技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

XPSの基礎と測定・解析のポイントおよび最新動向

XPSの基礎と測定・解析のポイントおよび最新動向

~誤った結論を出さないために、有益な情報を得るために、理解すべき基礎と要点~
オンライン 開催

概要

本セミナーは、XPSの原理と特徴、XPSの観察対象、XPS測定とデータ解析、XPS測定装置、XPSの最近動向について詳解いたします。

開催日

  • 2023年9月8日(金) 13時00分 17時00分

修得知識

  • XPSの基礎
  • XPSの実験装置
  • XPSの応用
  • XPSの最前線
    • 例えば、HAXPESでイオン化断面積やX線源を再度取り上げ、実用的観点から述べる
  • データ解析のバックグラウンド処理、ピーク分離解析
  • 得られる情報の信頼性、多様性、精度向上のポイント
  • XPSスペクトルから得られる情報

プログラム

 XPSは化学組成・科学結合状態の実用的表面分析法として多様な分野で活用されている。近年より実用的な硬X線光電子分光法 (HAXPES) や準大気圧光電子分光法 (APXSP) が開発され、デバイスや触媒などの実環境評価で有効なため応用が急拡大している。XPS装置は大変に高価であり、外注によるXPS測定料金も高額である。学会発表などでXPSデータが生のまま使用され、スペクトル形状変化から定性的議論にとどまっている。
 これに対して本セミナーでは、光電子スペクトルが光電子放出の始状態/終状態、そして装置応答関数の情報を含むことを説明し、それらの基礎を十分に理解し、適切なデータ処理をすることで、有益な情報を引き出せることを強調する。例えば非対称形状の光電子スペクトルは帯電効果、金属特有の赤外発散、化学シフト成分の存在など多くの可能性があり、XPSの基礎を十分に理解していないと誤った結論を出してしまう可能性がある。本セミナーでは、XPSに必要最小限の基礎的理解が得られるように企画されている。
 本セミナーは (1) XPSの原理と特徴、 (2) XPSの観察対象、 (3) XPS測定とデータ解析、 (4) XPS測定装置、 (5) XPSの最近動向から構成される。
 第1章ではXPSの概要を把握するために必要な基礎的事項にとどめ、他の章で実例と関連付けて基礎を説明する。第2章ではXPSで何が観察できるかついて、基礎科学だけでなく実用分野でも広範囲に広がっていることを述べ、課題として試料表面清浄化・帯電効果・X線誘起損傷について紹介する。第3章ではいくつかの試料についてXPS測定とデータ解析の実際を説明する。データ解析では始状態/終状態/装置応答関数の知見が重要であることを述べる。第4章ではXPS装置について説明し、ブラックボックスとならずに適切に装置性能を引き出してXPS測定できる指針を示す。XPS装置の高度化・高機能化・高精度がもたらすXPSの最新動向を第5章で説明する。とりわけ実用分野で多用される硬X線光電子分光法と準大気圧X線光電子分光法について詳しく紹介する。最後にXPSと競合するオージェ電子分光法、X線発光分光法について長所・短所を述べ、XPS関連論文数の年次推移を参照して本セミナーをまとめる。

  1. XPSの原理と特徴
    1. 光電子放出の3ステップモデル
      • 光励起
      • 固体内の移動
      • 表面からの脱出
    2. 光電子スペクトルに含まれる情報
      • 始状態 + 終状態 + 装置応答関数 ⇨ 観測データ
    3. 結合エネルギー
      • エネルギー保存則、エネルギー較正 (Ek → EB変換) ⇨ 定性分析
    4. 光イオン化断面積
      • 光エネルギー、原子番号、軌道対称性に依存 ⇨ 定量分析
    5. 平均自由行程
      • 非弾性散乱による減衰 (膜厚測定)
      • 弾性散乱による干渉 (構造解析)
  2. XPSの観察対象
    1. 分類
      • 真空/固相 (表面)
      • 気相/固相
      • 液相/固相
      • 固相/固相の界面観察
    2. 課題
      • 試料表面清浄化
      • 帯電補償
      • X線誘起損傷
  3. XPS測定とデータ解析
    1. 窒素ドープDLC膜
      • XPS測定の初歩的注意
      • バックグラウンド処理
      • 窒素含有量の定量解析
    2. Si酸化
      • ピーク分離解析
      • SiO2膜厚評価
      • 酸化状態解析
    3. Ti酸化
      • 固溶酸素
      • Ti2O
      • TiO
      • Ti2O3
      • Ti3O5
      • TinO 2n-1 (n = 4, 5 … 10)
      • TiO2
      • 簡単な終状態
    4. Ni酸化:NiOのみ、複雑な終状態
  4. XPS測定装置
    1. 電子エネルギー分析器
      • エネルギー分解能
      • 1:1凸レンズ (イメージング)
      • 入射レンズ
    2. 検出器
      • チャネルトロン
      • マイクロチャネルプレート
      • 蛍光スクリーン
      • CCD
      • 裏面CMOS
    3. 光源:X線管、分光器、高輝度放射光
  5. XPSの最近動向
    1. 最先端XPSの分類と特徴:エネルギー分解などの極限化、顕微観察、測定条件の拡張
    2. 硬X線光電子分光法 (HAXPES)
      • 実験装置 (Ag Lα, Cr Kα, Ga Kα)
      • 測定例
      • 課題
    3. 準大気圧X線光電子分光法 (APXPS)
      • 実験装置 (SPECS社、SCIENTA社)
      • 測定例
      • 課題
    4. オージェ電子分光法 (AES) 、X線発光分光法 (XES) との競合
      • 局所分析
      • マッピング
    • 質疑応答

講師

  • 高桑 雄二
    東北大学 マイクロシステム融合研究開発センター
    教授

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 30,900円 (税別) / 33,990円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,750円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 30,900円(税別) / 33,990円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 74,250円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • セミナー資料は、PDFファイルをダウンロードいただきます。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。
本セミナーは終了いたしました。