技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

リチウムイオン電池の発火、爆発事故の傾向と対策

リチウムイオン電池の発火、爆発事故の傾向と対策

東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2017年2月6日(月) 13時00分 16時45分
  • 2017年2月7日(火) 10時00分 16時00分

プログラム

第1部 ~火災・事故事例に学ぶ~ リチウムイオン電池における発火、爆発などの事故原因解析と品質管理、安全対策技術の実際

(2017年2月6日 13:00~15:00)

 海外の電池事故は、特に国策で電池開発に取り組んでいる中国などでは検閲対象となっており、一般報道されることは少 なく、電池開発を国家プロジェクトにしている国における電池に関わる火災や事故報道などは、情報が外部に出ない、出ても 直ぐに削除されることが多い。
 工場、自動車、輸送など、日本国内の普通の調べ方では見ることのできない電池に関する事故情報を、国際的な保健組合 のアドバイザーである講師の情報ストックから解説。
 事故原因の分析と、材料メーカーや製造装置メーカーとしての技術改善 および (責任範囲や補償などを含めた) 事故リスク対応の指針となる講座を目指します。

  1. ここ最近発生しているリチウムイオン電池の膨張、発火、爆発の事例と傾向の分析
    1. 電池火災事故の過去に学ぶ
      1. Ni – mH電池の火災事故例
      2. 火災の原因と対策
    2. 日本、韓国、中国でのLiB電池製造工場の火災、爆発例
      1. S社、P社の火災例
    3. 各種LiB電池の過去の火災事故例
      1. 中国でのバス、自動車の発火例
      2. 米国、A123社の2007年、2011年の火災例
      3. 韓国LiB電池の火災例
        (空輸の事故、LG化学のGM社での火災事故)
    4. 日本Sony社のI – Phoneでの火災事故
    5. ロシアでのLiB電池事故例
    6. 米国:Tesler Motor社でのLiB電池の無事故例
      (安全設計された電池と回路では、燃えない)
  2. 膨張、発火、爆発が発生する原因の分類
    1. 過去に学ぶ:Ni – mH電池の火災と安全対策の現状
    2. 材料品質、製造、梱包、荷役、陸送、海送運搬での留意点
      1. 包装、梱包、荷役、陸送、海送での安全規格
      2. 包装、梱包、荷役、陸送、海送の各種国際規格
    3. LiB 電池の不純物対策
  3. 安全性、安全対策の現状と今後の技術
    1. 発火要因の解析と対策
      1. 構成材料の純度、粒度管理 (電池原材料)
      2. 製造工程での不純物混入説 (メッキ、バリの脱落)
      3. 製造工程の工程改善効果
    2. LiB 電池構成材料の改善と特性改善対策
      1. セパレータの特性改善と新材料
      2. 各種セパレータの新構成
      3. PVDF/PAN系新セパレータの概要
      4. 低抵抗、高耐圧用新電極構成方法
      5. 高速電解液注液方法
      6. 最新の各種安全弁対策
  4. 電池メーカー各社の安全対策手法の比較 スマートフォン用電池、自動車用電池、定置用電池、他 電池の長持化と安全弁対策 (最近のスマートフォン他)
    • 質疑応答

第2部 リチウムイオン電池の安全対策に必要な 電池発熱のメカニズムおよび評価法

(2017年2月7日 11:40〜13:00)

 電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換する素子であるが、そのエネルギー変換過程において熱エネルギーの出入りを伴い電池の温度が変化する。
 リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いこと、そして可燃性の有機電解液を使用していること等のため、事故や誤使用によって温度が著しく上昇した場合、熱暴走に至る可能性も考えられ、安全性確保への配慮が需要である。
 またそのような高温には至らずとも、高温条件は電池の劣化を加速するため、電池の使用に当たっては適切な熱設計を行うことが重要である。
 本講演では、リチウムイオン電池を充放電した時に起きる発熱のメカニズムを概説する他、誤使用の事例として、過充電を行った際の電池の発熱挙動について解析した結果も紹介する。

  1. 電池の熱問題
    1. 熱暴走
    2. 高温における劣化加速
  2. 電池の熱力学
    1. 電池反応熱
    2. 分極発熱
    3. 副反応
  3. 充放電時の発熱挙動
    1. 熱測定による発熱測定
    2. 活物質の相変化と熱挙動
    3. 難黒鉛化性炭素負極の発熱挙動における履歴現象
    4. 交流印加時の発熱挙動
  4. 過充電時の発熱挙動
    1. 発熱挙動解析
    2. 過充電時の反応解析
    • 質疑応答

第3部 リチウムイオン電池用シール剤 – 部材開発、 製造品質、およびシール性についての紹介 –

(2017年2月7日 10:00~11:30)

 新興国での急速な自動車需要の増加から、自動車が環境に与える負の側面 (特に温暖化ガス発生) が問題視されている。
 この対応策の一つとしてEVなどの次世代自動車の開発が加速されている。
 次世代自動車の安全性を支える1項目としてリチウムイオン電池のシール技術およびシール剤は必須であり、これに対応した材料開発の状況を紹介する。

  1. シール剤とは
  2. シール剤の機能
  3. 使用方法
  4. 各種塗布方法の紹介と比較
  5. リチウムイオン電池での使用例
  6. 各種シール剤用材料の特徴
    • アスファルト系材料
    • ゴム系材料
  7. シール剤選定のポイント
  8. 日本ゼオン製シール剤 BM – 140Sの紹介
  9. シール性能の評価
  10. シール剤の技術課題とこれからのシール剤
    • 質疑応答

