技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
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現在、一般に市販されている撮像デバイスや出力デバイスのダイナミックレンジは現実シーンよりもはるかに狭い。例えば、一般に市販されている一眼レフディジタルカメラのダイナミックレンジは高くても80dB程度であり、人間が一度に識別できる範囲と言われている100~120dBに遠く及ばない。近年、120dBを超えるCMOSセンサも研究開発されているが、現時点では高解像度で高SN比を得るのは難しい。これに対してHDR画像は人間の知覚輝度範囲のほとんどを表現するために考案され、上は太陽の直接光、下は低露光時のセンサの暗電流に支配される範囲までを取得可能となる。
画像における“ダイナミックレンジ“の定義はいくつか考えられるが、表現可能な最低輝度と最高輝度の比で表すのが一般的である。従来の256階調を持つ画像フォーマットの画素値は絶対輝度を表現するわけではなく、最終的な輝度は出力デバイスに依存し、ダイナミックレンジも出力法に依存することになる。これに対して、高ダイナミックレンジ画像 (High Dynamic Range Image:HDR画像) は単にダイナミックレンジが高いだけでなく、画素値が輝度値に対して線形であることが暗に求められており、ダイナミックレンジを明確に定義することができる。
1990年台にコンピュータグラフィクスの分野で、そのダイナミックレンジを拡大するための画像フォーマットや色空間に対する提案がいくつかなされ、Image Based Lightingにおける大域照明問題にその高ダイナミックレンジ画像 (High Dynamic Range Image:HDR画像) が積極的に使われるようになった。その後、主に高精細レンダリングや高コントラスト写真現像の分野でHDR画像が盛んに用いられるようになり、現在では多くのグラフィクスボードや画像処理ソフトウェアがHDR画像に対応している。
高解像度、高フレームレートなどの近年の画像高精細化の動きに伴い、CG分野以外でもダイナミックレンジや画素の階調数を向上させる技術が広まっている。より微細なコントラストを表現するために、1チャネル10ビット以上の階調数を持つ液晶ディスプレイが市販され、ディジタルカメラではセンサのダイナミックレンジをそのまま保持する階調数10ビット以上のRaw画像の使用が一般的になっている。人間の視覚と同等のダイナミックレンジを実現する画像センサの研究が近年活発に行われており、120dBを超えるダイナミックレンジを持つカメラがいくつか市販されている。更には今後、車載カメラ、監視カメラ、医用画像、天体画像の分野で幅広く応用されるであろう。
本書はHDR画像の取得法、トーンマッピング、符号化、画質評価などに関する最近の研究成果をまとめたものである。
第1章 は画像処理の基礎であり、HDR画像の取得法やトーンマッピングに必要な画像処理の基礎事項を抜粋して記載している。第2章ではHDR画像処理に関連の深い色空間と視覚特性に関して解説している。第3章ではHDR画像の基礎事項と近年の応用例を述べている。第4章では多重露光画像の統合によるHDR画像の取得方法について解説し、第5章ではHDR画像処理で最も重要な技術の1つであるトーンマッピングについて、いくつかの処理例を交えながら解説している。第6章はHDR画像符号化及び画質評価法について解説している。
本書はMATLABのプログラムを掲載し、具体的な実装例を通して理解を深める工夫をしている。そのそれぞれの章でMATLAB のプログラム例とその解説を参考にしながら読み進めることをお薦めする。
最後に本書を書く機会を与えてくださった田上透氏、本書の作成に協力いただいた北九州市立大学博士課程神納貴生氏に感謝の意を表する。
(まえがきより…奥田 正浩)
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2025/4/17 | 画像認識のためのディープラーニングとモデルの軽量化 | オンライン |
発行年月 | |
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2024/4/8 | 画像認識技術・システム 技術開発実態分析調査報告書 |
2024/4/8 | 画像認識技術・システム 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版) |
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2015/8/17 | 防犯・監視カメラ〔2015年版〕 技術開発実態分析調査報告書 |
2015/8/17 | 防犯・監視カメラ〔2015年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版) |
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