技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
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本書は、熱電発電と熱電冷却・加熱の分野の共通的基礎技術である熱電材料の高性能化とそれを実現するための製造プロセス技術の現状および今後の展望を体系的に詳述した専門書である。
本書は、熱電発電と熱電冷却・加熱の分野の共通的基礎技術である熱電材料の高性能化とそれを実現するための製造プロセス技術の現状および今後の展望を体系的に詳述した専門書である。
これは、先に2009年7月に上梓した「熱電学総論」に対して、各論の重要な一翼を担い、熱電学シリーズ第2弾として出版されることとなった。
まさに技術革新の渦中にあり、日進月歩のこの世界を体系的にとらえることは難しいが、それだからこそ、熱電材料の高性能化と密接な関係にある材料製造プロセスの最先端をまとめることに挑戦したものである。製造プロセスのパラメータは非常に多いが、性能に直結する製造パラメータの選択の問題と、それが材料構造にどのようにかかわっているのかというプロセスの眼目にかかわる部分を主要な材料系で取り上げた。極めて実践的な専門書を目指し、この分野を先導する研究者・技術者の協力により実際それが成功したと自負している。
対象とする材料系は、次世代及びそれ以降のモジュール化が期待されている材料系を中心とした。常温~低温域(2種)、中温域(6種)、および高温域(2種)にわたり、合計10種の材料系に絞った。Pb-Te系(TAGS、LAST)及びSi-Ge系などは含めていない。
高性能化アプローチの横断的技術として、ナノテクノロジーを取り上げ、熱電に用いられるナノ構造の製造プロセスを体系的にまとめ、熱電材料系にとって普遍的アプローチとなりうるかに挑戦している。個々の材料製造プロセスの中でもナノ構造化は必須技術となりつつある。材料製造プロセス技術の中に組み込まれている場合もある。材料系とナノ構造化とが織物の縦糸と横糸の関係のようになって一体化した材料製造プロセス技術を構成している事例を知ることができる。
また、熱電材料製造プロセスは、熱電システムの用途・応用分野とも密接に関連している。すなわち、熱電発電の分野では、廃熱利用など量的な寄与を前提としたパワー源とする場合とエネルギーハーベスティングのように、様々な環境に分散している熱源を用い、その場にあるシステムや生体などの検査・診断を行うワイアレス・センシングシステムのための電源とするような応用分野とに大別できる。特定の応用分野に的を絞って、材料系や材料製造プロセスをサーチし選択していくか、高性能な薄膜系などの材料系の成熟が先行して、その展開として応用システムを探していくという2つのアプローチがある。どちらも重要で、材料研究者、技術者にとっては、熱電変換(発電・冷却)システムのニーズと現状を十分把握しておくことが必須であり、逆に、応用システム分野の研究者・技術者・企画立案者にとっては、材料製造プロセスを理解・把握しておくことが必要不可欠であると考えられる。そのニーズにも応えるために、本書には熱電変換システムを含めた熱電技術全体の現状と将来展望を含めた。
(「はじめに」より一部抜粋/梶川武信 河本邦仁)
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