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生分解性プラスチックの高性能・高機能化 最先端技術講座

生分解性プラスチックの高性能・高機能化 最先端技術講座

~分解制御と耐久性、耐熱性・耐衝撃性・抗菌・防カビ性向上, etc.~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは、生分解性プラスチックに関わる法規制や業界動向といった生分解性プラスチックを取り巻く現状から、分解制御で重要となる分解開始・分解速度因子の比較整理やPLAの特異的な分解制御機構、更には生分解性素材では弱点とされがちな食害やカビ問題について解説いたします。

開催日

  • 2021年10月29日(金) 10時00分 17時00分

受講対象者

  • バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する分野のマーケティング担当者、事業企画担当者、経営者

修得知識

  • 地球環境保全・資源循環型社会に向けて、SDGsとしての生分解性プラスチック
  • 生分解性プラスチックの分解制御と高性能・高機能化材料設計技術
  • 生分解性プラスチックの成形加工と製品・市場開発動向

プログラム

 海洋プラスチック汚染問題に代表される地球環境・資源・廃棄物問題が顕在化した今日、持続可能な開発目標 (SDGs) としての植物由来生分解性プラスチックへの関心が本格化している。とりわけ、その中核素材としてのポリ乳酸 (PLA) 生産設備の新設・増産計画が世界的に目白押しである。
 本講では、既存の石油系プラスチックや繊維・不織布を代替えする上で必須の要件である生分解性プラスチックの分解速度制御技術や高性能・高機能化技術の最前線を踏査する。1980年代の後半より今日までの約35年間、産学両分野でPLAを中心とする生分解性プラスチックの基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆け成し遂げた講師による渾身のセミナーである。

