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多臓器連関を踏まえた疾患のメカニズムと創薬研究の進め方

多臓器連関を踏まえた疾患のメカニズムと創薬研究の進め方

~疾患の発症に関連する臓器間の分子メカニズムを知り、いかに創薬ターゲットを見つけるか~
東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2017年1月11日(水) 10時15分18時10分

プログラム

第1部. 骨膜由来分泌性サイトカインによる骨形成・循環調節

(2017年1月11日 10:15〜11:45)

 臓器間ネットワークは、古典的な内分泌ホルモンによるremote臓器への作用あるいは神経系の入出力によって調節されている。
 我々は、骨膜で特異的に発現するperiosteokineの同定し、本分泌性ペプチドの循環調節機構を明らかにしつつある。
 また、本ペプチドが骨・軟骨に作用する可能性もあり、骨膜からの分泌性ペプチドが全身の骨格あるいは循環調節を制御する機構が生体内で機能していることになる。
 以上の知見をゼブラフィッシュ、マウスを用いた解析結果をもとに報告する。

  1. 骨膜サイトカインの同定
    • ゼブラフィッシュと哺乳類の発現部位の差
  2. 生体機能における役割
    • 骨 – 軟骨形成、循環調節
  3. 生体機能を発揮する分子メカニズム
    • 骨膜由来ペプチドと心房性利尿ペプチドシグナルの関係
  4. 治療薬としての可能性
    • 骨形成促進効果?降圧効果?
  5. 測定系の標準化における課題
    1. ヒト血中濃度測定系の確立
    2. マウス疾患モデルでの血中濃度の変動
    • 質疑応答

第2部. 臓器連関から考える新しい心不全治療薬の可能性

(2017年1月11日 12:00〜13:15)

 心不全は心臓ポンプ機能障害により全身にうっ血、臓器低灌流をきたす全身疾患である。創薬ターゲットは心臓ポンプ機能障害を防ぐことはもちろんであるが、全身臓器の予備力低下を防ぐことも重要である。
 本講演では心不全により心臓を含む全身臓器にどのような予備力低下が起き、治療ターゲットがあるかを考察する。

  1. 心不全と臓器連関
    • どのような臓器の予備力が心不全に影響をおよぼすか
  2. 心不全と心腎連関
    • 心不全と腎臓はどのように関わっているか
    • 心腎連関をつなぐ因子は何か
  3. 心不全と心肝連関
    • 心不全と肝臓はどのように関わっているか
    • 心肝連関をつなぐ因子は何か
  4. 心不全と貧血
    • 心不全と貧血はどのように関わっているか
    • なぜ貧血になると心不全は増悪するのか
    • 質疑応答

第3部. 慢性腎臓病におけるミネラル代謝異常:多臓器連関の重要性

(2017年1月11日 13:45〜15:15)

 高リン血症を含むミネラル代謝異常は慢性腎臓病 (CKD) 患者に共通して見られる病態であり、副甲状腺機能亢進症や腎性骨症の原因となるばかりでなく、その悪化は血管石灰化の進行や心血管系イベントの増加を招き、死亡率の上昇を招く。よってCKD患者におけるリン管理は重要な事項である。
 本講演では、リン代謝の多臓器連関を中心に、CKDにおけるリン制御破綻やリン調節薬ついて最近の知見を概説する。

第4部. 腎疾患における多臓器連関の研究動向と創薬応用

(2017年1月11日 15:30〜17:00)

 慢性腎臓病 (chronic kidney disease, CKD) は新たな国民病といわれている。その医学的、社会的問題点として、CKDは遠隔臓器の機能恒常性 (臓器連関) を破綻させ、心血管病や脳梗塞など死亡リスクの高い疾患の発症率を高めることや、CKD末期には血液透析に至るため生活の質や生産性の低下の原因となることが挙げられる。
 これは高齢社会の健康長寿を目指すうえで解決すべき課題であり、そのためCKD撲滅が世界的に提唱されているが根本治療薬はまだない。
 我々はCKD病態生理学を学ぶ中で、腎臓細胞において小胞体の機能低下 (小胞体ストレス) が発信するストレスシグナル (unfolded protein response, UPR) が細胞障害表現型 (形態変化、細胞増殖、細胞死など) に深く関与することや、病的なUPR活性化が生じる要因やそれを改善することによる腎保護効果について研究を進めてきた。
 本講演では腎臓における小胞体ストレスシグナルの病態生理学的役割、それら成果に基づいて新しいCKD治療戦略が確立できるかについて論じたい。

第5部. 多臓器連関を考慮した治療薬開発

(2017年1月11日 17:10〜18:10)

  1. 多臓器連関を考慮した創薬研究の最新動向
  2. 心副腎連関の分子機序
  3. 糖尿病治療薬の腎臓病に対する新たな機能
  4. 多臓器連関を踏まえた治療薬開発
    • 多臓器連関という考えの重要性
  5. 多臓器連関の創薬、治療法開発の今後の展望と課題
    • 質疑応答

講師

  • 望月 直樹
    国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 研究所
    副所長 / 細胞生物学部長
  • 坂田 泰史
    大阪大学 大学院 医学系研究科 循環器内科学教室
    教授
  • 宮本 賢一
    徳島大学 分子栄養学分野
    教授
  • 稲城 玲子
    東京大学 大学院 医学系研究科 慢性腎臓病 (CKD) 病態生理学講座
    特任准教授
  • 佐野 元昭
    慶應義塾大学 医学部 循環器内科

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
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主催

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