第4部 リチウム二次電池における安全化技術と電解液への要求特性

(2017年2月7日 12:30〜16:00)

 EV・HEVなど高出力用途への展開に伴い、リチウム二次電池への要求は益々多様化している。
 電解液への要求特性と高容量・高出力電池開発を進める上で特に重要となる安全化技術について、具体的な解析事例を挙げながら解説する。

  1. リチウム二次電池の市場と課題
    1. リチウム二次電池の主な用途と要求特性
    2. リチウム二次電池のエネルギー密度推移
    3. リチウム二次電池の高性能化に向けて
      • 構成材料改良による高エネルギー・高容量化技術
      • 劣化・トラブル発生要因から見る安全化技術
      • プロセス改良・歩留まり向上による低コスト化
      • 構成材料の最適な組み合わせによる高出力化
  2. リチウム二次電池の発熱要因と安全化機構
    1. 電池内部の発熱要因とその対策
      ~外部加熱、外部短絡、 内部短絡、過充電など~
    2. 電池内部の自己発熱反応
      ~電解液と正極/負極~
      • 正極での電解液の酸化反応
      • 負極での電解液の還元反応
      • 電解液と正極/負極の熱分解
    3. リチウム二次電池の構造から見た安全機構
  3. 主な安全機構
    1. PTC素子の構造・作動メカニズム・特徴
    2. セパレータのシャットダウン現象の効果と限界
  4. 高容量化、高出力化に必須な安全化技術
    1. 過充電時の発熱反応解析と対策
    2. 貯蔵時のガス発生反応解析と対策
    3. 過充電耐性の向上
      • 過充電時の正極の分解抑制
      • 過充電正極と電解液との反応抑制
      • 過充電負極と電解液との反応抑制
    4. 電解液の選択・特性・熱安定性
    5. 電池安全性試験
      ~過充電試験、外部短絡試験、釘刺し試験 など~
  5. 今後の展望、電解液への要求特性
    • 質疑応答

講師

  • 西野 敦
    西野技術士事務所
    所長
  • 齋藤 喜康
    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域 省エネルギー研究部門 エネルギー界面技術グループ
    主任研究員
  • 前田 耕一郎
    日本ゼオン 株式会社 総合開発センター 機能性材料研究所
    主席研究員
  • 大﨑 隆久 (大崎 隆久)
    大﨑技術コンサルティング
    代表

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 60,000円 (税別) / 64,800円 (税込)
複数名
: 55,000円 (税別) / 59,400円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 55,000円(税別) / 59,400円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 60,000円(税別) / 64,800円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 110,000円(税別) / 118,800円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 165,000円(税別) / 178,200円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/4/24 リチウムイオン電池のウェットプロセスとドライプロセス オンライン
2024/4/24 スラリーの挙動と制御およびリチウムイオン電池電極スラリー化技術と評価方法 オンライン
2024/5/17 入門 インピーダンス測定法とリチウムイオン電池への応用 オンライン
2024/5/24 カーボンナノチューブの基礎とリチウムイオン電池への応用 オンライン
2024/5/28 車載電池・リチウムイオン電池の爆発・火災事故の傾向、 その安全性向上技術、過酷試験の進め方、規制対応 オンライン
2024/5/30 EVを始めとした次世代自動車の普及展望とリチウム、コバルトなどLiB用金属資源の今後 オンライン
2024/5/31 リチウムイオン電池電極スラリーの分散、混練技術とその最適化 オンライン
2024/5/31 xEV用リチウムイオン電池の輸送規則 オンライン
2024/6/7 xEV用リチウムイオン電池の輸送規則 オンライン
2024/6/17 リチウムイオン電池の開発方向性と寿命・SOH推定の考え方 オンライン
2024/6/19 電気自動車におけるバッテリーマネジメントの基礎知識 オンライン
2024/6/19 電気化学測定の基礎と実験データの解釈のポイント オンライン
2024/6/28 バッテリーマネジメント用リチウムイオン電池のインピーダンス測定の考え方 オンライン
2024/7/12 基礎から学ぶバッテリマネジメントシステムの技術・バッテリパックの設計手法 オンライン

関連する出版物

発行年月
2023/11/30 EV用電池の安全性向上、高容量化と劣化抑制技術
2023/11/29 リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023 [書籍 + PDF版]
2023/11/29 リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023
2023/6/14 車載用リチウムイオン電池リサイクル : 技術・ビジネス・法制度
2023/6/9 2023年版 リチウムイオン電池市場の実態と将来展望
2023/4/6 電池の回収・リユース・リサイクルの動向およびそのための評価・診断・認証
2023/3/10 2023年版 二次電池市場・技術の実態と将来展望
2023/2/28 リチウムイオン電池の長期安定利用に向けたマネジメント技術
2022/10/17 リチウムイオン電池の拡大と正極材のコスト & サプライ (書籍 + PDF版)
2022/10/17 リチウムイオン電池の拡大と正極材のコスト & サプライ
2022/9/16 2022年版 蓄電池・蓄電部品市場の実態と将来展望
2022/9/14 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (進歩編)
2022/9/8 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (基礎編 + 進歩編)
2022/9/8 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (基礎編)
2022/8/19 2022年版 リチウムイオン電池市場の実態と将来展望
2022/6/30 二次電池の材料に関する最新技術開発
2022/6/13 LiBメーカー主要7社 (CD-ROM版)
2022/6/13 LiBメーカー主要7社
2022/4/11 世界の車載用LIBのリユース・リサイクル 最新業界レポート
2022/3/9 EV用リチウムイオン電池と原材料・部材のサプライチェーン (書籍版)