  1. 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
      1. 海洋プラスチック汚染問題の正しい理解と生分解性プラスチックの役割
        • 海洋プラスチック濃度の経年変化 (累積増加) 曲線
        • 海洋汚染問題に対する短期的視点と長期的 (グローバルな) 視点
        • 海水中のマイクロチップ (流木、草本類) は太古の昔より存在した!
        • 自然生態系が許容し得る海水中の生分解速度…ポジティブ・コントロールは?
      2. 地球上に生命が誕生して38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
      3. 自然界が有する真のリサイクルシステムである炭素循環へのリンク
    2. 生分解性プラスチックの識別表示と環境負荷低減効果
      1. 日本バイオプラスチック協会 (JBPA) 識別表示制度
      2. カーボン・フットプリント…LCAによる環境負荷の客観的・定量的評価
    3. 生分解性プラスチックの分類、基本特性と応用展開
      1. 硬質タイプ…ポリ乳酸 (PLA) :Tg/Tm=58℃/175℃
      2. 軟質タイプ
        1. ポリブチレンアジペート・テレフタレート (PBAT) :Tg/Tm= – 35℃/115℃
        2. ポリブチレンサクシネート (PBS, PBSA) :Tg/Tm= – 47~ – 35℃/84~115℃
      3. その他…微生物産生ポリエステル (PHBV, PHBH) 、デンプン系
    4. 世界の法規制と業界動向
      1. 欧米グリーンガイド指針
        …ポイ捨てを助長するbiodegradable表示は禁止、再資源化手法としてのCompostable (堆肥化可能) 表示を!
      2. 世界の法規制動向…欧州ではごみ袋やレジ袋、使い捨ては生分解性が主流に!
      3. 業界動向…世界ラーメンサミット大阪宣言にてラーメン容器を生分解性に!
  2. 生分解性プラスチックの高性能・高機能化技術の進展
    1. 耐熱性…荷重たわみ温度 (DTUL) 、熱変形温度 (HDT) 又は熱収縮率
      1. 結晶性高分子の耐熱性支配因子…成形加工工程での結晶化速度
        • 主剤…高L組成ポリ乳酸 (High %L PLA)
        • 添加剤…造核剤、結晶化促進剤、マルチ機能改質剤
        • 透明耐熱性…溶解型造核剤
      2. 耐熱性、透明耐熱性の現状到達レベル
        • 電気・電子機器筐体、部品…150 ℃/低荷重下 (0.45MPa)
        • 食品容器…120~130℃ x 5分/電子レンジ加熱
        • ティバッグ、飲用カップ…5~100℃/熱湯注入
        • 透明耐熱性 (ヘイズ<5%) …130℃
    2. 耐衝撃性
      1. 添加剤の配合設計と作用機序
        • タイプA
          • 具体例: 可塑剤
          • 相溶性: 優
          • TgやTmへの影響: 低下
        • タイプB
          • 具体例: ブロック共重合体、高分子界面活性剤
          • 相溶性: 良
          • TgやTmへの影響: なし
      2. 耐衝撃性の現状到達レベル
        • 電気・電子機器筐体、部品…9.6 kJ/cm2 (シャルピー衝撃強度)
        • シート成形品…落球法 (100gの重りを50㎝の高さから)
      3. 耐熱性と耐衝撃性の同時改良添加剤とその発現機構
    3. 生分解性と耐久性…分解速度の制御と製品寿命の確保
      1. 生分解機構の分類 (分解の初期から中期にかけて)
        • 酵素分解型
          • 具体例 微生物産生ポリエステル
          • 表面形状 凹凸
          • 重量減少 あり
          • 分子量低下 なし
          • 分解サイト 表面
          • 分解様式 塊状分解 (bulk degradation), 全体的に壊れて行く
        • 非酵素分解 (加水分解) 型
          • 具体例 ポリ乳酸 (PLA)
          • 表面形状 平滑
          • 重量減少 なし
          • 分子量低下 あり
          • 分解サイト 表面~内部
          • 分解様式 表面分解 (surface erosion), 表面から溶かされて行く
      2. 分解開始・速度の支配的因子と制御機構
        1. PLAの2段階2様式の特異的な生分解機構…生分解性と耐久性の両立
          • 第一ステップ…化学的加水分解 (分子量、強度低下による形状崩壊)
          • 第二ステップ…①で生成した水溶性乳酸を微生物が資化・代謝 (生分解)
        2. ガラス転移温度Tg:58℃≒生ごみ堆肥化施設温度…分解開始のトリガー (自動的スイッチオン機構) 内包
      3. PLAの分解速度の制御…残留ラクチドとCOOH末端基濃度と製品寿命
        1. タイプS (残留ラクチド:多) …分解速度速い/製品寿命短い
        2. タイプM (残留ラクチド:少) …中程度
        3. タイプL (COOH末端基封鎖) …分解速度遅い/製品寿命長い
      4. PLAの様々な環境下における (非) 分解挙動と応用展開
        1. 生体内…生体内分解吸収性医用材料 (タイプS)
        2. 自然環境下 (土壌、海水)
          • 農林・園芸・土木・水産資材 (タイプM)
        3. 再資源化/バイオリサイクル (堆肥化またはバイオガス化)
          • 使い捨て容器・包装資材
          • 生活・衛生・雑貨 (タイプM)
        4. 高温・高湿下 (自動食器洗い機) …リターナブル食器 (タイプL)
        5. 再資源化/マテリアルリサイクル
          • リターナブル食器
          • 電気・電子機器筐体・部品
          • 産業資材
          • 自動車内装材 (タイプL)
    4. 抗菌・防カビ性…概念的に生分解性と相対立する機能を有する奇跡の素材とは?
      1. ネズミ食害試験
      2. プラスチックのカビ抵抗性試験 … JIS Z-2911
      3. 生鮮イチゴ収納容器のカビ抵抗性試験
      4. 繊維の抗菌・防カビ性試験…繊維製品新機能評価協議会・抗菌防臭加工基準
      5. ポリ乳酸の抗菌・防カビ性発現機構
      6. 消費者から届けられた声
    • 質疑応答

講師

主催

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お問い合わせ

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(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 30,400円 (税別) / 33,440円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,750円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 30,400円(税別) / 33,440円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 74,250円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
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  • 他の割引は併用できません。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
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  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • セミナー資料は郵送にて前日までにお送りいたします。
  • 開催まで4営業日を過ぎたお申込みの場合、セミナー資料の到着が、開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。
    ライブ配信の画面上でスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。
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本セミナーは終了いたしました。

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