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ポリ乳酸の本格的実用化時代の到来

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ポリ乳酸の本格的実用化時代の到来

~生分解性からスマートプラスチックへ~
オンライン 開催

開催日

  • 2022年4月20日(水) 10時00分 17時00分

受講対象者

  • ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • ポリ乳酸に関連する分野のマーケティング担当者、事業企画担当者、経営者

修得知識

  • 地球環境保全と源循環型社会に向けて、SDGsとしてのポリ乳酸
  • ポリ乳酸の生分解機構と分解制御技術、抗菌・防カビ性、高性能化材料設計技術
  • ポリ乳酸の成形加工と最新用途・製品・市場開発動向

プログラム

 持続可能な開発目標 (SDGs) としてのポリ乳酸 (PLA) の急速な市場拡大に伴い、PLAメーカーの世界的な新設・増産計画 (2024年:約50万トン/年) が相次いでいる。なぜ、数多くあるバイオプラスチックの中でPLAが選択されるのか?その背景には、PLAは単なる生分解性プラスチックではなく、既に旧来の石油系汎用プラと同等の性能レベルにあることはもとより、本来ならば相反する特性である生分解性と耐久性の両立、生分解性と抗菌・防カビ性の両立、耐熱性と耐衝撃性の両立などを可能にしている、正しく次世代スマートプラスチックとしての基本的要件を内包していることにある。
 本講では、これらPLAが内包する奇跡のパラドックス構造を解明するために、PLA固有の特異的な生分解機構と分解制御技術、抗菌・防カビ性の発現機序、耐熱性と耐衝撃性の同時向上技術などを詳述すると共に、最新の製品・市場開発動向についても紹介する。

  1. 持続可能な開発目標 (SDGs) としてのポリ乳酸 (PLA)
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
      1. 20世紀の石油を原料とする合成高分子学工業が内包するパラドックス
      2. 海洋プラスチック汚染問題の正しい理解と解決策
      3. 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環 (炭素循環) へのリンク
    2. PLAの基本特性
      1. 原料は枯渇しない植物由来の再生可能資源 (renewable resource)
      2. バイオマス由来で地球温暖化に関与しない (carbon-neutral)
      3. 自然環境 (土壌、海水・淡水) 下での完全生分解性 (biodegradable)
      4. 使用後の再資源化 (bio-recycling)
        1. 好気性発酵による堆肥化可能 (compostable)
        2. 嫌気性メタン発酵による生ごみ発電 (garbage power generation) 可能
          • PLAには資源枯渇問題も、地球温暖化問題も、廃棄物問題も存在しない
    3. PLAレジンメーカー
      1. ニートレジン
        • ネイチャーワークス
        • トタル・コービオン
        • 豊原集団他
      2. コンパウンドレジン (高性能・高機能化PLAレジン)
        • ユニチカ
  2. ポリ乳酸の生分解性と耐久性の制御機構
    1. 分解 (開始・速度) の支配的因子と制御機構
      1. PLAの2段階2様式の特異的な生分解機構: 生分解性と耐久性の両立
        • 第1ステップ: 化学的加水分解 (分子量、強度低下による形状崩壊)
        • 第2ステップ: 1で生成した水溶性乳酸を微生物が資化・代謝 (生分解)
      2. ガラス転移温度Tg:58°C≒生ごみ堆肥化施設温度: 分解開始のトリガー (自動的スイッチオン機構) 内包
    2. PLAの分解速度の制御: 残留ラクチド、COOH末端基濃度と製品寿命
      1. タイプS (残留ラクチド:多) : 分解速度速い/製品寿命短い
      2. タイプM (残留ラクチド:少) : 中程度
      3. タイプL (COOH末端基封鎖) : 分解速度遅い/製品寿命長い
    3. PLAの様々な使用環境下における (非) 分解挙動と応用展開
      1. 生体内: 生体内分解吸収性医用材料 (タイプS)
      2. 自然環境下 (土壌、海水) : 農林・園芸・土木・水産資材 (タイプM)
      3. 室温下・短期使用 (バイオリサイクル/堆肥化またはバイオガス化) : 使い捨て容器・包装資材、生活・衛生・雑貨 (タイプM)
      4. 室温下・長期使用 (マテリアルリサイクル) : リターナブル食器、電気・電子機器筐体・ 部品、産業資材、自動車内装材 (タイプL)
      5. 高温高湿下・長期使用 (自動食器洗い機) : リターナブル食器 (タイプL)
  3. ポリ乳酸の生分解性と抗菌・防カビ性の両立/同時発現機構
    1. ネズミ食害試験
    2. プラスチックのカビ抵抗性試験: JIS Z-2911
    3. 生鮮イチゴ収納容器のカビ抵抗性試験
    4. 繊維の抗菌・防カビ性試験: 繊維製品新機能評価協議会・抗菌防臭加工基準
    5. ポリ乳酸の生分解性と抗菌・防カビ性の発現機構
    6. 消費者から届けられた声
      1. ボディタオル: 長期間使用しても従来品のように嫌な臭いや着色がなく清潔
      2. 台所洗い場の水切りネット: 長期間使用してもヌメリ (バイオフィルム) 形成による目詰まりがない
  4. ポリ乳酸の高性能化材料設計技術 … 既存石油系汎用プラと同等以上
    1. 成形加工性
    2. 耐熱性: 荷重たわみ温度 (DTUL) 、熱変形温度 (HDT) 又は熱収縮率
      1. 結晶性高分子の耐熱性支配因子: 成形加工工程での結晶化速度
        • 主剤: 高L組成ポリ乳酸 (High %L PLA)
        • 添加剤: 造核剤 (分散型、溶解型) 、結晶化促進剤、マルチ機能改質剤
      2. 結晶化促進剤の成形加工分野別選択指針: 溶融張力との関係
      3. 耐熱性、透明耐熱性の現状到達レベル
        • 電気・電子機器筐体、部品: 150 °C/低荷重下 (0.45MPa)
        • 食品容器: 120~130°C x 5分/電子レンジ加熱
        • ティバッグ、飲用カップ: 5~100°C/熱湯注入
        • 透明耐熱性 (ヘイズ<5%) : 130°C
    3. 耐衝撃性
      1. 添加剤の選択・配合設計と作用機序
      2. 耐衝撃性の現状到達レベル
        • 電気・電子機器筐体、部品: 9.6 kJ/cm2 (シャルピー衝撃強度)
        • シート成形品: 落球法 (100gの重りを50cmの高さから)
    4. 耐熱性と耐衝撃性の同時付与: マルチ機能改質剤とその発現機構
    5. 寸法安定性
      1. フィルムや繊維・不織布の後加工段階での熱収縮率低減
      2. 射出成形品などの室温放置下、二次結晶化による経時劣化 (収縮、そり) 低減
  5. ポリ乳酸の成形加工と製品・市場開発動向
    1. 成形加工分野:
      • 繊維・不織布・モノフィラメント
      • フィルム・シート
      • 真空成形
      • 射出成形
      • 発泡成形 (押出発泡
      • ビーズ発泡)
      • ブロー成形
    2. 用途・製品・市場開発動向<多数の製品写真で説明>
      1. 自然環境下で使用する農林・園芸・土木・水産資材
      2. 短期間 (~1年) 使用の使い捨て食品容器・包装材、食器具、生活・衛生資材
      3. 中期間 (3~5年) 使用の衣料、生活雑貨、産業資材
      4. 長期間 (5~10年以上) 使用の電気・電子機器筐体・部品、リターナブル食器、自動車内装部品、産業資材
    • 質疑応答

講師

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