技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

PFAS (有機フッ素化合物) の分離と分解・再資源化

PFAS (有機フッ素化合物) の分離と分解・再資源化

~PFASを含有する排水、廃棄物の除去、無害化処理~
オンライン 開催

開催日

  • 2023年8月24日(木) 10時00分 17時00分

修得知識

  • 一般的な有機化合物の分解方法に関する基礎知識
  • フッ素ポリマーやフッ素系イオン液体
  • フッ素テロマー界面活性剤等の先端有機フッ素化合物の分解方法や再資源化方法

プログラム

第1部 有機フッ素化合物 (フッ素ポリマー等) の分解・再資源化技術

(2023年8月24日 10:00〜13:40) (途中 昼休みがあります)

 炭素原子とフッ素原子から形成される有機フッ素化合物は耐熱性、耐薬品性、界面活性等の優れた性質を持ち、我々の生活に欠かすことのできない重要な化学物質である。その種類は低分子化合物から高分子化合物まで多岐にわたる。分子量が数百程度の化合物は界面活性剤や表面処理剤に、数万以上の化合物、すなわちフッ素ポリマーはパッキン等の汎用品はもちろんのこと、イオン交換膜、光ファイバー、レジスト等の先端材料として利用されている。
 このように高い機能性を持つ一方で、環境残留性や生体蓄積性、廃棄物の分解処理が困難といった負の側面が近年になって顕在化しつつあり、PFASに対する規制が各国で進行している。PFOA/PFOSについては規制の進行に伴い代替物質への転換が進んでいるが、代替物質も有機フッ素化合物である以上環境残留性は変わらず懸念され、環境リスク低減のためには有害性の度合いに応じて排出や廃棄物、さらには汚染地下水・土壌等の無害化を行う必要がある。しかし、これらは炭素・フッ素結合から成り立っているため極めて安定で従来の手法ではほとんど分解せず、分解の際には高温が必要であったり、出発物質よりもはるかに有害な化合物が発生する懸念がある等、様々な問題がある。
また、フッ素ポリマーを含め全ての有機フッ素化合物の原料である高純度の蛍石 (フッ化カルシウムの鉱物) は近年、入手難の状況が続いており、フッ素資源の資源循環が期待されている。フッ化物イオンまで分解できれば、カルシウムイオンとの反応でフッ化カルシウムに変換でき、フッ素資源の資源循環に寄与できる。
 本講演では、一般的な有機化合物の分解方法を概説した後、このような有機フッ素化合物を温和な条件で高効率にフッ化物イオンまで分解・無害化し再資源化する様々な化学反応手法とその研究動向について報告する。

  1. 有機化合物を分解するさまざまな方法
    1. 紫外線照射 (UV)
    2. 促進酸化法 (AOP)
    3. フェントン反応
    4. ペルオキソ二硫酸イオン
    5. ペルフルオロ一硫酸イオン
    6. 超音波照射
    7. 亜臨界水・超臨界水
    8. メカノケミカル反応
  2. 有機フッ素化合物を温和な条件でフッ化物イオンまで分解・無害化するさまざまな化学反応手法
    1. ヘテロポリ酸光触媒
    2. ぺルオキソ二硫酸イオン+光照射
    3. 鉄イオン光触媒
    4. 鉄粉+亜臨界水
    5. ぺルオキソ二硫酸イオン+温水
    6. 酸素ガス+亜臨界水
    7. ぺルオキソ二硫酸イオン+超音波照射
  3. フッ素ポリマーの分解方法
    1. イオン交換膜 (ペルフルオロスルホン酸ポリマー) の亜臨界水分解
    2. ポリフッ化ビニリデン (PVDF) 、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体 (ETFE) 、および関連するフッ素ポリマーの分解
      1. 酸素ガス+超臨界水反応
      2. 過酸化水素+亜臨界水反応
      3. 過マンガン酸カリウム+亜臨界水反応
    3. 反応液からの人工蛍石の合成
  4. 先端有機フッ素化合物の分解方法
    1. フッ素系イオン液体の亜臨界水分解
    2. フッ素テロマー界面活性剤の亜臨界水分解
  5. 有機ケイ素化合物の亜臨界水分解
    • 質疑応答

