技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

新たな局面にある電気自動車とレアメタルの今後と日本企業の事業戦略

新たな局面にある電気自動車とレアメタルの今後と日本企業の事業戦略

~国内外の電気自動車に関する政策・市場・技術動向とレアメタルの需給展望 / 燃料電池車や天然ガス自動車の普及動向も解説~

アーカイブ配信で受講をご希望の場合、視聴期間は2024年11月7日〜18日を予定しております。
アーカイブ配信のお申し込みは2024年11月7日まで承ります。

開催日

  • 2024年10月24日(木) 13時00分 16時30分

プログラム

 これまで右肩上がりの成長を続けてきた電気自動車 (EV) の成長に減速傾向が見られてきた。電気自動車EV最大手のテスラの2024年第2四半期における純利益は前年同期比45%減の14億7,800万ドルと、2四半期連続で減少している。電気自動車販売台数も44万3,956台に減少している。主力としている米国市場は13%減、中国市場は17%減と減速を続けている。テスラは2030年に2,000万台の電気自動車を販売するという意欲的な目標を取り下げている。
 電気自動車の伸び率鈍化の理由としては、1環境意識の強い、富裕層への電気自動車の販売が一巡したこと、2電気自動車は、ガソリン車、ハイブリッド車と比較して割高であり、一般のボリューム・ゾーンへの訴求力に欠けること、3ガソリン車と比較した短い航続距離、4蓄電池への充電インフラストラクチャーが整備されていないこと、5各国が電気自動車への補助金を削減していること、等が挙げられる。他方、中国は、BYDをはじめとした新興電気自動車メーカーが、政府の支援のもと、余剰生産能力による値下げ競争を強化し、テスラは価格競争についていけなくなっている。中国の自動車輸出台数は、日本を抜いて2年連続で世界第1位となっている。電気自動車の伸び率鈍化を尻目に、割安で使い勝手のよい日本のハイブリッド車の販売は好調で、トヨタの2024年3月期の純利益は4兆5,000億円と過去最高に達し、株式時価総額は2倍の60兆円を超えた。
 しかし、長期的に見れば、脱炭素の流れのもと、電気自動車の普及は間違いない。2023年における電気自動車の世界販売台数は1,360万台と新車販売市場の10%を超えており、2026年に2,000万台、2035年に5,000万台を超えるという意欲的な予測もある。電気自動車の生産台数の増加とともに、リチウム・イオン電池に必要不可欠なレアメタル、レアアースの価格が、資源エネルギー大国ロシアによるウクライナへの侵攻により不安定となっている。2022年春には、リチウム価格は前年比6倍、ロシアが主生産国となっているニッケルは過去最高値、その他にも、ネオジム、ジスプロシウム等のレアアース価格も高騰した。レアメタルの価格高騰は、電気自動車の中心となっているリチウム・イオン電池の価格上昇につながる。レアメタル価格の高騰とレアメタルに係わる地政学リスクへの対応から、三元系ではない、コバルト、ニッケルを使わないリン酸鉄リチウム・イオン電池の技術革新が生まれ、テスラ等の電気自動車にも搭載されている。
 これまでは電気自動車に距離を置いていると思われてきた世界首位の自動車メーカーのトヨタが、2021年12月14日に2030年に電気自動車の世界販売台数を350万台と大幅に引き上げ、2024年における目標は2026年までに年間150万台、投資額も蓄電池を含めて4兆円と、電気自動車に注力することを表明した。2022年1月にはソニーも、電気自動車をエンタテインメントの一つとして、参入することを表明し、日本を代表するソニーとホンダが手を組み、既存の大手自動車メーカー、IT企業、新興企業を巻き込んだ壮大な、「グレート・ゲーム」が行われている。2024年7月には、電気自動車開発に関して、ホンダと日産自動車、三菱自動車が、共同で電気自動車開発に取り組む。世界はカーボン・ニュートラルに向かうことで一致した。EV (電気自動車) 、FCV (燃料電池車) 等の開発・生産に、世界の大手自動車メーカーが研究開発競争を繰り広げ、既存の自動車メーカーと新興企業が熾烈な競争を展開している。テスラのEV販売台数は2022年に131万台、2023年に180万台と、伸び率が鈍化し、中国のBYD、スマートフォン世界最大手のシャオミも電気自動車に参入した。日本を含めた世界において、脱ガソリン車への動きは加速している。英国は2030年 (2023年夏に2035年に先送り) 、フランスは2040年、米国カリフォルニア州とニューヨーク州は2035年までに、ガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を打ち出し、米国バイデン政権も2030年に新車販売の50%を電動化することを表明している。日本も2030年代半ばには、ガソリン車から、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等の電動化を目指すこととしており、2022年6月には軽自動車EVの販売も本格化している。自動車販売が好調な中国は、2035年には新車販売の50%について電気自動車をはじめとするNEV (新エネルギー車) として、残りの50%をハイブリッド車とする環境対応を目標としていたものの、2024年1月には、2027年までにNEVを45%とする目標引き上げを行っている。テスラを追い抜くべく、トヨタ、フォルクス・ワーゲン、GM等の大手自動車メーカーが、電気自動車とリチウム・イオン電池の開発競争を強化している。電気自動車は、トラック部門にも拡大し、ダイムラーは、航続距離800キロメートルの大型トラックを2024年に量産化する。
 リチウム・イオン電池の技術革新と価格低下により、意欲的な見通しにおいては、2040年の世界の電気自動車市場は、新車販売の50%以上を占める。電気自動車は、スマート・フォンと比較して、1万倍近くのリチウム・イオン電池の容量を必要とし、レアメタルであるリチウム資源、コバルト資源の偏在と、需要の増加に供給が追いつかないうえに、ロシアによるウクライナへの侵攻もあって、正極材に使うリチウム、コバルト、ニッケルというレアメタルの価格も高騰した。世界は、電気自動車の普及に向けて、レアメタル、レアアース争奪戦の様相を見せている。リチウム・イオン電池については、正極材、負極材、電解液、セパレーター等の素材において、日本企業が世界最先端の強みを持っていたが、製品、部品そのものは中国企業、韓国企業に世界市場を席捲されている。中国製の電気自動車による市場席捲への脅威論、国内の自動車産業と労働者の保護から、米国は中国製の電気自動車に対して100%の関税をかけ、EUは中国製の電気自動車への追加関税をかける。米国大統領選挙において、トランプ候補は、当選したならば、電気自動車への7,500ドルの税額控除を廃止すると表明している。予想よりも時間がかかっている全固体電池の開発、リチウム、コバルト、ニッケル資源の開発状況と価格を見通し、高価なレアメタルを使わない蓄電池の開発動向等、2030年に向けての不透明感が増す次世代自動車の未来像を展望し、日本企業にとっての事業機会について次世代自動車の第一人者が分かりやすく解説する。

