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1,3-PDOを原料とするポリウレタン新技術の展開

1,3-PDOを原料とするポリウレタン新技術の展開

概要

本書は、1,3-プロパンジオール (PDO) 骨格を有する革新的な新規ポリウレタンの可能性を、基礎と応用面から徹底分析し、まとめた一冊です。

ご案内

 1,3-プロパンジオール (1,3-PDO) はエチレングリコールや1,4-ブタンジオール (1,4-BDO) に比べて、これまで経済的な合成方法が開発されず、一部のファインケミカル向けに少量生産されていたが、その価格も高価であった。このため、 1,3-プロパンジオールを直接用いたり、 1,3-PDO骨格を導入したポリエステルやポリウレタンの特異的な物性はごく一部の研究者の学術的興味にとどまり、実用化は見送られてきた。
 しかし、このところにきてDegussaやShellにより、アクロレインやエチレンオキサイドを原料とする経済的な合成法が開発・工業化された。また、Du Pontは澱粉を原料とする遺伝子変換を駆使したバイオ法による開発を急いでいる。生産された1,3-プロパンジオールは既にテレフタル酸とのポリエステル、ポリ(トリメチレンテレフタレート:PTT) として、Du PontやShellにより工業化され、久しぶりの新規大型ポリマーとして開花しつつある。
 この1,3-PDOやPTTの製造の経済性や応用面の開発については、弊社がマルチクライアント調査プロジェクト「1,3-PDO,PTTの製造,用途および経済性」を実施,全世界の特許、文献を収集し総合的な分析を行い、2000年8月、600ページを越える調査報告書を完成、ご参加いただいたクライアントの皆様より高い評価をいただいた。
 1,3-PDO骨格を導入したポリマーとして、ポリウレタンもポリエステルと同様にそのポリマー構造の特異性から、特異な物性を有し、 1,3-PDOの価格が既に1,4-BDO並みとなっていることもあって、まず、ポリウレタンの架橋剤、鎖延長剤をはじめとする 1,3-PDO骨格の導入による試みが工業的に始まっている。これらはこれまでのポリウレタンの物理的、機械的物性と異なる画期的改善がみられ、応用の各分野で特許の出願ラッシュが始まろうとしている。
 またその成果は、 ポリウレタンエラストマー、接着剤、塗料、印刷インキ、フォーム、RIM、弾性繊維、合成皮革の分野で応用が進みつつあり、これを利用した自動車、電子・電気産業、建築・建材・家具産業、繊維産業、スポーツ用品に大きな影響を与えようとしている。
 本プロジェクトでは1,3-PDO骨格を導入したポリウレタンについて最新の情報に基づきその構造、物性および応用面と潜在市場について分析する。併せて全世界の特許抄録を会社別、部門別に収録した。
 本プロジェクトは化学技術分析の第一人者が執筆しており、その成果はポリウレタン工業に関連する各分野、ユーザーの方々に必ずお役に立てるものと確信し、ご案内申し上げます。

本プロジェクトの特徴と調査方法

本プロジェクトの調査方法

 1,3-プロパンジオール製造の経済性と将来の見通しに触れ、さらにポリウレタンに1,3-プロパンジオール骨格を導入するための種々の薬品の従来の合成方法と新しい合成方法に置換の可能性とコストの低下への期待について調査を進めた。
 1,3-プロパンジオール骨格を導入したポリウレタンのポリマー構造とモルフォロジーに基づく特異な物性発現の基礎理論について学術的に解説した。
 前記の基礎理論をベースに応用面の展開について具体的なレシピーに踏み込んだ応用面の調査と可能性ある下記の潜在市場について、世界の文献、特許 (1,3-PDO 骨格を有するジオールをベースとしたポリウレタンに限定し検索した結果174件) を網羅して調査し、工業的応用、市場規模の現状についての調査とを合わせて実施した。

1,3-PDO骨格を導入したポリウレタンの潜在市場
  1. ポリウレタンRIM,LDRIM
  2. 熱可塑性エラストマー
  3. 接着剤
  4. 塗料
  5. 水性分散液
  6. 印刷インキ
  7. 電子・電気材料
  8. 合成皮革
  9. 光学材料
  10. 発泡製品
  11. 制振材料
  12. 繊維
  13. 医療
  14. 自動車部品
1,3-PDO骨格を導入したポリウレタンの想定される特徴

 ポリウレタンの場合、使用するイソシアネート、ポリオールおよび架橋剤、鎖延長剤、その他の薬品の種類が多く、レシピー、配合方法の影響もあり、複雑で一概に論ぜられないが、 1,3-プロパンジオールを鎖延長剤として、 1,4-ブタンジオール (1,4-BDO) の代わり使用した場合の比較の一例として、ホットメルト接着剤の場合、その機械的強度は引っ張り強度で約2倍、100%での引っ張り応力が1.8倍、伸びが1.15倍となる。また、RIMの場合、引っ張り強度はほぼ同じであるが、降伏点伸びで1.3倍、100%、300%引っ張り応力はそれぞれ0.92~2.8倍、0.74~1.0倍であるが、ヤング率で1.25から1.27倍、曲げ弾性率は1.4から1.9倍を示している。
 2,3-ジアルキル1,3-プロパンジオールではこれらのほか、耐熱性、耐加水分解性、相溶性に優れた効果が期待できる。その他、多くの優れた特徴があり、ポリウレタンの世界を大きく変える可能性を秘めている。

目次

第1章 序 論 (12ページ)

第2章 1,3-プロパンジオール骨格を持つ化合物 (72ページ)

