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「生分解性プラスチック」分野において、PBAT、PBS、PLA、PHAの成長が加速している。PBATは、農業用マルチシート用途が拡大している。また、食品包装用フィルム・容器、発砲シート、シュリンクフィルムなどに広がり、近年、数量を伸ばしている。PBSはPLAと同様容器やフィルムなどで採用され、生分解性プラスチック市場の成長要因となっている。中国勢がPBS樹脂及びその共重合品を展開している。物性のバランスを取るために他の生分解性樹脂とブレンドしたりすることで用途拡大を図っている。PLAは、加工食品の消費や宅配サービスの利用の増加が下支えしている。欧州はこのPLAを全面的に導入する方向で動き出している。コロナ禍でも、PLAは高成長を続けている。PHAはPEやPPに比較的近い物性を示し、耐熱性、耐油性、ガスバリア性があるということで、現在様々な企業が開発・製造を行っている。微生物の種類や用いる炭素源を変えることにより、様々な分子構造を持つ共重合ポリエステルが見出されている。
一方、「バイオベース/非生分解性プラスチック」分野では、PE、PP、PAの増加が著しい。バイオPEは、近年では100%バイオ由来であることが付加価値として認められ、採用企業も増えている。バイオPPは、他のプラスチックとは異なり、バイオマスを原料とする技術開発の難易度が高く、工業化技術が確立されていなかったが、各社はこの課題に挑戦し、実用化に取り組んでいる。2024年で製造能力の大幅な増加が見込まれている。バイオPAは、比較的ポリマー価格が高くバイオベース化に伴うコストを吸収しやすく、また、発酵合成されるコハク酸やアミノ酸を原料に用いることができることで、近年、研究開発が盛んである。
その他、PEFは、バイオPETの潜在的な代替品として広く使用できる可能性が出ており、100%バイオベースのボトル、フィルムなどの需要が高まっている。欧米各国を中心に、従来の石油化学工業に頼らず、微生物を活用した環境に優しいものづくり産業を推進する流れがある。日本国内においても、経済産業省から「スマートセルインダストリー」が政策として打ち出され、生物によるものづくり「バイオベースポリマー」の研究開発が盛んになりつつある。
本レポートは、微生物の産業利用という観点で各種ポリマーの開発状況をメインに、世界のバイオプラスチック業界を調査した。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。
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