  1. 脱炭素の動きと電気自動車の販売の動き
    • 軽自動車EV
    • 大型トラック
  2. 中国の新興電気自動車メーカーの躍進とテスラの減速による勢力図の変貌
  3. 次世代自動車の普及状況と電気自動車の伸び率鈍化の現状と今後の見通し
  4. 欧米における次世代自動車への政策動向と支援策
    • 中国EVへの関税強化
  5. 日本における次世代自動車への普及政策の今後
    • 自動車メーカーの提携
  6. 燃料電池車のメリットとデメリット
    • 量産化への制約
  7. 電気自動車のメリットとデメリット
    • 自動運転、蓄電池の価格と性能
  8. 電気自動車の今後の普及予測
    • 中国、米国、欧州諸国の自動車産業保護
  9. 天然ガス自動車のメリットとデメリット
    • 米国のシェール・ガス革命
  10. 燃料電池車の普及の可能性と市場規模
    • 燃料電池トラック、バス
  11. 水素ステーションの普及の可能性と市場規模
    • 水素社会の促進策
  12. 電気自動車と充電ステーションの普及の可能性と今後の市場規模
  13. リチウム・イオン電池に係わる日本企業の強み
    • 中国、韓国との競争
  14. リチウム資源の現状と今後の価格動向
    • リチウム資源の争奪戦
  15. コバルト、ニッケル資源の開発と今後の開発動向
    • ウクライナへの侵攻
  16. 脱中国への新たな電気自動車のサプライ・チェーンの見通し
    • 日本の強み
  17. 天然ガス自動車と天然ガス・ステーションの普及の可能性と市場規模
  18. 自動運転技術の革新動向とライド・シェアによる次世代自動車の見通し
  19. コバルト、ニッケルを利用しない蓄電池の開発動向
    • リン酸鉄リチウム電池
  20. 電気自動車の販売伸び率鈍化と米国大統領選挙への最適事業戦略
    • 質疑応答

講師

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 42,700円 (税別) / 46,970円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,750円 (税込)

会場受講の複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 42,700円(税別) / 46,970円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 74,250円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

オンライン受講割引

  • オンライン受講の場合、1名様 32,400円(税別) / 35,640円(税込) で受講いただだけます。
  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 32,400円(税別) / 35,640円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 74,250円(税込)
  • 申込みフォームの受講方法から「オンライン」をご選択ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