  • 1. 1,3-プロパンジオールの物理的・化学的性質と規格
  • 2. 1,3-プロパンジオールの製法別の経済性
  • 3. 1,3-プロパンジオール骨格を持つ他の化合物の合成
    • 3.1 1,3-プロパンジオール-ビス-p-アミノ安息香酸エステル
    • 3.2 2-メチル-1,3-プロパンジオールビス-p-アミノ安息香酸エステル
    • 3.3 2-メチル-1,3-プロパンジオール
      • 2-メチル-1,3-プロパンジオール合成関連特許表
      • 2-メチル-1,3-プロパンジオールの合成と用途文献
      • 2-メチル-1,3-プロパンジオール (Lyondell社資料)
    • 3.4 2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール
    • 3.5 2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール
    • 3.6 2-ペンチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール
    • 3.7 2-ヘキシル-2-メチル-1,3-プロパンジオール

第3章 新しいポリウレタンの構造と物性 (91ページ)

  • 1. 1,3-プロパンジオール骨格のポリウレタンヘの導入方法と化学
  • 2. 1,3-プロパンジオール骨格を導入したポリウレタンのポリマー構造とモルフォロジー
    • ポリカプロラクトンベースポリウレタン短鎖ジオールの鎖延長剤の効果
    • ポリウレタンエラストマーにおける鎖延長剤ジオールの奇偶効果
    • ポリウレタンの動的の機械的挙動に対する鎖延長剤の構造の影響
      • 直鎖鎖延長剤で伸長されたポリウレタン
      • 分岐ジオール鎖延長剤により鎖延長されたポリウレタン
      • 環状鎖延長剤により鎖延長されたポリウレタン
  • 3. 1,3-プロパンジオール骨格を導入したポリウレタン前駆物質
    • 1,3-プロパンジオールよりのポリエステルポリオールの前駆物質
    • 2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール含有のポリエステルポリオールの前駆物質
    • 2-ブチル-n-ヘキシル-1,3-プロパンジオールよりのポリエステルポリオール経由ポリウレタン樹脂
    • ポリエステルポリオール合成反応速度改善
    • イソシアネートとの反応性に優れたポリエステルポリオール
    • ポリカーボネートポリオール
  • 4. 1,3-プロパンジオール骨格を導入した架橋剤の利用
    • 4.1 2-メチル-1,3-プロパンジオールビス-p-アミノ安息香酸エステルのポリウレタン鎖延長剤および架橋剤としての性能
    • 4.2 2-メチル-1,3-プロパンジオールビス-p-アミノ安息香酸エステルのポリウレタン鎖延長剤および架橋剤としての利用
  • 5. 1,3-プロパンジオール関連ポリウレタンに関する特許

第4章 新しいポリウレタンの応用面と潜在的市場 (141ページ)

  • 1. ポリウレタン熱可塑性エラストマーとしての応用
  • 2. ポリウレタンホットメルトへの応用
  • 3. ポリウレタンRIMおよびLDRIMへの応用
  • 4. ポリウレタン接着剤への応用
  • 5. 電子材料への応用
    • 5.1 フレキシブル印刷配線板
    • 5.2 磁気記録媒体
  • 6. 合成皮革への応用
  • 7. 光学材料への応用
  • 8. 印刷インキへの応用
  • 9. 制振材への応用
  • 10. 分散液への応用
  • 11. ポリウレタンエラストマーにおける鎖延長剤の効果比較
    • 熱可塑性ポリウレタンエラストマーの有効な構造パラメーターの研究
    • キャスタブルポリウレタンの性質に対する鎖延長物質の構造の影響
  • 12. 塗料への応用
  • 13. 自動車への応用
  • 14. 繊維への応用

第5章 特許状況 (232ページ)

  • 1. 全世界の特許出願状況
  • 2. 会社別特許出願内容とその抄録
    • 2.1 チッソ
    • 2.2 大日本インキ化学
    • 2.3 日本ポリウレタン
    • 2.4 荒川化学工業
    • 2.5 Bayer/Mobay
    • 2.6 BASF
    • 2.7 ARCO
    • 2.8 TYNDALAE PLAINS HUNTER
    • 2.9 AIR PROD & CHEM
    • 2.10 ICI
    • 2.11 Eastman
    • 2.12 GE
    • 2.13 Dow
    • 2.14 3M
    • 2.15 三菱化学
    • 2.16 三井化学
    • 2.17 ダイセル化学工業
    • 2.18 クラレ
    • 2.19 旭化成工業
    • 2.20 東洋紡績
    • 2.21 東レ/東レ・デュポン
    • 2.22 協和発酵
    • 2.23 その他の会社
  • 3. 応用部門別特許出願状況
    • 3.1 ポリウレタン製造法関連
    • 3.2 ポリウレタン組成物関連
    • 3.3 ポリウレタン前駆物質関連
    • 3.4 ジオール製法関連
    • 3.5 ポリウレタンエラストマー関連
    • 3.6 接着剤関連
    • 3.7 塗料関連
    • 3.8 水性分散液関連
    • 3.9 印刷インキ関連
    • 3.10 電子・電気材料関連
    • 3.11 合成皮革関連
    • 3.12 光学材料関連
    • 3.13 発泡製品関連
    • 3.14 制振材関連
    • 3.15 繊維関連
    • 3.16 医療用具関連
    • 3.17 自動車部品関連
    • 3.18 廃棄物処理/リサイクル

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お問い合わせ

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体裁・ページ数

A4判 並製本 548ページ

発行年月

2001年3月

販売元

tech-seminar.jp

価格

400,000円 (税別) / 440,000円 (税込)