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ディジタル画像の評価法と国際標準

ディジタル画像の評価法と国際標準

ディジタル画像の評価法と国際標準の画像

ご案内

 通信・放送の融合とネットワークインフラの整備、コンテンツのディジタル化により、ディジタル地上波やワンセグ放送、携帯電話端末向け動画像配信サービス、サーバ型放送、インターネットによる番組配信など、今までとは異なる形態の動画像・音声サービスが本格的に始まる。これに加え、表示デバイスは、LCDやPDPに代表されるようにFPDへ確実に移行しようとしている。
 FPDにおいても、携帯電話に見られるように小画面でも高解像度化の傾向があり、また、家電のTVにおいては大画面化が加速し、40インチクラスのFPDは今後違和感なく家庭に導入されると考えられる。
 このように、我々は、今までよりもより様々な場面で、静止画像・映像に接する機会が多くなっている。

 一方、これまでにJPEGやMPEGに代表されるように、画像符号化の要素技術に関する国際標準化が精力的に行われてきたが、現在では、VQEGやVESAなどで、様々な形態で画質評価の国際標準化が検討され、実用化への道を着実に歩んでいる。
 このことより、従来よりも「画像品質」を意識し、これについて主観的・客観的に考える機会が多くなったといえる。特に、これは、家電・放送・通信などの業種に従事する研究開発者は、こう思えるのではないだろうか。

 「画像品質」を考えることは、その性格上、心理物理学に始まり色彩学・生理学・情報科学・通信工学・画像工学・統計学など、多岐にわたる学問の知識が必要になることは言うまでもない。
 これらを網羅した画質評価に関する専門書はこれまでにいくつか刊行されてきたが、絶版となっているものが多く、非常に残念なことである。

 本書は、これまで画質評価の研究開発に従事されてきた先人の方々が執筆された専門書、学会の解説記事、論文などを沢山参考にさせて頂いた。温故知新の精神と同じで、画質評価に関する技術開発も、先人の方々の成果・苦労を理解することで、新たな知見が得られるのではないか。
 本書が画質評価の研究開発に従事する技術者・学生にとって、役立つ書籍であることを切に期待したい。

目次

第1章 人間の視覚特性

  • 1. 視覚系の階層モデル
  • 2. 画像全体に対する視覚特性
    • 2.1 視力
    • 2.2 視覚の空間周波数特性
    • 2.3 視覚の空間異方性
    • 2.4 視覚の時間周波数特性
  • 3. 動きに対する視覚特性
    • 3.1 動体視力
    • 3.2 視覚の時空間周波数特性
  • 4. 輪郭における視覚特性
    • 4.1 マッハ効果 (Mach’s phemomenon)
    • 4.2 クレイク・オブラエン効果 (Craik‐O’brien effect)
  • 5. 眼球運動
    • 5.1 視野と視力
    • 5.2 眼球の運動
    • 5.3 動画像に対する眼球運動

第2章 ディジタル画像の主観評価法

  • 1. 主観評価
    • 1.1 画質の心理的要因
    • 1.2 主観評価実験の方法
  • 2. 主観評価実験の標準条件
    • 2.1 一般観視条件
    • 2.2 評価素材の選定
    • 2.3 評定者
    • 2.4 評価セッション
    • 2.5 評価方法の選択
  • 3. DSIS (Double-stimulus impairment scale) 法
  • 4. DSCQS (Double-stimulus continuous quality-scale) 法
  • 5. SSCQE (Single stimulus continuous quality evaluation) 法
  • 6. SD (Semantic Differential) 法
    • 6.1 形容詞対の選択
    • 6.2 評定の実施
    • 6.3 データの解析
    • 6.4 適用例
  • 7. データの校正 (評定者の選別)
    • 7.1 DSIS、DSCQS、およびSSCQE法以外のための選別
    • 7.2 SSCQE法のための選別

第3章 ディジタル画像の客観評価法

  • 1. 画質劣化の種類
  • 2. 基本的な考え方
  • 3. 総合画質を予測するモデル
    • 3.1 線形重回帰モデル
    • 3.2 劣化量加算モデル
    • 3.3 画質評価積モデル
    • 3.4 最悪画質選択モデル

第4章 静止画像に対する客観画質評価

  • 1. JPEG , JPEG2000の概要
    • 1.1 JPEG
    • 1.2 JPEG2000符号化
  • 2. 静止画像特有の画質劣化
  • 3. 画質劣化に有用な視覚特性
    • 3.1 明るさの知覚・弁別
    • 3.2 色覚
    • 3.3 視覚の空間周波数特性
    • 3.4 マスキング効果
  • 4. 画質劣化要因の定量化
  • 5. 客観画質評価の例
    • 5.1 PQS (Picture Quality Scale)
    • 5.2 原画像を用いない画質評価モデル
    • 5.3 ぼけ・リンギング尺度

第5章 動画像に対する客観画質評価

  • 1. MPEG-2、MPEG-4 (MPEG-4AVC/H.264) の概要
    • 1.1 MPEG-2
    • 1.2 MPEG-4 (MPEG-4AVC/H.264)
  • 2. 動画像特有の画質劣化
  • 3. 画質劣化に有用な視覚特性
  • 4. 画質劣化要因の定量化
  • 5. 客観画質評価の例
    • 5.1 PQSvideo
    • 5.2 PQSvs
    • 5.3 VQS

第6章 国際標準化動向

  • 1. ユーザ要求条件 (ITU-T J.143)
  • 2. VQEG (Video Quality Experts Group)
    • 2.1 FR方式
    • 2.2 NR方式
    • 2.3 RR方式
  • 3. VQEG FRTV Phase 1
    • 3.1 主観評価実験 (COM 12-67-E September 1998)
    • 3.2 客観評価モデルの評価結果
  • 4. VQEG FRTV Phase 2 (FR方式の勧告 (J.144) )
    • 4.1 BT方式
    • 4.2 延世大方式
    • 4.3 CPqD方式
    • 4.4 NTIA方式
  • 5. RRNR TV
    • 5.1 全体の概要
    • 5.2 主観評価実験
    • 5.3 シーケンス処理
    • 5.4 客観評価モデルの性能評価

第7章 画質評価の今後

  • 1. 画質評価の課題
  • 2. マルチメディアにおける客観評価法
  • 3. フラットパネルディスプレイにおける画質評価
  • 4. 画質評価の将来展望

執筆者

富山大学
工学部
知能情報工学科
助教授
堀田 裕弘

出版社

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お問い合わせ

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体裁・ページ数

B5判 170ページ

ISBNコード

ISBN978-4-88657-241-7

発行年月

2006年5月

販売元

tech-seminar.jp

価格

49,800円 (税別) / 54,780円 (税込)

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