<1> 東日本大震災における岩手県内の市町村の行政機能復旧について

岩手県 政策地域部 市町村課 主任
佐々木 琢磨 (ささき たくま)氏

　3月11日に発生した東日本大震災津波において、岩手県内の市町村は未曾有の被害を受けました。また、沿岸市町村においては、庁舎が地震や津波によって被害を受け行政機能が停止した団体もありました。そのような中、本県が震災後にとった対応と市町村の住民基本台帳ネットワークシステムなどの復旧までのプロセスについて時系列で説明するとともに、今回の震災で感じた情報システムのあり方と、業務継続計画(BCP)を実現するための必要な対策について、利用者の視点からお話いたします。

• 1.住民情報の被害
• 2.県内市町村役所庁舎の被害状況
• 3.住民基本台帳ネットワークシステムの復旧経過について
• 4.震災を経験して感じた今後の情報システムのあり方について
• 5.質疑応答

<2> 陸前高田市の情報システム復旧に向けた取組み

陸前高田市 総務部 総務課 行政係長
高橋 良明 (たかはし よしあき)氏

　3月11日の東日本大震災により、陸前高田市は市街地が甚大な被害を受け、多くの住民が被災してしまいました。災害時に被災者支援活動の中心となるべき市役所庁舎も4階にまで達する津波により壊滅してしまい、多くの職員を失いました。同時に情報システムの全てが被害を受けサーバー、通信機器等、また、貴重なデータを失ってしまいました。そうした中での被災当初の電気、通信網等のインフラも途絶えた中での対応、その後の様々な支援を頂きながらの仮復旧、本復旧に向けた取り組み状況と、情報システムの今後の防災、減災対策について、被災自治体の担当者が感じたことを中心にお話させていただきます。

• 1.陸前高田市の被災状況
• 2.被災当初の対応について
• 3.情報システム復旧に向けた取組み
• 4.情報システムの防災、減災対策について
• 5.質疑応答

<3> 東日本大震災から学ぶ ～システム納入業者としての対応～

エクナ(株) 取締役 公共営業部 部長
柏木 直之 (かしわぎ なおゆき)氏

　この度の東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また震災に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。さて、今回のセミナーでは、震災が発生してから住基情報・税情報システムの復旧までの動きについて、システムの納入業者としてどのように考え、対応したのか。どのような手段・方法で如何にして住民基本台帳のデータを守るか、今後の在るべき姿についてどのようにあるべきか。現場では、TVニュース・新聞記事等の報道とは異なる点も含めお話をさせて頂きます。また、地方自治体へシステムを導入されている業者の方々、自治体関係者の方々へ、私が経験した事を、今回のセミナーを通じて、お話させていただき、これからシステムの防災・減災について、検討する際の一助になればと考えます。

• 1.移動手段としての緊急車両の申請
• 2.サーバーを災害から救う為に
• 3.災害時の行政窓口の対応
• 4.住民情報のLGWAN二次バックアップの考え
• 5.災害時・防災対策としてのクラウド化
• 6.質疑応答

<4> 次世代クラウドによる高度防災・減災システムを目指して

ASP・SaaS・クラウド コンソーシアム 理事
[(株)NTTデータ経営研究所 特別理事 エグゼクティブ・コンサルタント]
小田島 労 (おだしま ろう)氏

　JCCの次世代クラウドサービス検討WGでは、次世代クラウドの定義には様々なものがあることを認識しつつ、今回の東日本大震災を踏まえて、大災害に強い街づくり・国づくりに役立つ「高度防災・減災システム」を検討していくこととした。このため今回の震災では何がどう起きていったのか、被災地岩手県における県と市役所の情報システム担当部門でインタビューできた事柄を時系列に分析して、震災の直前・直後・津波の直前・直後、復旧、復興などの各段階でどんな対処が必要であったのかを改めて分析してみた。この分析結果を踏まえ、必要となる情報基盤やその上で稼働する防災・減災システムについて考察し、報告する。

• 1.本WGの目指す次世代クラウドの定義
• 2.被災地における出来事の時系列分析
• 3.事業継続に向け必要とされる対処の方向
• 4.情報収集・連携プラットフォームについて
• 5.目指すべき高度防災・減災システム
• 6.質疑応答