第1部. 樹脂、ゴム、金属へのグラフェンの高水準の分散技術

～どんな装置を用いて、どのような分散方式を採用すれば最高な品質が得られるか～

(2018年3月28日 10:00〜12:00)

　各社各様にグラフェンの応用を図っているが、マトリックス材料に、最良な分散を図る方法で悩んでいる。グラフェン出現から10年ほどを使ってトライしてきた分散技術がようやく整理でき、最良な分散に対する方向性が見えてきた。グラフェンが安価に製造できるようになったこともその要因である。その詳細を説明する。特に強度補強目的と電気、熱伝導性向上目的は、分散方法に大きな違いがある。また、樹脂、ゴム、金属への分散は違う手法が最適である。GO,各種製法のrGOなど、原料も複雑で、これらの各要因の関係を明確にして、研究に取り組むことが重要である。
　グラフェン分散に関する、分野全体の技術的な流れが把握できる。もちろん技術はさらに良い方法が徐々に実用化されていく積み重ねであるが、本セミナーでは現状技術の最先端に立てる。グラフェン分散に関わる世界の研究者が何を考え推進しているかを知ることは、セミナーに参加する研究者各々の進むべき方向性の指針を与えてくれる。先んじて知識を得ることは大きな利益につながる。

1. グラフェンの製造
   • RGO欠陥部分の補修技術
   • グラファイトからグラフェンを直接得る方法
2. グラフェンの特異な現象
   • 凝集 (Agglomeration) 現象:AggP
   • パーコレーション (Percolation) 現象:PerS
3. グラフェンナノ分散体の製造方法
   1. In – Situ Polymerization法
      1. 反応触媒別添方式
      2. グラフェンに触媒を事前反応する方式
      3. 重合還元分散方式
   2. Solution Blend法
      1. 溶液分散方式 (最良な強度向上実現)
      2. 溶液還元分散法式 (最良な電気伝導性実現)
   3. Melt Blend法
      1. グラフェン事前分散物供給方法
      2. S3M方法
      3. Slurry Dispersion方法 (橋爪)
   4. Latex Technology
4. マスターバッチの製造 (3項の内容に凝集性を加味する必要)
5. 分散方法の違いと分散水準
6. グラフェンと高分子の化学結合
   • Bound Rubber/Polymer理論
7. グラフェン高濃度下の再凝集現象
   • せん断特性
8. Percolation特性と電気伝導性
9. GO,RGOおよびコンパウンドの熱伝導性
10. 特殊な製品に応用
    1. 高度な電気伝導性の付与
    2. バッテリー、大容量キャパシティーへの応用
• 質疑応答

第2部. グラフェンの紹介と応用技術、製品

(2018年3月28日 12:45〜17:00)

※英語での講演です。通訳が付きます。

　グラフェンは現時点で最高の夢の物質です。ここ十数年、オハイオ州立大学の教授が開発に取り組み、傘下からノーベル賞学者を生み出しました。ベンチャー企業 (AM社:Angstron Materials Inc.) を立ち上げ、今や世界最大のグラフェン製造企業に成長しました。したがって、世界的な各企業がグラフェン応用に関して、AM社と共同で製品開発に取り組み、多くの実績を上げてきました。本日は、現在のAM社の応用開発の中心人物である、Lin博士 (VIP) にお願いして、特にグラフェンの応用技術、応用分野、市場性に関する詳細を世界視野にわたって紹介していただきます。
　日本におけるグラフェンの応用は十分とはいいがたい。既に年産1000トンを誇る世界最大の生産会社のAngstron Materials社では、世界中の製品応用会社との対応で、最先端技術を構築し、最先端製品を実用化している。これらの紹介をお願いしている。

1. Angstron Materials (AM) 社の紹介
   1. 世界最大のドキュメンタリー放送で紹介されたAM社
   2. グラフェンとは何か、グラフェンの特徴
   3. AM社が供給するグラフェンの特徴
   4. AM社を取り巻く世界市場
   5. グラフェンおよび応用技術、製品に関するAM社の所有する特許
   6. AM社の中核Grobal Graphene Group (G3) 社の他社と比較した優位性
   7. AM社の技術および製品のこれまでの歩み
2. 熱伝導性、導電性応用領域におけるグラフェン
   1. 金属材料の熱伝導性とグラフェンの熱伝導性の比較
   2. 潜在的な応用分野
   3. スマートフォンへの熱伝導フィルムの応用
   4. LED
   5. LCD/LED TV
   6. プロジェクター
   7. カメラ
   8. 電話機
   9. コンピューター
   10. 熱伝導中間物質, 熱伝導ペースト
   11. グラフェン/シリコンの柔軟パッド
   12. グラフェンを用いた熱伝導、導電性プラスチックコンパウンド
   13. 導電性の大きなグラフェン/ナイロン繊維
3. 透明電気伝導性フィルム (TCF) 分野
   1. 透明電気伝導性フィルムへの応用
   2. 大面積フィルムのカレンダーによる製造
   3. なぜITOフィルムに置き換えできるか,その技術
   4. 銅メッシュ、銀ナノ繊維、グラフェン、SWCNTによるTCFおよびITOフィルムの性能比較
   5. グラフェンベースのプリントインク
   6. 指によるプリントセンサー
   7. グラフェンベースの導体回路/RFID
4. 塗膜および塗布分野
   1. 耐腐食ペースト
   2. 耐保護塗布剤
   3. 全耐腐食,塗布剤の市場性
   4. G3製のグラフェンを改質した市販の潤滑剤
   5. 潤滑剤が必要な工業
5. 高強度化分野
   1. グラフェン/高分子コンパウンド
   2. 高分子材料中へのグラフェンの分散
   3. グラフェン分散に関わる主な課題
   4. グラフェンとエポキシの分散に関わる改質技術
   5. グラフェン/ゴム材料コンパウンド
   6. グラフェンで補強されたセメント、コンクリート
6. エネルギーその他の分野
   1. リチウムイオン電池用負極材料
   2. 濾過膜
   3. ガスセンサー
   4. 生化学応用
   5. 自動車応用
   6. 航空機応用
7. すでに商品化されているグラフェン応用製品
   1. マーケット規模
   2. グラフェンを応用した飛行機
   3. グラフェン濾過膜 (海水から飲料水を作成)
   4. グラフェンを用いた smart windows
   5. グラフェン製の釣り竿
   6. グラフェン製テニスラケット
   7. グラフェンタイヤ
   8. グラフェンをベースにしたRFID
   9. グラフェン潤滑剤
   10. グラフェン電池
   11. グラフェンセンサー
• 質疑応答