギ新鮮血への浸透と電子顕微鏡 (SEM) による観察
    8. PAN-MPCポリマの今後の課題と必要な性能要件
  6. 薬事法と医療材料の安全性の評価
    1. 医用材料の安全性に対する試験
      1. 物性試験
      2. 化学試験
      3. 生物学的試験
      4. 無菌試験
    2. 接触医療器具の生物学的試験
      1. 細胞毒性試験
        • すべての医用材料に対して必須
      2. 感作性試験
        • アレルギーの危険をみる試験
      3. 刺激性試験
      4. 遺伝毒性試験
      5. 発熱性物質試験
        • エンドトキシン以外の発熱物質が存在しないかの試験
      6. 埋植試験
        • 筋肉内に短期間埋植し影響をみる試験
      7. 血液適合性試験
        • 血液に接触する場合に溶血性などをみる試験
    3. クラスによる承認制度上の取り扱い
  7. その他本学における研究
    • 機械学習を用いた早期の生体情報及び活動状況検知システムの開発
      • 光センサーによる下肢血流測定

講師

  • 堀 和芳
    帝京科学大学 生命環境学部 生命科学科
    准教授

主催

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本セミナーは終了いたしました。

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