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燃料電池用触媒の非白金化、低白金化技術

燃料電池用触媒の非白金化、低白金化技術

オンライン 開催

開催日

  • 2022年6月9日(木) 10時15分 16時40分

プログラム

第1部 鉄・カーボン系非白金触媒の研究開発動向と課題

(2022年6月9日 10:15〜11:35)

 固体高分子形燃料電池の本格普及のために、酸素を還元する空気極の非白金化が望まれている。我々の研究グループは、Fe源を含むポリイミド微粒子を熱処理することによって得る、Fe/N/C触媒が酸素の4電子還元に有効であることを見出した。またN/C触媒では酸素の2電子還元が進行し、過酸化水素の合成に有効であることを報告している。さらに最近では、グラフェン中のFeN4構造から着想した十四員環Fe錯体に着目している。これらの研究トピックについて、詳細な反応速度解析も含めて、最近の進捗を紹介する。

  1. ポリイミド微粒子の炭素化による非白金触媒の開発
    1. 背景
    2. ポリイミド微粒子の炭素化による非白金触媒の開発
    3. 磁石による精製と単核Feサイトの観察
    4. 耐久性について
  2. 非白金触媒による酸素還元の反応速度解析
    1. RRDEによる古典的な解析法
    2. 新規開発したRRDE法
    3. 実際の解析事例
  3. 十四員環Fe錯体による酸素還元触媒反応
    1. 十四員環Fe錯体の合成と触媒評価
    2. in-situ放射光分光による安定性の評価
    • 質疑応答

第2部 酸化物担体を用いた固体高分子形燃料電池用高耐久・高活性触媒の開発と評価

(2022年6月9日 12:20〜13:40)

 カーボンニュートラル・エネルギー政策の観点から、電動車両 (移動体) の開発はlight-duty vehicles (LHV) からheavy-duty vehicles (HDV) まで全方位的に取り組まれており、小型・高出力の特徴をもつ固体高分子形燃料電池 (PEFC) への期待は大きい。その実現には電極触媒の耐久性や活性の更なる向上が重要である。
 酸化物担体を用いたPt系触媒は高活性と高耐久性を兼ね備え、PEFCの広範囲な応用へ向けて注目されている。本講座では現在の技術動向を踏まえつつ、その酸化物担体の開発指針・性能を説明する。

  1. 固体高分子形燃料電池及び電極触媒について
    1. 固体高分子形燃料電池とは
    2. 燃料電池の開発動向 (概説)
    3. 電極触媒の構造と性能
    4. 電極触媒の開発動向
  2. 酸化物担体を用いた電極触媒について
    1. 酸化物担体について
    2. Pt・合金の担持について
    3. 触媒活性
    4. セル性能
    5. 耐久性
  3. 今後について
    • 質疑応答

第3部 アザフタロシアニン系材料を用いた非白金触媒の開発と高活性化

(2022年6月9日 13:50〜15:10)

 燃料電池や金属空気電池の正極反応である酸素還元反応 (Oxygen Reduction Reaction, ORR) はこれらの電池の性能を左右する大きな要因の一つである。我々はアザフタロシアニン誘導体を分子レベルで担持したAZUL (Azaphthalocyanine Unimolecular Layer) 触媒は白金炭素に匹敵する性能を示すORR性能を示した。
 本講演では、本触媒の特徴と実用化について紹介する。また、ごく最近廃棄バイオマスの焼成により作製した「ナノ血炭」触媒が、ORRだけで無く、酸素発生反応 (Oxygen Evolution Reaction, OER) 触媒としての性能があることを見出した。本件についても併せて紹介する。

  1. 研究の背景
    1. 非白金系触媒
    2. フタロシアニン系触媒
  2. アザフタロシアニン系触媒発見の経緯
    1. フタロシアニンナノ結晶の合成
    2. ポリドーパミン焼成電極
    3. アザフタロシアニン系触媒の発見
  3. アザフタロシアニン触媒の特徴
    1. アザフタロシアニン系触媒の作製
    2. アザフタロシアニン系触媒の性能
    3. アザフタロシアニン系触媒の特徴
  4. アザフタロシアニン系触媒の実用化
    1. AZUL Energy 株式会社 の立ち上げ
    2. アザフタロシアニンの実用化に向けて
  5. 廃棄物バイオマスを用いた触媒の合成
    1. 背景
    2. ナノ血炭の合成
    3. ナノ血炭の特徴
  6. まとめ
    • 質疑応答

第4部 白金ナノクラスターを用いた燃料電池触媒の作製と発電性能の評価

(2022年6月9日 15:20〜16:40)

 数個から千個程度の原子・分子が集合したナノクラスターは、原子・分子より大きく、バルクよりも小さく、そのどちらとも違った性質や機能をもっています。その性質が、原子数や組成、荷電状態によって制御できるため、触媒、電子デバイス、磁気デバイスなどへの応用が期待されています。特に、貴金属元素の触媒では、構成原子のほとんどを表面原子とするナノクラスターによる高活性化とともに、希少貴金属の使用量を低減させる技術が注目されています。
 本研究グループでは、気相法により清浄な白金ナノクラスターを大量合成して、担体として、固体基板や炭素粉体に直接担持することで、白金ナノクラスターの燃料電池触媒を作製しました。原子数を単一にした担持によって触媒単位の精密化し、ハーフセルによる活性評価とX線構造解析から、構造活性相関を明らかにしています。また、白金ナノクラスターの触媒から膜電極接合体を作製し、JARI標準セルに組み込んで燃料電池の発電試験を行いました。これらの結果を紹介しながら、触媒機構に基づいた燃料電池の省白金化に向けた要素技術を議論します。

  1. 金属ナノクラスター
    1. レーザー蒸発法による探索研究
    2. マグネトロンスパッタリング法の高度化
  2. 金属ナノクラスターの担持触媒
    1. ソフトランディング法による基板担持
    2. 粉体、液体への分散と担持
  3. 担持効果と構造活性相関
    1. 担体効果の分子科学
    2. 不均一触媒の均一化
    3. X線吸収分光法による構造評価
    4. 粉体担持白金ナノクラスターの発電性能
    5. 触媒活性機構に立脚した省白金化
    • 質疑応答

講師

  • 難波江 裕太
    東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻
    助教
  • 柿沼 克良
    山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センター セラミック部門
    部門長 教授
  • 藪 浩
    東北大学 材料科学高等研究所 デバイス・システムグループ
    ジュニア主任研究者 (准教授)
  • 中嶋 敦
    慶應義塾大学 理工学部
    教授

主催

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  • 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
  • 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
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