第2部 膜を用いたPFAS処理技術と今後の課題、展望

(2023年8月24日 13:50〜15:20)

 昨今、水環境汚染が問題となっているPFAS (ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質) について、膜を用いた既存の処理技術について俯瞰するとともに、改質膜の開発や使用済み膜の活用による最新のPFAS処理技術についてご紹介します。

  1. PFASによる水環境汚染と課題
    1. PFASによる水環境の汚染実態
    2. 水環境中PFASに係る法規制
    3. 従来のPFAS処理技術
  2. 浄水膜を用いたPFAS処理
    1. 膜を用いた浄水処理の基礎知識
    2. NF,RO膜によるPFAS処理
    3. 改質膜によるPFAS処理
  3. RO膜のカスケード利用によるPFAS処理
    1. RO膜のカスケード利用とは?
    2. 使用済みRO膜を利用したPFAS処理
    3. 今後の課題と展望
    • 質疑応答

第3部 イオン交換樹脂によるPFAS除去

(2023年8月24日 15:30〜17:00)

 近年、PFAS (ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物) による環境水の汚染が問題になっており、国内においてもペルフルオロオクタンスルホン酸 (PFOS) と、ペルフルオロオクタン酸 (PFOA) が水質汚濁防止法の指定物質に指定されている。今回は、イオン交換樹脂を用いたPFOS,PFOAの除去技術について紹介する。

  1. イオン交換樹脂の種類と特徴
    1. イオン交換樹脂の基本構造
    2. イオン交換樹脂の種類と分類
  2. イオン交換樹脂によるPFAS除去
    1. イオン交換樹脂によるPFAS吸着のメカニズム
    2. イオン交換樹脂によるPFAS除去
    • 質疑応答

講師

  • 堀 久男
    神奈川大学 理学部 化学科
    教授
  • 原 宏江
    金沢大学 理工研究域 環境リスク制御工学研究室
    助教
  • 安藤 信吾
    三菱ケミカル株式会社 スペシャリティマテリアルズビジネスグループ R&D本部 ライフソリューションズテクノロジーセンター 分離材技術グループ
    主任研究員

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 55,000円 (税別) / 60,500円 (税込)
複数名
: 50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 50,000円(税別) / 55,000円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 55,000円(税別) / 60,500円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 100,000円(税別) / 110,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 165,000円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。

アカデミック割引

  • 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)

日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。

  • 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
  • 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
  • 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
  • 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
  • 支払名義が企業の場合は対象外とさせていただきます。
  • 企業に属し、大学、公的機関に派遣または出向されている方は対象外とさせていただきます。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/5/15 PFASの水道における実態及びその対策に対する技術開発の現状と課題への取り組み 東京都 会場・オンライン
2024/5/16 PFAS (有機フッ素化合物) の国内外最新規制動向、企業のリスクと対応事例 東京都 会場・オンライン
2024/5/21 PFAS規制の最新動向と半導体業界への影響、対応方法 オンライン
2024/5/22 防汚コーティング技術の総合知識 オンライン
2024/5/27 PFASにおける国内外の動向と対策技術および対応事例 オンライン
2024/5/28 日欧米の化学物質関連法規制の概要と対応のポイント オンライン
2024/6/3 防汚コーティング技術の総合知識 オンライン
2024/6/6 日欧米の化学物質関連法規制の概要と対応のポイント オンライン
2024/6/10 PFOA・PFOS等を含めたPFAS (有機フッ素化合物) における規制動向、その企業対応 (2024年版) オンライン
2024/6/14 化学物質 (有機溶剤) の安全な取り扱い講座 オンライン
2024/6/21 フッ素樹脂をはじめとするPFASの基礎と欧州PFAS規制の動向および用途別の代替手段 オンライン
2024/6/25 有機フッ素化合物 (PFAS) に関する米国規制動向と企業の対応策 オンライン
2024/7/8 有機フッ素化合物 (PFAS) に関する米国規制動向と企業の対応策 オンライン
2024/7/10 フッ素樹脂をはじめとするPFASの基礎と欧州PFAS規制の動向および用途別の代替手段 オンライン