第1部 音響メタマテリアルの原理、特性と応用

(2021年3月19日 10:00〜12:00)

　音響メタマテリアルは、従来材料には実現不可能な特性を持たせるためのdesigned materialである。2000年頃から研究開発が開始され、最近では、自動車メーカーなどで実用化研究が進められている。そのデザインの基本原理は多様性に富み、応用可能性は未知である。
　本講演では、これまでに考えられている音響メタマテリアルの基本原理そして、これまでの研究開発の経緯をご紹介する。

1. メタマテリアルとは何か?
   1. 透明マント
   2. スーパーレンズ
   3. 電磁メタマテリアル
   4. 音響メタマテリアル
   5. 流体メタマテリアル
2. メタマテリアルの基礎原理
   1. 波動の屈折・反射・分散
   2. 変換光学
   3. 固体力学のアナロジー
3. 音響透過の問題
   1. 音響透過の基礎知識
   2. 航空宇宙分野における音響問題
4. 音響メタマテリアルの研究事例
   1. ストップバンド型メタマテリアル (固体力学のアナロジー)
   2. 位相速度の制御 (分散性波動)
   3. ソニック結晶 (変換光学)
5. 音響メタマテリアルの実験の方法
   1. COMSOLを用いた数値実験
   2. 模型製作
   3. 音響透過計測装置
   4. 無響室実験
   5. 計測方法
6. まとめ
• 質疑応答

第2部 トポロジー最適化による音響メタマテリアルの最適設計

(2021年3月19日 12:45〜14:45)

　本講座では、産業界への応用が期待される音響メタマテリアルを対象とした最適設計について解説を行います。はじめに音響メタマテリアルについて概説を行った後、メタマテリアルの構造創成設計に有効なトポロジー最適化法について説明します。そして、最適化問題で評価関数として設定される、メタマテリアルの示す音響特性を効率的に評価可能な数理モデルについて説明します。メタマテリアルのユニットセル構造を対象とした最適設計の例を紹介し、最適化法の有用性を示します。

1. 音響メタマテリアルとは
2. トポロジー最適化法
   1. 構造最適化法の分類
   2. 代表的なトポロジー最適化法の紹介
   3. レベルセット法に基づくトポロジー最適化法
   4. 随伴変数法に基づく感度解析
3. 音響メタマテリアルの評価方法
   1. Sパラメータを用いた有効材料定数の評価
   2. 低周波近似に基づく均質化法による評価
   3. 高周波均質化法による評価
4. 最適設計例
   1. 負の体積弾性率を示す音響メタマテリアルの最適設計
   2. 異方性音響メタマテリアルの最適設計
   3. 音響メタサーフェスの最適設計
5. 今後の展望
• 質疑応答

第3部 音響メタマテリアルの吸音・遮音解析

(2021年3月19日 15:00〜17:00)

1. 音響メタマテリアルとは
   1. 吸音とは、遮音とは
   2. 膜状材の吸音メカニズム
   3. 穴あき板の吸音メカニズム
   4. 音響メタマテリアルの構造例の紹介
2. 音響メタマテリアルの吸音解析
   1. 有限要素モデルの紹介
   2. 実験計測結果との比較
   3. パラメータスタディ (吸音に影響の大きい要因の解明)
3. 音響メタマテリアルの遮音解析
   1. 有限要素モデルの紹介
   2. 実験計測結果との比較
   3. パラメータスタディ (遮音に影響の大きい要因の解明)
4. 自動車騒音低減への適用検討
• 質疑応答