導電性高分子や誘電エラストマーに電圧を印加することにより、高分子材が大きく変形することが発見されて以来、従来の金属性のモーターや無機材料により構成されるアクチュエータに比べ、無音で、かつ、筋肉のように大きく、しなやかに動く高分子アクチュエータが筋肉に代替可能な人工筋肉材料として大きな注目を浴びています。その応用範囲は医療分野からホビーに至るまで非常に幅広く、電圧印加による変形の逆応答を利用すれば、発電も可能であることから、新しい再生可能エネルギー源としても注目されています。
　このような背景の中、我々は、ナノカーボンとイオン液体を高分子中に分散させた電極膜に電圧を印加すると電極膜が伸縮する現象を見出し、この現象を応用して、空中で安定に低電圧で駆動する高分子アクチュエータの研究開発を進めています。

1. 高分子アクチュエータとは?
   1. 電流駆動型高分子アクチュエータ
   2. 電圧駆動型高分子アクチュエータ
2. ナノカーボン高分子アクチュエータの開発
   1. なぜカーボン材なのか?
   2. 様々なカーボン材
   3. アクチュエータの構成と製法
   4. アクチュエータの評価法
3. ナノカーボン高分子アクチュエータの駆動原理
   1. 電極の伸縮
   2. 等価回路解析
   3. 変位の戻り現象
4. ナノカーボン高分子アクチュエータの性能改善
   1. 電解質材料
   2. 電極材料
   3. 電極中の添加物
   4. 耐久性の改善
5. 高分子アクチュエータの応用と課題
   1. 医療関連機器への応用
   2. 触覚デバイスへの応用
   3. 発電デバイスへの応用
   4. ホビーへの応用
6. 課題と展望