第1部. 新しいアパタイト (TMA) による再生人工骨について

(2016年7月27日 11:00〜12:30)

　本講演では、チタン・メディカル・アパタイト (TMA) という新しいアパタイトを紹介し、その真空焼結体の組成および、人工骨としての機械的性質、切削加工性、生体親和性などについて述べ、さらにβ-TCPとの混合真空焼結体の人工骨としての展望を述べる。なお「TMA焼結体」は米国など数カ国で物質特許を取得した。

1. 研究の背景と目的
   • 既存の人工骨や骨補填材の長所と短所
2. チタン・メディカル・アパタイト (TMA) とは?
   • TMAの化学式やX線回折結果など
3. TMA焼結体の組成
   • 焼結温度による組成変化
   1. SEM画像など
4. TMA焼結体の各種機械的特性
   • ビッカース硬さ
   • 圧縮強さ
   • 曲げ強さ
   • 摩耗試験結果など
5. TMA真空焼結体の生体適合性
   • マウスやラットを使ったIn vivo tests:毒性試験や埋植試験
   • 擬似体液によるin vitro tests
6. TMA真空焼結体の切削加工性
   • CAD,CAMによる切削方法と切削加工例
7. TMA+β-TCPの混合真空焼結体
   • 焼結温度による組成変化,SEM画像
   • 焼結体の気孔率,ビッカース硬さ,圧縮強さ,曲げ強さ
8. TMA真空焼結体を使用した新たな研究
   • TMA真空焼結体による新しいCT検査用骨基準片の開発
• 質疑応答

第2部. 臨床医が考える人工骨の耐久性向上技術

(2016年7月27日 13:10〜14:10)

臨床現場での人工骨のニーズと不便と感じる改良点について、日々の業務から見直す。また、これから現場で求められる人工骨のニーズを話し、これからの開発・改良に関するヒントついて考える。

第3部. 再生医療に適した人工骨の機械強度・多孔性・細胞親和性の向上技術

(2016年7月27日 14:20〜15:50)

「骨補填材としての人工骨」から「骨再生細胞足場材としての人工骨」への技術展開について紹介する。すなわち、①高い気孔率をもった多孔質人工骨の高強度化技術、②血管侵入性を向上するための人工骨・気孔形態制御法、③高い細胞活性と優れた生体吸収性をもった複合体自己組織化、さらに④今後の高齢者医療と小児形成外科に向けた骨再生足場・高強度素材技術について述べたい。

1. 多孔質人工骨の高気孔率化・高強度化技術
   1. 泡技術による高強度多孔質セラミックスの製造
   2. 「骨再生を補助する」骨補填材の臨床応用
2. 血管・組織侵入が速い一次元配向性多孔体の開発
   1. 霜柱技術を用いた気孔配向性制御と血液濡れ性の向上
   2. 組織侵入性の速い生物学的特性と臨床応用
3. アパタイトとコラーゲンの自己組織化現象と新規人工骨の実現
   1. 骨芽細胞の働きを試験管の中で再現する複合化技術
   2. 「骨再生を促進する」人工骨のリモデリングと臨床応用
4. 今後の小児形成外科と高齢者骨疾患治療に向けた技術開発
   1. 「骨再生を活性化する」細胞足場材料の開発に役立つうろこコラーゲン
   2. 新規コラーゲンの物性と生物学的特性および超高強度化技術への展開
• 質疑応答

第4部. 骨肉腫切除後の骨再建の現状と問題点

(2016年7月27日 16:00〜17:30)

　骨肉腫は若年者に発生することが多い骨から発生する悪性腫瘍である。現在では90%以上の患者に患肢温存手術が行われる。手術は罹患骨を大きく切除し、骨の再建には人工関節や凍結処理した骨が使用されることが多いが様々な問題があり、10年以上耐久できない場合も多い。本邦での骨再建の現状と問題・について述べる。

1. 骨肉腫を代表とする悪性骨腫瘍の概要
   1. 疫学
   2. スタンダードな治療
   3. 治療成績
2. 悪性骨腫瘍の再建手術に期待される条件
   1. 耐久性
   2. 骨親和性
   3. 感染に対して抵抗力があること
3. 現在行われている再建の特徴と問題
   1. 処理骨
   2. mega-prosthesis
   3. 切断と義足
4. 今後期待されること
   1. 骨補填材料
   2. 人工関節