会場受講 / アーカイブ配信対応セミナー

会場受講 または オンラインセミナー (アーカイブ配信) のいずれかをご選択いただけます。
お申し込みの際、受講方法の欄にて、会場受講またはオンライン受講をご指定ください。
オンラインセミナーの申込み受付の締切日も、会場受講のセミナー開催日までです。ご注意ください。​

オンラインセミナーをご選択の場合、以下の流れ・受講内容となります。
※会場で受講の場合、このサービスは付与されませんのでご注意ください。

  • 「ビデオグ」を使ったアーカイブ配信セミナーとなります。
  • 当日のセミナーを、後日にお手元のPCやスマホ・タブレッドなどからご視聴・学習することができます。
  • お申し込み前に、 視聴環境 をご確認いただき、 視聴テスト にて動作確認をお願いいたします。
  • 視聴期間は2024年11月7日〜18日を予定しております。
    ご視聴いただけなかった場合でも期間延長いたしませんのでご注意ください。
  • セミナー資料は印刷・郵送いたします。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/9/18 液中の粒子分散制御及び評価の要点 オンライン
2024/9/18 廃プラスチックのリサイクル技術における最新動向 オンライン
2024/9/20 カーボンニュートラル (CN) 社会におけるCO2の回収・利用・貯留 (CCUS) の現状と将来および技術動向 オンライン
2024/9/20 最新自動車EMCの測定と対策 オンライン
2024/9/25 リチウムイオン電池の発火メカニズム、対策と火災の予防 オンライン
2024/9/25 LiB電極の間欠塗工とスラリー分散・混錬・調送液の製造技術 オンライン
2024/9/25 xEV用パワーエレクトロニクス機器技術の基礎と技術トレンド 東京都 会場
2024/9/25 リチウムイオン電池の基礎と技術・研究開発の現状、今後の動向 オンライン
2024/9/26 アルカリ水電解の開発状況・課題と国内外の動向 オンライン
2024/9/26 レアメタルリサイクル技術の最新動向・課題および将来展望 オンライン
2024/9/27 水素キャリア・代替燃料としてのアンモニア利用技術とその現状 オンライン
2024/10/2 LiB電極の間欠塗工とスラリー分散・混錬・調送液の製造技術 オンライン
2024/10/2 モータの高効率な制御技術とノイズ対策 オンライン
2024/10/7 カーボンニュートラル (CN) 社会におけるCO2の回収・利用・貯留 (CCUS) の現状と将来および技術動向 オンライン
2024/10/9 合成燃料 (e-fuel) 製造の効率化、技術開発動向 オンライン
2024/10/10 xEV用モータの設計・製造の勘どころ 東京都 会場
2024/10/11 ミリ波レーダの基礎、車載応用と走行環境の認識技術 オンライン
2024/10/17 e-Axle用フルードの要求特性と技術展望 オンライン
2024/10/24 ペロブスカイト太陽電池・光電変換材料の高効率化・高耐久性化と今後の展望 オンライン
2024/10/25 インピーダンス測定・解析 オンライン

関連する出版物

発行年月
2024/6/24 EV用リチウムイオン電池のリユース&リサイクル
2024/4/15 無人配送車・システム 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2024/4/15 無人配送車・システム 技術開発実態分析調査報告書
2024/2/25 2024年版 水素エネルギー市場の実態と将来展望
2024/1/26 2024年版 太陽光発電市場・技術の実態と将来展望
2023/11/30 EV用電池の安全性向上、高容量化と劣化抑制技術
2023/11/29 リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023
2023/11/29 リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023 [書籍 + PDF版]
2023/11/24 2024年版 脱炭素エネルギー市場・技術と将来展望
2023/11/15 EV用モータの資源対策
2023/11/14 x/zEV用電池の拡大 (目標、現状とグローバルな態勢) [書籍 + PDF版]
2023/11/14 x/zEV用電池の拡大 (目標、現状とグローバルな態勢)
2023/9/8 2024年版 スマートエネルギー市場の実態と将来展望
2023/7/7 2023年版 次世代住宅市場・技術の実態と将来展望
2023/7/6 x/zEVへの転換2023 (各国の現状、目標と課題) [書籍 + PDF版]
2023/7/6 x/zEVへの転換2023 (各国の現状、目標と課題)
2023/6/14 車載用リチウムイオン電池リサイクル : 技術・ビジネス・法制度
2023/6/9 2023年版 リチウムイオン電池市場の実態と将来展望
2023/5/31 アンモニアの低温・低圧合成と新しい利用技術
2023/5/19 世界の充電インフラ 最新業界レポート